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寺子屋先生は見た! ②

「通知表は一瞬の煌き!いや、切り抜き!」

地方の町で学習塾を運営し始めて20年ほど。自分の子と塾で関わる子ども達との年齢差を感じ始めた頃からハートフルコミュニケーションで普遍的な子育ての軸を学び続けている。

さて、今回の「寺子屋先生は見た!」は、子供たちの通知表。
皆さんはご自身とお子さん以外の通知表って見たことありますか?よその子の通知表ってなかなか見ないですよね。私もこの仕事をするまでは、自分の子ども以外の通知表を見たことはありませんでした。

ある時、終業式の日にたまたま見せてくれたことがきっかけで、うちの塾の子たちは私に通知表を見せてくれるようになりました。保護者の方々のご理解もあり、終業式当日に来なかった子は後日持ってきて見せてくれます。ですから、もう何百通という通知表を見てきました。すると、例えば同じクラスの二人に対して、私とスタッフが感じているその子たちの力と通知表の評価が一致せず「ううう(なぜだろう?)」と唸ってしまうこともしばしばあります。どう見たらこうなるのだろうか?と本気で悩みますが答えが出たことはありません。また、「学校での様子」の欄は担任の先生の個性が出る場所で、「これはコピペ?」と思うような方もいれば、事実だけを書いてある場合もあったり、今後の期待を書いている場合もあって、その子の学校での様子がわかる場合も多いです。

当然ですが、、高学年ともなると本人が評価に納得していない場合もあって「テストがよかったのに、なぜ『よい』なのかわかんない。」と不満を語ることもあります。そんな時には、「たまたま、先生にはできているところが見えていなかったのかもしれないね。」と話します。

 そうなのです。通知表って例えば『写真』のようなものです。その子のたった一方向から見た一瞬を切り取ったものだと私には思えます。先生たちの評価軸で見たほんの一面。それはそれで、その時の事実なのでしょうが、普遍的ではありませんし、絶対でもありません。例えば、多くの公立小学校は「たいへんよい」「よい」「もうすこし」(表現は違うこともあります)の3つの評価しかないので、「よい」という評価の範囲は幅が広く、小学校の評価をそのまま絶対視したあまり(絶対評価だから?)中学校でのテストの点数にびっくりして「先生、うちの子どうかなっちゃたのですか?」と慌てるお母さんは多いです。子どもは何も変わってはいません。逆に、小学校時代の評価と中学校の成績が逆転するということも結構あります。その先の高校も同じです。そうなると、「小学校の通知表なんて気にしなくていい」と言いたいところですが、実際はそうもいかないですよね。

 だから私は、通知表はその子の状況に応じて利用するものと考えていいと思います。もし、受験に必要ならそのように。もっと良い評価が欲しいなら、頑張るきっかけに。気にならないなら「そんなふうに見る人もいるよね」とスルーするのもありです。決して、親が子どもを鼓舞する為のツールではありません。

ときどき「先生の通知表」を作っているという記事を見たりしますが、子どもが作る「親の通知表」や、「塾の先生の通知表」もあったら面白いかも。いや、やっぱりちょっと怖い…。

現場からは以上です。

渡辺寿子
NPO法人ハートフルコミュニケーション認定コーチ


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