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日本人海外駐在員は本当に皆必要なのか?

コロナ禍の影響として以前予想していた通り日本人海外駐在員の見直しが加速しています。

日経リサーチによると7割の企業が海外駐在員を見直しているとのことです。

これまでなら現地に居なければできないと思われていた業務も、「やってみれば意外と日本から遠隔でできるものもある」という新たな発見と自信を得た企業も多いだろう。これを機に、駐在をベースとした既存の組織体制や業務を改革していこうという企業と、これまで通りの体制で業務を遂行していこうという企業に分かれていく可能性が高そうだ。

元々日本企業の海外への進出は、一部の国際畑や海外畑と呼ばれる特殊専門集団に過度に依存しており、また一旦海外駐在すると長期間にわたったり、また海外から海外への異動を繰り替えすことが多くみられました。その根本原因は日本にある本社のグローバル化が進んでいないため、海外事業に使い勝手の良い日本人を送るのが最も便利だったからです。

一方海外駐在員の多くは日本での役職よりもインフレ気味の高い役職に就くことが多く、これが実際のポジションに求められるマネジメントスキルと合致しないため、パフォーマンスが十分に発揮できなかったり、マネジメントされる現地従業員からの不満も多くありました。

最近ではこういった海外子会社社長経験が日本への帰国後評価されるようになりましたが、その昔は日本へ帰国しても適職がみつからないケースも多々ありました。その意味で送られていた海外駐在員が不幸な末路をたどることもよくありました。

日本本社とのパイプ役としての本社戦略の遂行、拠点の計画立案・進捗管理、技術・ノウハウの移転、オペレーション上の意思決定などこれまで駐在員が担ってきた役割のうち、業務執行部分は今後ローカルへの移管が進んでいくだろう。併せてリモートワークの加速に伴い、管理業務の一部は「本社からのリモート管理」への切り替えが進むことも予測できる。その一方で、理念浸透やガバナンスの維持は引き続き、駐在員の重要な役割として残ると考えられる。(企業によっては、顧客である日本企業のための顧客接点業務も海外ビジネスを行う上で不可欠と考えるだろう)

私は以前から海外駐在員を日本から送る場合には、現地に無い技術伝承や現地従業員のタレントプールが十分で無いなどの過渡期的理由に限られる、と言ってきましたが、今回のコロナ禍でやっと日本企業も海外駐在員の位置づけを見直し始めたと思っています。

昨今ジョブ型雇用がコロナ禍をきっかけに話題になっていますが、海外駐在ポジションこそジョブ型であり、本当にそのジョブにふさわしい人が日本人に限らず就くことが本来の姿なのだと思います。あまり世間では話題になりませんが、これもウイズ・アフターコロナのニューノーマルの一つになるでしょう。

次に求められるのはグローバルな企業理念の浸透、現地タレントの育成と日本本社からリモートでマネジメントするスキル開発なのだと思います。

こういったプロセスを経て、初めて日本企業は真のグローバル企業、そしてインクルージョン&ダイバーシティな組織に近づいていくことになるでしょう。

(本記事の内容についてより詳しくご相談されたい方はこのリンクからコンタクトください。グローバルな企業理念の浸透、海外ポジションの要件定義、グローバルポジションにふさわしい人材のアセスメント、グローバル駐在員ポリシーの制定、リモートマネジメントスキル開発などについてお手伝いいたします。)



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