ウマ娘のゲームに関する最近の雑感

半年くらい前にウマ娘のゲームに関する記事をちょびちょび書いてましたが、最近もぽちぽち遊びつつも、さすがに前に比べるとだいぶ遊ばなくなってきました。このゲームについてですが、コンテンツ力が強い順に以下の通りかと思います。

◎ ビジュアル要素(レースの迫力、女の子の可愛さ)
○ スポ根ストーリー
△ ゲーム性
× イベント

ビジュアル要素については、私はレース映像が思ったより良かったので始めたクチですし、いわゆる萌えへの興味があまりない私でもポーズバグの時など何度かびっくりするほどかわいいと思ったことがあります。

ストーリーはほぼスポ根もので「努力・友情・勝利」の少年漫画に近く、万人向けでクセもなく、老若男女みな楽しめているようで、同様のテイストのアニメを見てゲームを始めた人も多いようです。

ゲーム性に関しては、初クリアまでは試行錯誤を楽しめ、ストーリーの「努力・友情・勝利」をゲームプレイを通じて追体験することになりよくできていると思います。一方で、攻略法を確立するとやることがぐっと減ってしまい、長続きしないのが欠点と言えるでしょう(当時から飽きが早いことは分かっていたので、寿命を延ばすためにずっと縛りプレイをしています)。

飽きに対する対策として各種イベントが頻繁に行われていますが、プレイ感に新鮮味を供給するものは少なく、特に普段通りのプレイでマラソンしろという類のイベントは辟易します(ストーリーが良ければまだ緩和しますが、ウマネストのようにストーリーもつまらない回は悲惨でした)。レジェンドレースはある程度行ったら目標にならないですし、チャンピオンズミーティングは上位プレイヤー以外に評判が悪いのは周知のとおりです。

正直、長続きするには改善点が山積しているという印象です。

ストーリーを売り物にする

このコンテンツの競争力の源泉は絵柄の可愛さとスポ根ストーリーのかみ合わせにあるので、これがメインシナリオ・メインストーリーに限られている、というのが飽きが来やすい原因の一つだとは思います。

私も現代人なのでサブスクリプション型サービスには慣れており、映像コンテンツのDAZNやアマプラ、小説のニンジャスレイヤープラスなどは普通に買っていますが、ウマ娘のデイリージュエルパックは買ったところでプレーへの変化が軽微すぎるため食指が動きません。

いわゆる廃課金プレーヤーの重みづけを変えずにライトな消費者を取り込むには、競争力の源泉であるストーリーに関しては支払額が低くとも有償ジュエル使用者限定コンテンツを配信する、という形にすると支払いやすい気がします。

ゲーム性の低さ――達成目標の欠如

さて、ゲーム性が低いとは書きましたが、初めてメインシナリオをクリアした時や、初めてレジェンドレースを勝った時までは楽しく、初クリア時には感動してプレイ動画を撮影して残していたりしますし、それを今見直しても逃げ馬をギリギリで差しきっての勝利なので結構ハラハラします。

ただ、URAファイナルズやレジェンドレースを楽勝するようになったあたりから急激にプレイする面白さが空洞化する、というのもかなりのところ事実かなとは思います。前にも書きましたが、このゲームの初クリアまでが面白いのは「努力、友情、勝利のプロセスを追体験する」というところにあるので、せっかくガチャで★3引いて新キャラを得ても、初育成で楽々A+を取れるようだと愛着や感動も薄くなってしまうので、そこが問題な気がします。

今まで得たゲーム内資産があってもある程度苦労して「努力、友情、勝利の追体験」をする目標を新規導入するのが面白さを維持するコツかなと思います。極論すればローグライクゲームのようにプレイヤーの強さに合わせて攻略目標が無限生成されるシステムでも一人遊びの持続力としては成り立ちます。

あるいはキャラストーリーとプレイングの「努力」が重なることに魅力があることを考えれば、新キャラを引いても数回は育成失敗する制限が入るーー初クリアまでは指定のサポートカードしか使えない、みたいな感じにすると工夫すべきポイントは増えるのかな、とも思います。

ゲーム性の低さ――創意工夫のデザイン空間の狭さ

人々がゲームを遊ぶ動機の一つとして、好きなものを工夫・デザインして組み立てること自体が楽しい、というものがあるでしょう。子供の砂場遊びや積み木遊びはそうですし、大人でも料理や木工などが趣味になるのは創意工夫の余地があるからです。ビデオゲームでもシムシティなどはその性質が強く、マインクラフトはその極致と言えるでしょう。

そういった組み立て遊びをするうえでは、組み立ての仕上がりに多様性があり、試し甲斐があったり、自分の個性が表現できたりすることが重要になります。誰が組み立てても同じようになるなら早晩飽きられます。育成ゲームの元祖である「プリンセスメーカー」ではエンディングの種類が豊富でした。トレーディングカードゲームでは製作者側がこれを明示的に意識しており、大手のマジック・ザ・ギャザリングでは公式に「デッキの多様性」を重視していると声明を出しますし、製作者コラムではデッキの多様性の範囲を「デザイン空間」という言葉で表現しています。

ウマ娘を長く遊べる対人戦ゲームとして考えたときには、デザイン空間の狭さが問題でしょう。基本的には必要なパラメタをカンストさせ、コースに合ったスキルを積み込むという動きで、パラメタカンストに個性は出しにくいですし、スキルも環境のtierが入れ替わるほどの多様性はありません。このゲームの競技プレイヤーにとっては、確率が低いガチャをひたすら繰り返し上振れを狙う苦行になっているようです。プレーに変化を付けるための下振れも、プレイヤー自身の選択の結果でない理不尽なものでリカバリーも難しく、プレー上のストレスを増やすだけになっているでしょう。

TCGでは「ハマったときは強いが負けるときはボロ負けする博打デッキ」などという個性も出せますが、ウマ娘の場合は育成回数の制限が緩く、博打デッキは上振れの苦行度合いが高いだけになっています。

こういった問題への対処としては、まず簡単にできるのは縛りプレイで違う味を出すことでしょう。例えばルームマッチ実装初期にはUCCとして特定の「推しキャラ」しか出走できないレースが沢山ありましたし、あるいは私がやった中では特定のサポートカードの使用を条件とするもの、特定の称号の取得を条件とするものを開いたことがあります。これを公式でやらないのは本当に謎です。

他には、お題レースが出されたら1日以内で育成したもののみ出走できるというようなレギュレーションにして、博打デッキの在り方をTCGに近いリスク・リターンバランスにする方法もあるでしょう。使用率の低いキャラクターを使うとボーナスが出る仕組みなども考え得ます。あるいは、たまには上限Aランク単一階級で無差別戦で競うといったイベントもいいでしょう。いうこういったやり方なら現行のチャンピオンズミーティングの単調さはだいぶ緩和すると思います。

また、より難しいデザイン空間の拡充を実行できれば対人戦での面白みが増しますが、競馬再現となると、おそらく他馬との駆け引き(脚質)の拡充あたりではないでしょうか。例えば逃げ一つとっても、博打的大逃げ、ラップ刻み、後続との距離差の維持など多様な戦略があります。差し馬でも距離損失覚悟で大外回りを選ぶか、インを突く戦略かなど、いろいろ展開がありますし、賢さ依存でダイナミックに最適戦略を選ぶなどいろいろやり方はあるはずです。


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