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「愛すること」バージョンアップ

群馬の山本です。
映画「コーダ あいのうた」をご存知でしょうか。アカデミー作品賞にもノミネートされた作品で、もうご覧になった方もいらっしゃると思います。
私はこの映画のある場面に衝撃を受けました。ネタバレになる内容もあります。ご了承ください。

私は歌が大好きです。「コーダ あいのうた」を観たいと思ったのも、最初は音楽、歌に魅かれたのがきっかけです。
主人公のルビーはコーダ(聾啞の両親に育てられた耳の聞こえる子ども)です。他の家族(父、母、兄)は聞こえません。
ルビーは音楽をよく聞いていて、歌も大好きです。学校の音楽教師に才能を認められ、指導を受けると、音楽大学へ行きたい気持ちを止められなくなります。でも、家族は大反対します。

反対する家族に、どうして応援しないのか、応援するべきという気持ちが沸いてきました。ルビーの夢を応援してほしい。ルビーの人生を尊重してほしいと強く思いました。
家族はルビーの歌を聞くことはできません。でも、歌への情熱や思いは想像すればわかるはず。彼女の気持ちを大切にしてほしいと思いました。

だからルビーの発表会に家族が来た時、これでわかってもらえると思いました。
しかし、途中で、ルビーの歌声が消えました。映画の演出で、一切の音が消え、映像だけになりました。音のない世界になった時、私は聞こえないという場に、時間に、衝撃を受けました。ルビーの歌声はもちろん、ルビーの歌への拍手も歓声も、全く聞こえません。観客の感動の息遣いさえわからず、無音なのです。

感動はどこから伝わってくるのだろう。
何から素晴らしさを感じたらいいのだろう。
音のない時間は、別世界でした。

とてもショックでした。歌が大好きで、音楽に何度も救われてきた私にとって、とてもショックでした。そしてその衝撃はずっと残り続けました。
「聞こえていないんだ」
「歌を聞いたことがないんだ」
愕然としたのか、呆然としたのか、自分の至らなさになのか、音楽がないことになのか、涙が出ました。

才能をわかってほしいというのは、無理かもしれない。
聞こえるのと聞こえないのとでは、こんなにも違うんだ。

相手の気持ちを想像すれば、思いやれる、分かり合えると思っていました。
でも、ルビーへの思い入れが強すぎて、私は音のない世界を十分に想像できていなかったことにも気付きました。
それに加え、想像してもわからないこともある。それが現実なんだと思いしらされました。

ところが、ルビーの家族は最終的に彼女を送り出します。歌声を聞くことができないのに、どうしてできたのだろうと考えました。それを乗り越えるには何が必要なのだろう。
家族愛、親の愛、人間愛… やっと姿が見えてきました。

わからないことであっても、思いを巡らし、想像し、わかろうとする。でも、限界もあって、わかろうとしても、わからないこともある。わからなくてもいい。わからないものも、そのまま受け入れる。そう思えた時、これは思いやりを超えて、「愛すること」なんだと思いました。

そして以前、愛することについて書いたことを思い出しました。その日記、「愛することの正体、発見?!」で書いた息子への愛は、息子を自分に置き換えられたからで、想像の範囲内だったと気付きました。

わかる、わからないも超えて相手そのものを受け入れる。思いもそのまま受け入れる。
愛することのさらなる姿を知りました。「愛すること」のできる人間の可能性を無限に感じています。

きっと学びを続けることで私たちはいつまでも成長できる。
書くことで、考えることで、皆さんとその時間を共有できたことに感謝し、私たちのこれからの成長にも期待して、筆をおきます。
二年間、ありがとうございました。

2023年2月13日
群馬県/山本みのり 
NPO法人ハートフルコミュニケーション認定ハートフルコーチ 

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