書評:「遅刻してくれて、ありがとう(上)」:ぼーっと生きてんじゃねぇーよ!

「遅刻してくれて、ありがとう(上)」トーマス・フリードマン著/日本経済新聞出版社2018年

オススメ度:★★★★☆

(コメント)

 「フラット化する世界」でもおなじみ、ジャーナリストでニューヨークタイムズのコラムニストであるトーマス・フリードマンの著作。タイトルは原題をそのまま訳したとおりで、その理由は冒頭を読んでもらえるとわかります。上下巻と分厚い本ですが、その主旨はただ一つ、「いま私たちが生きている世界がこれまででは考えられないほど加速化(技術革新や気候変動、国の相互依存など)し、私たちを取り巻く社会・環境・生活・仕事などあらゆる事柄が、追い付くのも大変なぐらい変わり続けている中で、いったん立ち止まって考えてみよう」ということ。この主旨に沿って、様々なエピソードが散りばめられています。一部冗長な部分もありますが、それを補うくらいハッとするような鮮やかな書きぶりで、激変する今の世界のガイドブックとなっています。これから就活する人、転職を考えている人、100年LIFEをどうしたらいいかわからない人、子育て中の人、この先を見通したい人にオススメです。とにかく、ぼーっと生きてちゃやばいということ。

(気になった言葉)

“変化のペースの変わり方と、私たちが学習システムや訓練システム、管理システム、社会のセーフティネット、政府による規制といったことを開発する力は釣り合っていない。”

”穏やかで安定している気候状況を私たちが満喫しているのは、この1万1000年間だけに過ぎない。”

”私たちは生涯学習によって、ロボット、インド人、中国人その他のスキルを有する外国人に一歩先んじなければならない。”

“知的な機械が存在する時代に人間であるということは、なにを意味するのか?”

”大学の学部課程の知識の半分は、5年以内に時代遅れになる。”

”自分の学習と絶え間ない再学習に、当事者意識を持たなければならない。”

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