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「お、やってるな」の声掛け

東京の村井です。
学校に行っていない次男は、中学に上がってからは本人や学校とも相談し、週1のスクールカウンセラーとの面会から始め、数か月がかりで個別指導を週1から開始、週2まで増やしてみよう、とお試しをしていました。
ただ、個別指導に週2回行くことが、本人にとっては難しかったようでした。決めたはいいものの、朝になると「行けない」と話す息子に、どういう声かけをしたらよいのか、分かりませんでした。学校に行かなくても大丈夫だよ、と頭でわかっていても、学校にも連絡を入れ、間を取り持たないといけない役回りに、気持ちが疲弊する日々でした。

次男は繊細な人なので、彼に話す前に、頭の中で会話のシミュレーションをしてみます。受け止めるとしたら。私は長男の時にだいぶ学んで、学校に行くことがゴールだとは思っていなかったので「そうなんだ、行けないんだね」でいいのかな…?「行けない」だと、行くことが望まれる姿だと思われないかな?と思ったり、「無理に学校に行こうとしなくてもいいんだよ」も、私が判断してしまっているようでよろしくない。「自分で決めたんでしょう」もしっくりこないし・・と頭の中での堂々巡りが続きます。
結局は「わかった、先生には言っておくね。時間の使い方は、ちょっと話し合いたいと思っていたから、あとで時間くれる?」そんなようなことを話したと思います。ありのままを認めて、伝えるって、これでいいんだろうか、そう自問自答する日々です。

学校の個別指導に行かなくなってから、本人が「学校に行って先生と1対1で勉強に向き合うのがしんどい。だから家でできるような教材を探してみた」というので、「自分で探したんだね」と声をかけ、1日10分の自宅学習を開始しました。それも1週間ちょっと経つと進まなくなり、次男がどうしたいのか、分からないな、と私も立ち止まってしまいました。

そんな時、フリースクールを設立した数学教師、井本陽久さんの「ありのままを認める」を生徒から教えられた」というPodcastを聴いて、「ありのままを認めている」と「伝えること」がなぜ大事なのか?に、改めて気づかされました。
Podcastは、とある生徒が、英語の試験前に机に英単語をびっしり書き込んでいる友人を見て「お、やってるな」とだけ声掛けをして通り過ぎたことを、言われた本人が30年経った今でも覚えているという話だった。先生が見たら「そういうこと、やるなよ。」となるだろう。「お、やってるな」の声掛けは、机に書き込んでいる友人に、頑張っているな、という温かい眼差しが伝わり、自分がやっていることは、どんなことだろうか。という真実に向き合わせた、という話だった。

「ありのままを認めるということは、いい、悪いの前に息遣いを見て人と付き合うこと」「相手と対等であり、判断をしない」。Podcastでの井本さんのこの言葉に、人に対しての尊重の気持ちを強く感じました。また、ありのままを認める、は伝播すると。これ以上のことはない、素敵なことだと思いました。

子どもとの関係では、母親である私にとってポジティブに見えることだけに声掛けをするわけでもなく、子どもを対等な存在として、ありのままを認める声かけは、子ども自身の自己肯定感を高めると同時に、自分の真実に向き合わせる。難しいですが、自分自身に、気づかされる。ということと解釈しました。それが原動力になり、人はまた自分を更新していけるのではないか?と思いました。

はて、このPodcastでの学びを、目の前の次男にどう実践していこうか?このリレーブログを書きながら、考えました。
起床してからの目の前の次男の様子を見て「おはよう! 朝やることやったの?(顔洗わないし、着替えもせず、いきなりYoutubeにゲームをやっているし)」と言う代わりに、「おはよう。おーYoutube見てるね」「ゲームに移動したね」という声掛けに変えてみました。
何日かこの形で声掛けして見ましたが、次男に、特に変化は見られませんでした。私自身は、言っておきつつ、実際声に出して話してみると、「相手と対等であり、判断をしない」「息遣いを見て人と付き合う」といった声掛けでもなく、ちょっと厭味に聞こえないかしら?と、しっくりきませんでした。
再度、井本さんのPodcastを聴き直し、次は、「ヘッドフォンをして見ているんだね」(起こさないように、気を使っているのかな?)と声掛けしてみようと思います。
これからも、「お、やってるな」の言葉を、頭の片隅に置いて過ごしていきたいと思います。

2023年11月20日
東京都/村井雅子
NPO法人ハートフルコミュニケーション認定ハートフルコーチ


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