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7月の事例検討会

こんにちは。NPO法人日本ホームチャイルドケア協会です。
ベビーシッターに特化した座談会、勉強会などを運営しております。

7月は「不審者対応」の事例検討会を行いました。


経緯

シッターがサポート中にショッピングセンターで不審者に遭遇しました。相手を刺激させないようにしながら、その場を離れる対応をし、通報、大きなことにはならずに済みましたが、そこから不審者対応についてどのようにすればよいのか考えているが自分だけでは分からない、というお話を聞き、事例検討会という形で勉強会を行いました。

事例提供者

事例を提供してくださったのは、青森県でシッターする30代のわたこさん。
保育園・乳児院勤務6年、ベビーシッター歴2年半の経験があり、保育製作も得意なシッターさんです!インスタグラムでは、日々のシッターのことから保育に活用できる製作まで幅広く発信され、そのストーリーは楽しいだけでなく参考にもなるものばかりです。

わたこさんのインスタグラム
https://www.instagram.com/birthdayplanner_watako

︎4つの事例

わたこさんは、不審者に遭遇したことが4回ありました。場所はショッピングセンター内のトイレ、ゲームコーナー、お散歩中、盛大なお祭り、それぞれ場所は異なり、保護者と一緒の時もありましたが全て現実に起こったことです。まずは、実際に起こった事例だけを全て聞いてもらい、聞き終えた感想は。。。

シッターA 
「どれも怖いの一言でした」
シッターB
「おでかけサポートをまだしたことはないけれど、聞いて良かった
シッターC
「たった10分でも起こり得るのだと…」
シッターD
「おでかけサポートでは熱中症など別のことに注意していますが、不審者のことをそんなに意識していない自分に気がつきました

事例を聞いただけで、みなさん感じることや気付くことがありました。

知るって大事ですね


ある事例の一部

不審者の共通点(一部)

①不審者側から声かけはなかった

意図的なのかの真相はわかりませんが、不審者とは何度も遭遇していました。お子さんの性格にもよりますが、何度も会うことで、こちらから声をかけたいという気持ちになるほど。大人は不自然に感じていても、子どもには危機感はなく、自ら近寄る可能性が潜んでいることも見えてきました。

②身なりは一般的な格好 、もしくはその場に馴染む格好

今回、遭遇した不審者の格好はドラマやアニメなどにあるような黒い服装・黒い帽子・サングラスなどではなく、普段着の人がほとんどでした。お祭りでは、その場に馴染む格好で、最初は「警備員さんだ」と大人も思うほど違和感を感じないケースもありました。

警備員風のベストを着用していた不審者も

事前準備や対策

では、どんな事前準備や対策をしたらよいのでしょうか。
それぞれのシッターからは、笛や防犯ベルを持参している、多目的トイレしか使用しない、などたくさんの話がでた中で、「こども110番の家」に駆け込むというお話が。

「こども110番の家」をご存知でしょうか?

「こども110番の家」とは日本で行われている こどものための緊急避難所設置取り組み、およびその取り組みによって設置された避難所のこと。警察や地方公共団体によって設置・推進がすすめられている。主に通学路にある商店が地域活動の一般として行っている場合が多いが、民家がその役割を行っている場合もある。

ウィキペディアより

この記事を書いている私も「こども110番の家」に登録し、自宅前にはステッカーを提示しています。こどもが成人したこともあり、話しにあがるまでスッカリ忘れていました。

ステッカーの絵柄は地域によって異なります

私は「こども110番の家」をして20年近くなりますが、そのうち我が家に子どもが飛び込んできたのは「トイレに行きたいと」いう1件のみ。この件数は住んでいる地域にも寄ると思います。設置の時の説明では、ステッカーがあることで駆け込むことのできる場所がたくさんある「不都合な場所」と不審者には認知され、ステッカーがあるだけで抑止力になると聞きました。

初めて行く場所の下見や、シッター先のご自宅に向かいながら、チェックしておくのは事前準備の1つになりますね。

︎こどもへの伝え方

言葉のやりとりがしっかりできる年齢のお子さんなら、おでかけサポートの前に不審者に関するお話しをすることもできます。行く前にクイズ形式でお話をしているシッターさんもいらっしゃいました。

その場から離れたい場面に遭遇した時の合言葉を事前に決めておくというアイディアも。

そういえば、勤務していた保育園では、お散歩や公園遊び中に不審者を見たらスマホを耳に当て「園長先生から電話です」が合言葉でした。

この言葉を聞いたら、不審者が近くにいるので、すぐに子どもたちを連れてその場を離れるという決まりでした。またスマホをすぐに扱える姿を見せることで、すぐに110番できると相手にアピールする狙いも。サポート先のお子さんとなら「電話がかかってきたから帰ろう」など合言葉を決めるのも良さそうです。

もし、追いかけられたり刃物をだされたら…


もし追いかけられたり、刃物を向けられたらどうしたらよいのか、という話題にも。これには、全員「・・・・」出会いたくない場面ですが、危機管理のためには、様々なことを想定しておかなければなりません。

「ポケットに小銭を入れておき、小銭を投げつける」という方法をネットで見たとシェアがありました。

感情を逆撫でてしまう心配もありますが、方法として知っておくのは良いですね。

まとめ

4つの事例を通して自分にもあり得ることだと考える貴重な事例検討会になりました。参加者からも「その場を、どれだけ早くに離れていくのか、安全を優先し、どのようにしていくのかシュミレーションしていこうと思いました。」との感想も。

今回のケースはすべて男性で、見た目から不審者とは思いにくく、特に相手からの声かけはありません。何度も遭遇することで、大人は不自然さを感じますが、子ども目線では親近感を抱き、自ら声をかけたくなることも。子どもの性格にもよりますが、そんな心理があることも知ることができましたね。

その場から離れることが鉄則ですが、離れる時の「合言葉」や「こども110番の家」など避難先の確認など、事前準備としてすぐにできることがたくさん。

「私1人では1パターンになりがちな予防・対策も皆さんのご意見や実際に気を付けていることを教えて頂いて、かなりレパートリーが増えました。」との感想もありました。

日々のシッターで役立てていきたいですね!

8月の勉強会のお知らせ

8月は、実際に起こった誤嚥による死亡事故等の重大事故の検証報告書をもとに、どのような経緯で事故が起こったのか、事故防止のためにできることについて勉強します。単に食べさせ方ではなく、様々な視点からお子さんの命を守ることはもちろん、シッター自身を守るためにはどうしたらよいのかが学べます。このような勉強会は、珍しいと思います。ぜひご参加くださいね!


いただいたサポート費は、訪問保育のインフラ化と、勉強会等の活動費に使わせていただきます。よろしければサポートをお願いします。