【売上増】あなたのプロダクトでも導入できるかも?TikTokがAIレコメンドエンジンを販売中。
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【売上増】あなたのプロダクトでも導入できるかも?TikTokがAIレコメンドエンジンを販売中。

TikTokを見始めると、気付いたら平気で2~3時間が経っていたなんて経験をしたことがあるのはあなただけではありません。

弊社の投資先でもあるAppAnnieが発表した「State of Mobile 2021」というレポートによると、2020年のTikTokの日本のSNSユーザー1人あたりの消費時間はLINEやTwitter、Instagram、Facebookといった有名なソーシャルアプリを抜いて1番でした。さらに、米モバイルアプリ調査会社「Sensor Tower」のアプリストアデータによると、「TikTok」とその中国国内版「抖音」の総ダウンロード数は30億回を突破しました。

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この大躍進を支えているのがTikTokの強力なAIによるレコメンデーション機能です。
アメリカのトップジャーナルであるWSJは100を超えるbotアカウントを作成し、TikTokのアルゴリズムがどのようにユーザーの好みを学習するかを調査したショートムービーを公開しました。

この調査では、登録したばかりの頃は人気のある動画がフィードに流れ、徐々にユーザーの特性を掴むとよりニッチでカスタマイズされたコンテンツが流れるようになると報告されました。TikTokのアルゴリズムはほとんどのbotの好みを2時間以下で理解し、早いケースだと40分で理解しました。

TikTokのアルゴリズムは他のプラットフォームのものよりさらに強力でユーザー弱みさえ学習できるとYoutubeのアルゴリズム設計に携わったデータサイエンティストのGuillaume Chaslot氏は言います。

彼は、Youtubeでは70%以上の視聴がレコメンデーションエンジンによるものだが、TikTokはそれ以上で、おそらく90-95%だという言及もしています。

WSJが作成した悲しい動画や落ち込んでいる気分(depression)になる動画に興味を持つようにプログラムされた”@Kentucky_96” というbotは#sad #mentalhealth #anxiety というハッシュタグのついた動画を積極的に視聴しました。

@Kentucky_96ががビデオの視聴を始めてから15番目に流れてきたビデオを2回視聴したことで、TikTokはユーザーが落ち込んでいることを理解しました。その後いくつかの動画を視聴していく中でTikTokはrelationships(人間関係)に関する動画を積極的にレコメンドするようになりなりましたが、@Kentucky_96はそれに興味を示しませんでした。

そして、36分間で224のビデオを視聴したころ、TikTokのアルゴリズムは@Kentucky_96がrelationshipやbreakupsに関する動画ではなくdeppresionやmental helth に関する動画に興味があることを理解しました。その後フィードに流れる93%の動画はsadnessやdepressionに関する動画でした。

TiikTokはコンテンツの多様性を保つために意図的にユーザーの好みと関係のない動画を流していると主張していますが、@Kentucky_96のフィードの残りの7%の動画は広告でした。

レコメンド機能の仕組み

あまりに熱中する若者が多く、TikTokが若者の考え方に影響を与えるとさえ言われていますが、TikTokのアルゴリズムはどのように動画をピックアップしているのでしょうか?

TikTokが2020年6月に発表したレコメンドの仕組みに関するブログには、レコメンドされる動画を決める要因の一例として、1)動画の「いいね」や「シェア」、アカウントのフォロー、コメント投稿、作成したコンテンツなどのユーザーインタラクション、2)キャプション、サウンド、ハッシュタグなど動画の情報、3)言語や国の設定、デバイスの種類などのデバイスとアカウントの設定があげられています。

さらに他の要因もあるようですが、これらの要素がTikTokのレコメンドエンジンによって処理され、重要度が決められます。ここではユーザーがその動画を最後まで見たという要素はユーザーと動画の視聴者や制作者が同じ国にいるかよりも重要度が高くなることが例としてあげられています。

こういった膨大な指標を各ユーザーから収集し、独自のアルゴリズムでレコメンドされた動画が私たちのフィードに現れているのです。

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BytePplusとは?

実はTikTokを運営するByteDandceはこのレコメンドエンジンを他の企業に販売しています。

イギリスの経済紙、FINANCIAL TIMESは2021年7月にByteDanceが6月に「BytePlus」というサービスをひっそりとスタートしたと報じました。

BytePlusのHPには既存の顧客としてシンガポールの旅行予約サイト「WeGo」、インドネシアのオンラインショッピング企業「Chilibeli」、インドのソーシャルゲームプラットフォーム「Gamesapp」ソーシャルEコマースの「WEBUY」のロゴが示されています。また、ByteDanceが運営をする「LARK」と「TikTok」のロゴもあります。

中でも「WeGo」は事例紹介としても取り上げられ、「BytePlus Recommend」を活用しユーザーごとのコンバージョン率を増加させたとされています。

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各サービスのアプリやサイト

HPやネット上では導入の詳しい流れや料金に関する情報はまだ出ていませんが、導入企業はどれも比較的設立数年のスタートアップが多いので興味があれば問い合わせてみるのも良いのではないでしょうか。

このBytePlusではレコメンデーションのアルゴリズムを提供する「BytePlus Recommend」の他にも、AR体験のためのさまざまなSDKを提供する「BytePlus Effects」、アプリケーションやウェブサイトに簡単に組み込むことができる機械翻訳サービス「BytePlus Translate」、A/Bテストやユーザーの行動分析ツールなどを提供する「DataRangers」という合計4つのサービスが提供されています。

またByteDanceは、BytePlusを立ち上げる少し前にBytePlusと似たサービスである「Volcano Engine」を立ち上げていますが、このサイトは中国語のみとなっており、導入企業としてあげられているロゴもTouTiao, Xigua Vide, DongCheDi, JianYing, FanQie Novel, PiPiXiaと全てバイトダンスが運営するサービスになっています。

このサービスの切り分けやサービス立ち上げの時期的に、昨年のByteDanceとトランプ前大統領との駆け引きの影響があったのではと誰もが推測してしまうのではないでしょうか。

成功したソーシャル企業の事業戦略

ここで少し興味深いのは今や世界で最も使用されているソーシャルサービスの1つであるTikTokを運営するByteDanceがtoB事業に参入しているという点です。(上記2つのサービスよりさらに前にByteDanceは「Feishu」や「Lark」といったワークスペースアプリケーションの提供もしています。)そしてこれは特別なことでなく、過去に大きな成功を収めたテックジャイアントが進んできた王道でもあります。

AWSは例として挙げるにはあまりにも有名ですが、その他にもEpicの「Unreal Engine」などいくつかの事例があります。

この戦略の背景にはいくつかの要因がありますが、特に共通する理由としては1)急激な成長を遂げたがゆえに、グローバルの主要なマーケットを取り切ってしまう、もしくは成長が鈍化してしまうこと、2)1つのビジネスモデルに依存してしまうリスクの2点があります。

1つ目に関してはSnapが良い例です。Snapは2018年6月中旬にSnap Kitの発売を発表しましたが、これはSnapchatのデイリーアクティブユーザー数が前四半期比で減少した初めてのタイミングでした。

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引用:Business Insider

また、広告モデルに大きく依存するFacebookは昨年、スターバックスなど多数の広告主によるボイコットにより2日間で市場価値がおよそ600億ドル減少しました。広告モデルに比べるとtoBの事業は比較的安定した収入が期待されます。

このように多数のユーザーを抱えるソーシャルサービスが広告や手数料といった定番のビジネスモデルだけでなく、そのインフラなどを利用して新たにtoBビジネスの展開をする可能性が高いとを理解しておくことはどこかのシーンで役に立つかもしれません。

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