いろいろあり いろいろ考える(4)結婚…異教徒
海外で暮らしていると、日本にいるより、多種多様の国籍のいろんな考えを持った人々に会う機会が多い。2018年、ニュージーランド(NZ)への移住者は、人口の23%に達している。4人に1人、外国人。感覚としては、今世紀に入ってから、混ざる速度は加速している。当然のことで、異教徒間での結婚も多々あり、あれやこれやと知らない事を教えてもらえる機会も多い。
日本人40代女性、子供二人。旦那さんエジプト人、イスラム教徒。結婚の際に、彼女は、イスラム教に改宗した。愛の力は強しなのだろう。時々、フードコートで会って、3時間ぐらい食っちゃべる。
少し前に会った時は、ラマダンが明けるまで待ってくださいとの事で、会う日が3週間後という事に。むか~しむかし、レバノン人の女の子と一緒に働いている時、ラマダンをしているのを目の当たりにした。水分の補給ぐらいは良いようで、ストローで時々お水をすすっていた。飲むのではない、すする程度である。
話を元に戻そう。ラマダンが終わる2日前に連絡が入る。いつものフードコートでの待ち合わせ。時間を気にせず、長居をするには格好の場所で、重宝している。
「やっと終わったねぇ。よく頑張った。」
「はい、辛かったで~す。」それぞれ、コーヒーとスイーツを買い、席に着く。人に会う外出を控えていた彼女が、堰を切ったように話し出す。
とにかく日の出前に、朝食を済ませなければならないので、ラマダン期間は、家族みんなで早起き厳守。そして、日の出から日没まで、大人は水分補給程度で過ごす。
彼女曰く、何が辛いって、午後子供たちが、学校や保育園から帰って来た時だそうだ。当然子供たちはお腹が空いている。おやつを上げなくてはならない。でも、彼女は食べられない。この時は辛い。挙句の果てに、そのあと引き続き、夕食の支度。拷問のような日々だそうな。幼い頃から、ラマダンの儀式を当然としてやってきた、彼女の旦那は、嬉しそうに楽しそうに、ラマダンをこなす。(少なくとも彼女の目からは、そう見える)成人し、改宗後に始めた、彼女は言い放つ、ただの辛い日々、何年やっても慣れないし、楽しくない。(彼女の私心である)
そんな辛い思いでやっている母がいるのに、今年は、6歳になる上の息子さんが、ラマダンを始めた。と言っても、強制ではなく、親子で話し合って、息子がチャレンジしたいという事で始めてみた。(子供に選ぶ権利があるのは良い事である)当然大人のようには出来るわけもなく、午前中数時間だけのラマダン体験。学校の方にも、その旨を伝える。彼にとって、お昼はさぞかし美味しい物だっただろうと、他人のおばちゃんは思ってしまう。
日没後に、さぁ夕食。別に作法ではないようだが、身体の事を考えて、初めはデイツで始まり、スープ、メインディッシュと進むという。(因みにデイツはナツメヤシの果実で、乾燥した物をお菓子等に使用)デイツにも好みがあるとの事。分かる、分かる、確かにそうである。果実の干し加減で、硬いのもあれば、良い感じに柔らかいのもある。私の好みは、だんぜん柔らかく甘いのである。メインディッシュに使う肉などは、当然ハラール(イスラム法において合法の物)。NZでは、普通のお肉屋さんで扱っている所も増え、便利になってきている。調味料も、お酒の入っている物は厳禁。(スーパーなどでは、いちいち原材料を調べて購入)
ラマダンは、イスラム暦の第9月の意味。日本の旧暦と同じで、その日にちは移動する。NZでは、今年は秋にあったので、まぁまぁ良かったようだが、来年は、夏の終わりから秋口。彼女も言っていた、夏の時期にかかると大変なのよ。そう、日照時間が長くなるので、断食の時間も長くなる。来年に備えて、身体を整えなさい。
日の出前の早起きが、私の身体には向いていない事を、去年悟った。これからもイスラム教徒の知り合いが増えたとしても、結婚はあり得ない。とりあえず、ラマダンを気にする必要はなさそうだ。生まれつき意気地なしなので、ラマダンをしたところで、罪悪感なしに、人目のない所で、何か食べ物を口にするのが関の山である。
彼女と知り合いになっていなかったら、ラマダンの事も調べなかった。いくつになっても、知らなかった事、新しい事を知るのは、興味深く、新鮮で楽しい。これからも時々、お話を伺おう。
ちなみに彼女の実家はお寺さん。他人の事だが、なかなか面白そうな人生である。
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