サッポロ リュック
最近、ビール飲み放題が止まらない。
暑くなってきたせいもあるのだろうか?
それとも仕事のストレスからなのか?
自分の頭の中の快感物質発生がビールを飲むことと結びついてしまっている。
泡立った頭の中で泡が弾けると同時にストレスもプチプチと弾ける。そんなイメージからか、そうでないのか分からないが、とにかくビールが進んでしまう。
そんな訳で、快感物質を発生させる為に今日もビール飲み放題のお店に繰り出す。
来たお店はチェーン店の大規模な居酒屋なので、自分なんかでもさほど悪目立ちしない。
18:00入店。店員さんに90分飲み放題ビールを注文。
90分1本勝負。ビール飲み放題のゴングが頭の中で鳴り響く。
自分のお店を選ぶ基準で大事なのが、注文してからのレスポンスだ。
レスポンスが遅いお店には絶対に行かない。注文して5分も経ってビールが来たら、せっかくのビールモードになったテンションが台無しだ。
ビールアスリートはリズムが大事。頼んで1〜2分以内でビールが来るのが理想。そのためにはビールサーバーの近くに席を決めることも大事だ。サーバーから遠かったら、レスポンスも遅くなる。
そして、ビールを頼む相手も大事。カウンターで目の前の調理人にビールを頼むなんかは愚の骨頂。彼らは料理人でビールを頼む人ではない。まして、ビールを注ぐ直接の人でもない。
彼らはビールいっちょーと叫んで、バイトの人にビールを依頼する。そのロスは致命的だ。
こっちは90分1本の真剣勝負をしているんだ。
そんな連携されているかいないかのチームワークに期待してる時間はない。ならば、直接ビールを注いでくれる人にビールを注文するのが間違いない。
だからといって、むやみやたらに注文係の人に注文すればいいと言う訳じゃない。
彼ら彼女らの動線の流れを察してあげるのも大事。他の客の食器やコップを引き上げる際や注文を受けて戻る瞬間を見逃さないで注文を頼む。それが大事。
これが逆だったらどうか。客の注文を受ける為に行く際に注文する。客の注文を受ける時間。戻って頼む時間。もしかしたら客と余計な話をしているかもしれない。
ムダ!ムダ!!ムダ!!!〜ジョジョがスタンドを出現させて、叫んでオラオラするくらいの時間の無駄ですよね。
とにかく最短でビールをココに持って来させる。それがビールアスリートの願う最優先です。
で!?そこで思いましたよね。ここまでして何が面白いんですか?もっとゆっくり飲むのがリラックスタイムですよね〜!こんなんでリラックス出来ないでしょう〜!
そりゃそうだ〜!!
自分にとっては、ビールこそがゾーンに入る為の最短の導入剤だと思っている。ビールが体質に合うんですよ!このドラックじゃない合法的なアルコール摂取で、ビールゾーンに入った瞬間にあらゆる想いや気持ちが弾けて溢れる瞬間が訪れる。この状態の瞬間を迎える為にこの時間を過ごす。今この瞬間もそんな状況で書いてます。
この何の希望もない世知辛い世の中の束の間の幸福感。ちょっと、やってることは、頭可笑しいかもしれないけどね!
そんな前進してるか後退してるか分からない逡巡をしていたら、
突然、「アツッアア〜!」と生ビールを4杯お盆に乗せて運んでいた店員さんが、それ全てを自分に向かって突然、倒してこぼして来た。
酔っ払っていながらも、4杯のサッポロ黒生ビールが溢れるのがスローモーションで一瞬見えた。
有り難いことに?自分の頼んだビールと他3杯は綺麗に自分と自分のリュックに満遍なく降り注がれた。
自分は最初「ん?」と思ったが、次に浮かんだ言葉は、「ありがたい」だった。
こんなサッポロ黒生ビールをふんだんに掛けてくれて、ありがとう!
こんな大好きなビールを身体いっぱいに浴びせてくれて、ありがとう!優勝したプロ野球選手の祝勝会見たいじゃないですか。
店員さんは、「すいません〜!」と言うが、さほど、すみません感は感じない。胸元の名札には新人と記載。
「慣れて、無かったんだね〜!」
自分はそう思うと、しょうがないよねーとしか思えない。
サッポロ黒生で、ビョシビョシではあるが、怒る気持ちは不思議と全く起こらない。幸い服もスーツとかではなく、シャツとチノパンで洗えば大丈夫。それよりも、この事で彼女が社員に怒られないかが、急に心配になった。
でも、正直、自分でも一番びっくりしたのは、こんな事になっても全く感情が動かない自分だった。酔っ払っていたと言う事もあるが、こんな理不尽な粗相を受けても感情は1ミリも動かない。
それから、他の先輩店員がすぐに布巾を持ってやってきて、謝罪の言葉をかけてきたが、自分はやっぱり何にも思わず、「大丈夫ですよ。気にしないで下さい。」と言ってたら、店員も申し訳ないと思ったのか、「飲み放題もう、終わりですけど、こぼして申し訳ないので、飲み放題、後20分くらい延長しますよ!」
と言ってくれたので、すかさずに、「じゃあ、ビールお願いします!!」と11杯目の中生を頼む自分でありました。
90分1本勝負が、途中から110分1本勝負に変わり、ペースが乱れていつもより酔っ払ってしまった訳ですが、たっぷりビールを飲むことができて今日は満足でした。
次の日に目が覚めた理由は、異常なビール臭さからだった。
隣にはサッポロ黒生ビールをたっぷりと浴びたアークテリクスのリュックが静かに置かれておりました。
寝ぼけて、目が悪い自分は、そのビールの匂いと黒いリュック。そしてアークテリクスの黄色いロゴが何故かサッポロビールの黄色い星マークに見えてしまった。
あー!!
サッポロ リュック
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