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想像と想像と想像 #5

「すてきなえがお」

深夜のコンビニでたばこを買う機会が多い。
システム上、銘柄を言うのではなく番号で伝えなければ購入することはできない。
ここで、僕は非常に困ることが多い。
まず、コンタクトを外した状態だと非常に視力が悪いので、一度スマホで見ながら拡大して数字を確認する必要がある。
99番でほとんど変わることはないのだが、ごく稀に数字が変わっている場合があるので、きちんと確認する必要がある。
次に大きな障壁となるのが、緑と青の識別が困難な色盲の存在である。
ご親切なことに、青い99番の横に緑のパッケージが並んでいることが多い。
そのため、何度も凝視する必要があるのだ。

コンビニのレジの前でスマホと商品を見比べたり、身を乗り出して色を確認するお客さんがいたら少し引いてしまうのは当然だろう。
僕でも少し、引いてしまう。

いつものようにこのくだりをレジ前でやっていると、天使の一言が舞い降りてきた。

「99番でよろしいですか?」

目が悪いので顔はよく見えないが、とても親切そうな笑顔を浮かべているであろう店員さんがいらっしゃった。
この言葉にどれだけ救われたことだろう。
思わずこちらも笑顔になってしまった。
それ以降、その店員さんは僕がレジ前をうろついていると何も言わずに
「こちらでお間違えないですか?」
と尋ねてくれるようになった。

このような勇気をなかなか振り絞ることのできる人は少ないのではないだろうか。
少なくとも僕は、躊躇ってしまって何もできない気がする。

僕のバイト先でも、このようなすてきな笑顔を振りまくことのできる子がいる。
僕はチキンを売るバイトをしているのだが、チキンを購入する時に、チキンの部位を指定してくるお客さんがいる。
それぞれの部位の数に限りもあるため、特定の部位を何個も頼まれるのは正直めんどくさい。
そんな時でも、とびきりの笑顔で
「かしこまりました!」
と言える子は、とても見ていてほっこりする。

このように、僕たちの生活する街には「すてきなえがお」が溢れている。

こんなハートフルな文章を書きながら、僕の中で1つだけ引っかかってしまった。

「おそらく僕よりも年下の店員さんに、たばこの番号を覚えてもらって、嬉しそうに買って帰る」
この姿は非常に情けないものなのではないか。

禁煙への道は、すぐそこまで迫っているのかもしれない。

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