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見えない女性との出会い その2

自分の部屋に、霊的な気配を感じるようになった私。

スピリチュアルな鑑定士の方に鑑定を申し込んだが、まだ3週間ほどある。

そのあいだに、事態は少しずつ進行していった。

ある日、私は仕事から帰ってきて、部屋でごろんと寝転がった。

向かい側の壁の上のほうでは、4体くらいの光の渦巻きがフワフワ浮いている。

さすがに毎日見ているので、私はだんだん慣れてきた。

怖いというより、透明感のある不思議な渦巻きだなぁ、と思いながらぼんやり眺めていた。

すると……

光の渦巻きのほうも私になれてきたのだろうか。

4体のうち1体が、私のほうへスーっと近づいてきた。

えっ?!

内心、激しい動揺が走った!

それは一瞬の出来事だった。

壁際から私のほうへ近づいてきたと思ったら、私の顔から30センチくらいのところで、ピタッと止まり、フワフワ浮いている。

「ほどよい距離感で止まってくれてよかった」

私はホッとした。

とはいえ、顔から30センチの距離は近い!

これは至近距離だ。

握りこぶしくらいの光の渦巻きが、綺麗に回転しているのがはっきりみえる。

これは一体?

私は緊張しながらも、外見は平静を装いながら、光の渦巻きを眺めていた。

ほどなくして、光の渦巻きは、また壁際へ戻っていった。

私がお風呂に入って部屋に戻ってきたときには、もう光の渦巻きたちはいなかった。

いなくなったのだろうか。それとも私が見えなくなっただけだろうか。

よく分からないがとにかく不思議だ。

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その日以来……

夕方、私が仕事から帰ってきて、フトンにごろんと寝転がると、光の渦巻きがスーっと寄ってくるようになった。

「もし怖い霊だったら、どうしよう」

私は光の渦巻きしか見えないので、あまり気にならなかったのだが、冷静に考えると……

怖い霊が恐ろしい顔つきで近寄ってきている可能性もある。
というか、そんな心配もないことはなかった。

もう手のひらのオーラを見るなんていう可愛い状況ではない!

ただ……

不思議と怖くなかった。

なんとなくだが……

子犬が主人に駆け寄ってくるように、光の渦巻きは親しみを持って私に近寄ってくるように感じられた。

もしかすると……

「悪い霊じゃないのかもしれない」

そんなふうに私は感じていた。

そうこうしているうちに、対面鑑定まで、あと3日となった。

鑑定に先だち、私は鑑定士の方に状況説明のメールを送った。

すると、

「浮遊霊の気配がしております! 写真を撮っておいていただけたらと思います」

と返事がきた。

浮遊霊!

予期せぬ返事に、さすがの私もだんだん怖くなってきた。

確かに浮遊霊の可能性があるのに、今までの私は無防備にも、光の渦巻きとたわむれていた!

いけない、いけない。

鑑定士の方からのメールで、ようやく私は用心するようになった。

このときの私は、何が起こっているのかまったく理解できなかった。

とはいえ、とにかく対面鑑定は3日後に近づいてきた。

いよいよ光の渦巻きの正体が分かるのだろうか。

(続く)


■ 執筆者 : フランシス


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