第14回 自分の田に水を引く
[前回noteよりひきつづき、吉本隆明さんの講演『現在をどう生きるか』(1995年9月3日・山梨県立文学館講堂にて)をゆっくりじっくり聴いてゆきます。ほんじつは、第14回めとなります。]
ぜんかいは「これに対するそれぞれの人の価値観がありまして。経済主体の企業家は『価格破壊だ!』とか『デフレ現象が来て危ない危ない』みたいなことを言うわけですけど。消費者の側から言うと、ちっとも危なくないんで。安く手に入ったほうがよろしいわけですし。こういうこともそれぞれの価値観で分かれてしまいます。」のかしょでした。
では、つづきです。。。
それで、なにがそれで。じゃあ、どの言い方が正しいのか。って言ったら、少なくても僕は理解してる限りには、正しい言い方をしてる、っていう人は居ないと思います。専門家も居ないと思います。
(チャプター02「疑わしくなった善悪の基準」/3:52〜)
「じゃあ、どの言いかたが正しいか? と言ったら、少なくても僕が理解している限りには、正しい言いかたをしている人は専門家でも居ないと思います。」
つまり、あの。みんな、自分勝手な、って言いますか。
「つまり、みんなが自分勝手な、と言いますか、」
自分の田に水を引く、と言いましょうか。
「自分の田に水を引く、と言いますか、」
あぁー、四字熟語の「我田引水」ってこういう意味だったんだぁ。じぶんは、恥ずかしながらあんまり知らなかったっす。
せっかくなので、広辞苑第七版で引いてみた。。。
がでん-いんすい【我田引水】(自分の田へ水を引く意)物事を、自分の利益となるようにひきつけて言ったり、したりすること。我が田へ水を引く。「その理屈は、—に過ぎる」
‥‥と、ちなみにね。この広辞苑の「我田引水」のつぎに載っているのは、「花天月地(かてんげっち)」ということばでした。このことば、ぼくは初めて知ったですが、すてきだなー!!!
あーと、話しがそれました。吉本さんの講演へもどります。
自分の都合のいい、あるいは、自分たちの都合のいい言い方で、これが正しいんだ、って言ってる。っていうふうにしか、僕には思えません。
「自分の、あるいは、自分たちの都合のいい言いかたで、これが正しいんだ! と言ってる、としか僕には思えません。」
つまり。つまり、それくらい、あの、それぞれの考え方っていうのが、あの。同じ現象に対して、違ってきてしまっています。
「つまり、それくらい、それぞれの考えかたがおなじ現象に対してちがってきてしまっています。」
それぞれの人の考えかたが、それぞれ自分たちの都合のよい言いかたで「これが正しいんだ!」と言っている。それぐらい、おなじ現象に対して、それぞれの考えかたがちがってきてしまってる。
‥‥というところで「チャプター02」が終わりましたので、次回noteからは「チャプター03」を聴いてゆきます。
まだまだ、つづきますー。
平成30年7月26日
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