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【マチメグリ】HBPワールドツアー訪問記:ドイツ・ルール訪問-2(エッセン)(2015/7/14公開)

ルール地方のエッセンからご紹介。

エッセン市は人口57万人、ヨーロッパ最大だったルール工業地帯の中心的な都市として、鉄鋼のクルップ財閥の本拠地として、鉄鋼と炭鉱で栄えたまち。1980年代からの産業の衰退で労働者は失業者になり、土地は汚染され人口は減少、空家が大量発生。IBAエムシャーパークプロジェクトとして再生が図られたツォルファライン炭鉱跡地があり、2010年の年欧州文化首都に選ばれた。見本市や展覧会、文化芸術プログラム、ショッピングなどが充実している。ルール地方の500万人の都市圏にアクセスできるよい立地にある。

ツォルファライン炭鉱跡地(Zollverrein)
ツォルファライン炭鉱は、市旧市街から北へトラムで15分ほどのところに立地する。製鉄に必要な石炭を採掘するためこの地に設置され、1851年~1986年までの130年以上にわたり採鉱されてきた。世界最大で最も近代的な炭鉱のひとつであり、最先端の技術が次々に投入され、毎日千人にもなる人々が交代で働いていたとのこと。工場が閉鎖されてから中国に売却する話もあったが実現せず、IBAエムシャーパークプロジェクトとして生態系を回復しつつこれらの炭鉱プラントは文化・展示施設に転換されることになる。ツォルファライン炭鉱業遺産群(第12採掘抗)は、伝統的な重工業の遺産とバウハウス形式の建築などが評価され、2001年にユネスコ世界遺産に登録された。年間150万人が訪れる。

世界遺産になり近くにオフィス誘致を図ったが、簡単ではないらしい。当初のマスタープランは空地や隣接地にオフィスの建物を建設し誘致するという計画であったが、旧市街から一定の距離があること、旧工場の建物に入居するニーズはあるが新しい建物にニーズが少ないなど、この施設自体には吸引力があるがその波及効果が期待されていたほどに実現できていないというのが課題らしい。

工場敷地は非常に広く、ルールミュージアムなどの観光施設もあるため、年配の観光客の姿もよく見かけた。近隣の子どもや親子もわずかではあるが散歩や遊びの場所として使われていた。ただ、デュースブルグのランドシャフツパークのような無骨感や子供連れが使いこなす身近な雰囲気とは少し異なり、洗練された世界からの人を受け入れる場という感じ。

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ルールミュージアム

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子どもの遊べるスペースがいくつか用意されている

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未改修建物とまだ入居がないオフィス誘致予定の敷地

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SANAA設計の大学の建物、1Fは入館可

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地震がないせいかこの美しいプロポーション

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プールは掃除中、もうすぐオープン時期

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冬になるとアイススケートリンクになるそう

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カフェのつくりがCOOL!

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団体の観光客や学生は敷地内をミニバスで周遊

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全体の敷地マップ

参考リンク
https://www.zollverein.de/

ルールミュージアム
旧石炭プラントの中にあり、ルール地方の自然、文化、歴史などについてのコレクションが展示されている産業博物館。欧州文化首都にあわせて2010年にオープン。

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博物館の入口部分

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建物内の展示

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博物館にアクセスするエスカレーター

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チケットインフォメーション

参考リンク
https://www.ruhrmuseum.de/

レッドドットデザインミュージアム
レッドドットデザイン賞の受賞作が、無骨な工場跡地の構造物の中に展示されている。生活に密着したあらゆるプロダクトデザインの製品を、どこに展示されているかを探しながら歩き回る。インパクト大!建物は、1990年度半ばにノーマンフォスターにより再建されたもの。

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ミュージアム入口

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入るといきなりインパクト大!

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ヘリやヨット、バスタブから掃除機などなど

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世界中から選ばれたプロダクトデザインを展示

参考リンク
http://www.red-dot-design-museum.de/de/essen/
http://panoramen.nrw-tourismus.de/panoramen/zollverein_1_0/zollverein.html

エッセン旧市街
旧市街内のトラムを地下化して広場と歩行者空間をつくった事例で有名とのこと。確かにいたるところに異なる性格の広場があり使われている。トラムの駅は大屋根がかけられてショッピングセンターになっている。駅前とは別に、旧市街の西はずれに最近大きなショッピングセンターが開店した、これは賛否両論あるらしい。

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カフェやイベントにも利用される広場

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ナショナルチェーンが並ぶ商店街

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大きな木や芝生や遊具がある広場もすぐ隣に

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最近オープンした大規模SC

空きビルのリノベ&クリエイター基地(Unperfekthaus)
旧市街の西はずれにできた大きなショッピングセンターの目の前にある施設。増える空きビル対策のひとつで、建物全体をリノベしてクリエイター基地にしたもの。中にはビュッフェ形式のカフェレストラン、ライブハウス、会議室、各クリエイターの部屋、たくさんのパブリックスペースがあり、とても楽しげ。当日は入居者パーティのような集まりもやっていました。

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新しいSC近くの基地

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屋上に案内いただいた・これはいい!

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気さくな兄ちゃんがマスター兼案内役

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各クリエイターさんの部屋

参考リンク
http://www.unperfekthaus.de/

ガーデンシティ・マルガレーテンヘーエ(Gartenstadt Margarethenhohe)
1900年代初期のガーデンシティを訪問。ハワードの理論をもとにしたドイツの田園都市の中で最もすばらしいもののひとつらしい。ドイツの鉄鋼会社クルップ財閥の妻、マルガレーテクルップさんの土地や資金の寄付により、工場の労働者や従業員の社宅兼迎賓館として郊外につくられたまち。現在もマルガレーテクルップ財団が保有する。彼女の名前にちなんでまちの名前がつけられた。
エッセンの中央駅や旧市街からトラムで15分程度、入口にはりっぱなゲートが建つ。中心の大きな広場には噴水、レストランやゲストハウスがあり、教会、保育園、小学校もエリア内で運営されている。隣接する森も敷地の一部らしく接続されている。各住宅はすべて様式がそろっているわけではないが、棟ごとの統一感や個人で飾る花やファニチャーなどの個性などがとても心地よい。ゲートの近くは大きな家が多く昔の役員クラス、奥は労働者クラスかな?と勝手に想像。個人の庭は建物の背後にありあまり道路側からは見ることができないが、個々で工夫をされていて、子どもたちの笑い声が聞こえたりする。大きな樹木が歴史を感じさせる。

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トラムからも見える入口のゲート

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入口近くには大きな邸宅が並ぶ

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長屋形式

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建物の奥にある個々の住戸の中庭

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小学校とその前には大きな芝生広場

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ここから先が森エリア

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中心の広場に面するレストランとゲストハウス

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おいしい料理をいただきました

参考リンク
https://www.essen.de/tourismus_1/sehenswuerdigkeiten_1/margarethenhoehe.de.html
http://www.essen-margarethenhoehe.de/index.html

(ひで)


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