Excess Mortality Among US Physicians During the COVID-19 Pandemic
参考文献
2020年3月から2021年12月までの米国の医師における超過死亡数(一定期間内に観察された死亡数と予想された死亡数の差として定義されます)を米国医師会（AMA）のデータを用いて算出した論文です。
米国では，COVID-19のパンデミックにより、すでに100万人以上の超過死亡が発生していますが、パンデミック対応において医師の役割は欠かせないにもかかわらず，医師の超過死亡についてはほとんど知られていません。
AMA Masterfileとそれに対応するDeceased Physician Fileを用いて、年内の季節性と長期トレンドを考慮した準ポアソンモデル3をあてはめ、45～84歳の医師における2016年1月から2020年2月までの月間死亡率を推定しました。この反実仮想モデルを用いて、2020 年 3 月から 2021 年 12 月までの予想死亡数を推定し、観察死亡数と予想死亡数の差を算出して超過死亡数を同定しました。超過死亡率の推定値は、10 万人年当たりの超過死亡率に年率換算しました。全サンプルを年齢層別、診療科別に分析しました。感度分析では、別のモデル仕様を当てはめ、比較のために、米国の一般人口における過剰死亡を計算しました。若い医師は、対象期間中の死亡数が月5人未満であったため除外しました。
2020年3月から2021年12月までに、月平均（SD）785 631（8293.5）の医師の間で4,511件の死亡がありました（予想より622件［95％CI、476-769］多い死亡を表します）。これらの医師は、女性34.7％、男性65.3％、45歳から84歳でした。10万人年当たりの過剰死亡は43人（95％CI、33-53）でした。
患者を直接治療する活動的な医師には強い年齢勾配があり、10万人年当たりの過剰死亡は、最も若いグループで10（95％CI、3-17）、最も高いグループで182（95％CI、98-267）でした。すべての年齢層で、医師は一般人口よりも超過死亡率が大幅に低いという傾向でした。非活動的な医師は、10万人年当たりの超過死亡率が最も高く（140；95％CI、100-181）、患者に直接医療を提供している活動的な医師（27；95％CI、18-35）、患者に直接医療を提供していない活動的な医師（22；95％CI、-8-51）に対して、一般集団（294；95％CI、292-296）より大幅に低い超過死亡率でした。
すべての現役医師において、過剰死亡率は2020年12月に70を超えるピークを迎え、その後2021年に急速に単調減少した。2021年4月以降、統計的に有意な超過死亡率は見られませんでした。これらの結果は、代替モデルの仕様に対して頑健でした。
2020年3月から2021年12月にかけて、米国の医師は予想よりも622人多い死亡を経験しました。COVID-19ワクチンが広く利用可能になった時期と重なる2021年4月以降、医師の過剰死亡はありませんでした。年齢層全体では、医師は一般集団よりも超過死亡率が大幅に低く、活動中の医師はSARS-CoV-2感染リスクが高いにもかかわらず、非活動中の医師よりも超過死亡率が低い結果となりました。この結果は、個人防護具使用、ワクチン要件、感染予防プロトコル、十分な人員配置、その他の職場ベースの防護措置が超過死亡率の予防に有効であることを示唆しています。さらに、患者を直接治療する高齢の現役医師における過剰死亡の増加は、このグループのリスクを軽減することを職場方針として優先させるべきであることを示唆しています。
研究の限界として、死亡が確認されていない医師の死亡や、高齢医師の早期退職などパンデミックに関連した労働力の変化があり、死亡率を過小評価する結果となることが予想されます。パンデミックの最初の年に、米国の医師は職場でのストレスや燃え尽き症候群の増加に加えて超過死亡を経験しました。COVID-19の急増時には、これらの状況が病院に負担をかけ、一般集団の超過死亡を引き起こすかもしれないとのことです。
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