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【洋書読書記録】How Starbucks Saved My Life

総評(各10点が最高)

オススメ度:★★★★★★★☆☆☆
ストーリー:★★★★★★☆☆☆☆
読みやすさ:★★★★★★★★★☆
語彙レベル:★★☆☆☆☆☆☆☆☆

とても読みやすく、洋書初心者にもオススメ。

概要

 著者自身の経験を書いたノンフィクション。著者は裕福な家庭に生まれ何不自由なく育った。イェール大学卒業後、大企業に就職して長く務めていたが、突然解雇されてしまう。白人・男性・高所得という社会的強者であった著者はなかなか現実を受け入れることができず悲嘆に暮れていたが、ひょんなことからニューヨークのスターバックスで働くことになる。
 他人が自分のために何かをしてくれるのが当たり前だった著者だが、今度は自分が人に尽くす立場になる。スターバックスでの仕事を通してこれまでの人生を振り返って反省したり、今まで気づかなかった自分の一面を見つけたりする中で「本当の幸せとは何か」に気付いていく。

感想

 スタバ好き、コーヒー好きの人には刺さる内容。

 アメリカ社会のヒエラルキーの上の方から下の方に一気に転落してしまった著者が受け入れがたい現実と戦いながら少しずつ前進していこうとする姿勢には好感が持てる。ただ、転落前の彼の境遇が恵まれすぎていて(自分とあまりにも違いすぎて)ちょっと共感しづらい。失職して奥さんとは離婚するんだけどそれも完全に著者が悪いので自業自得だし、ごはんも食べられないほど困窮しているわけでもないし、なんだかんだで子どもたちは暖かいし、「社会の底辺」とかそういう状況では全くない。
 著者自身にとっては人生観が一変するような出来事なんだけど、いわゆる「ふつうの人たち」にとっては「やっと俺らの苦労がわかるようになったか」という感じかもしれない。
 それからスターバックスという企業と、彼の上司であるCrystalをメチャクチャ持ち上げている。確かに良い企業、良い上司なんだろうけど、これも彼を突然解雇した前の会社・前の上司との落差が激しいのだろうと思う。

全体としては「本当の苦労を知らずにぬくぬく育ってきたボンボンがおじいちゃんになってから地道な労働の意味、仲間の大切さ、本当の幸せに気付く」みたいな話で読後感は良い。

人に対するリスペクト、新しいことにチャレンジする姿勢って大事ですね。

同系統のオススメ本

The Memory of Running/Ron McLarty

主人公のSmithson Ideは43歳独身、279ポンド(約120kg)の肥満体で、自堕落な生活を送っていた。楽しみと言えば食べることと酒を飲むことだけ。そんな彼のもとに、行方不明だった姉が死亡したという報せが舞い込む。突然のニュースを信じられない彼は、古い自転車を引っ張り出して、アメリカの反対側まで走って真実を確かめに行こうと決心する。

長い旅、様々な経験、新しい出会いを通して主人公が肉体的にも精神的にも変容し、自分やその周りの人々との関係を見つめ直していく様子に心打たれる。


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