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旅は私の口を無理やりにでも開かせる

普段の私は基本的にはとても無口だ。しゃべるのが嫌いなわけではないけど、しゃべらなくていいなら黙ってる。そういうタイプ。

特に旅する時は、せっかくひとりなんだし自由気ままに無口で過ごしたいと思いながら飛行機に乗り込む。

でも、そんな静寂は空港を出るとともにぶち壊されるのが常だ。しかも静寂を一番願っている張本人の手によって。

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空港を出たら、だいたいの場合が市内に行くためにタクシーだかバスだかにのる。まずここでつまづく事が恥ずかしながら私は多い。

なぜかって?私は感心されるほどの方向音痴だから。

これは海外での旅に限ったことではない。国内で日本語があふれている場所だって基本的に反対側に歩いてしまうし、普段の生活でも初めて行く場所はだいたい普通の人の2倍かかる。

いつもGooglemapに案内を頼んでいるが、あまりにも私が道を間違えるものだからいつの間にか案内をしてくれなくなってしまった。

そんなわけだから、私は自分を信じずまず人に聞きまくる。というスキルを身に着けた。

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ひどいときには5歩先で人に聞く。

フランスのニースに行ったときは、私に道を教えるために5,6人の人だかりができたし、ベトナムのハノイのバスの中では私の事を心配したのか先に降りたお兄さんがほかの乗客に私の降りる駅を告げて連係プレーで私の面倒を見てくれた。

だから私は

すみません。

ここに行きたいんですけど。

ありがとうございます。

を四六時中まるでオウムの様にしゃべっているわけだ。

こうして優雅に無口な女性を演じる事も出来ず、常に口を開きながら旅をしている。

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人に物を尋ねるというのは、事によってはとてもエネルギーのいる事だ。以前の私は、人見知りな上に無口な甲斐あって人に物を尋ねるなんてかなりの勇気が必要な作業だった。

だけど、今となってはどうだろう。5歩行く度に、質問をしているのだからなかなか成長したのではないかと自画自賛するほどだ。

大抵の人は、すみません。とありがとう。と礼儀をわきまえて質問をすれば快く答えてくれる事も旅と方向音痴のおかげで知った。

旅は無口な私の口を開かせて、人生も少し渡りやすくしてくれた。



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