見えない女性との出会い その3
浮遊霊!?
そう指摘されて、初めて気づいた。
確かにその通りだ。
浮遊霊の可能性は十分にある。
なのにこれまでの私は……
無防備にも、光の渦巻きとたわむれていた!
これはまずい。もっと慎重に行動しなければ。
「見えないふりをしよう」
そう決心した。
夜寝る前、フトンに入ると壁の上のほうで光の渦巻きがフワフワ浮かんでいた。
が、、、
私は見えないふりをして、寝転がっていた。
すると、、、
光の渦巻きが、スーっと私のほうまで近づいてきた。
気づかないふりをする私。
光の渦巻きは私の目の前まできてピタッと止まった。
目の前でクルクルと渦を巻いている。
内心、緊張しながらも、私は見えないふりをしてボーッとしていた。
しばらくすると、光の渦巻きは壁のほうへ戻っていった……
かと思うと、突然こっちに戻ってきた!
私が気づかないので、フェイントをかけてきた!
私は動揺を見せないように、何も見えてないかのようにふるまった。
光の渦巻きは、壁に戻るふりをして、急にバックをしてきたり、何度も何度もフェイントをしかけてきた!
明らかに戸惑っているようだった。
私にかまってほしいのだろうか。
鑑定士の方から浮遊霊かもしれないと聞いて、見えないふりをしていたが……
なんだか、かわいそうな気がした。
その日は、そのまま見えないふりをして眠りについた。
翌日、写真を撮らなければと思い、光の渦巻きが近づいてきたときをみはからい、スマホで自撮りをした。
光の渦巻きと私のツーショット写真。
写真には光の渦巻きは写っていなかったが、光の波紋が広がっているような写真が撮れていた。
やはり、霊的な現象は電磁波に影響するのかな、と感じた。
いよいよ対面鑑定の日。
私は電車に乗って鑑定会場に向かった。
私の自宅からは、電車で1時間半くらいの距離。
せっかくだから、心霊現象以外でも、私の仕事のことなども相談しようと思っていた。
会場につくと、会議室のような部屋が鑑定の場所だった。
スタッフの女性が1名。
私は鑑定士の方と向かい合い、さっそく相談を始めた。
まずスマホの写真を見せた。
「40代の女性の霊が写っています!」
さすが鑑定士の方。私には光の波紋にしか見えないが、女性に見えるようだ。
「カメラ目線ですね?」
と言われた。
「そうですか? スマホで自撮りをしたのですが、自分では意識していませんでした」
と、私が答えた。
「違います。この女性がカメラ目線なんです!」
なんと、女性の霊は私の隣でカメラ目線で写っていたのです!
「この霊は、フランシスさまに親密な気持ちを抱いているようです」
鑑定士の方がそう話したとき、
「ハッ!」
私の後ろを見て驚いたように、
「フランシスさま、今も後ろにその女性の霊がいます!」
と叫んだ。
まさか対面鑑定の会場にまで、霊がついてきていたなんて……
ただそこは霊能者の方。
慌てずに、折りたたみのイスをもうひとつ出してきた。
「ここに座ってもらいましょう」
そう言い、女性の霊に話しかけた。
「お名前は?」
私には何も聞こえないが、鑑定士の方には返事が聞こえるらしい。
「みゆきさんというようです。元公務員で、40代で亡くなられました」
そんなことまで分かるなんて!
私は衝撃を受けた。
「みゆきさんは、心に深い悲しみを抱いていらっしゃいます」
鑑定士の方はそう言うと、お札を机の上に置いた。
「みゆきさん、このお札を触っているといいですよ。気力が回復します」
私には何も見えないが、みゆきさんはイスに座って、机の上のお札を触っているらしい。
その間、私は自分の仕事のことなどを相談した。
40分くらい経っただろうか。鑑定の終わる時間が近づいてきた。
鑑定士の方が、みゆきさんの様子を読み取ってくださった。
「気力が少しずつ回復してきて、若干プラスの気持ちになりました」
私にはまるで分からないが、みゆきさんは少し元気になったらしい。
私は鑑定士の方にお礼を言って、帰路についた。
帰りの電車の中で、チラッと、光の渦巻きが私のそばに見えた。
みゆきさんだ。
私と一緒に、電車に乗っている。
なんだか不思議な気持ちになった。
光の渦巻き(みゆきさん)は、私の部屋の中だけいるのかと思ったら……
一緒に電車に乗って、対面鑑定の会場にまで来てくれて、こうして帰りも一緒に電車で帰ってくれる。
これが私とみゆきさんの最初の出会いだった。
いや、これまでも出会っていたのかもしれないが、みゆきさんの存在をはっきりと認識するようになったのがこの日だった。
■ 執筆者 : フランシス
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