またまたお待たせしました!特番インタビューから②北原アカデミーダイレクター篇

1週間お待たせしてしまいました。今回も書き起こししながらすごく面白いインタビューでした。ぜひ読んでいただけると幸いです。昨年12月29日(日)ごご4時30分~放送させていただきました「検証コンサドーレ2019 ルヴァン杯 決勝へと導いたあの力~北海道が開く世界への扉~」より、北原次郎アカデミーダイレクターのインタビューです。

Q.指導している子供たちは何人ぐらいいますか?

北)約500人です。今、札幌、旭川、釧路、室蘭の4拠点に増えまして、その中で各拠点に小学生と中学生のチームがあって、札幌だけ高校生のチームがあるという形なんですけど、全体で500人います。


Q.一番多い世代は小学生?

北)そうですね、小学生世代が一番多くなっていて、そこから少しずつ人数が絞られていくという形になっています。

Q.最初はだれでも入れるのですか?

北)サッカースクールという形で開催しているクラスには多くの選手が希望通り入れることが多いんですけど、アカデミーグループとして活動しているチームには必ずセレクションというものを受けてもらって、それに合格した子どもたちしか入れないという形を取っています。

Q.子どもの時から競争?

北)そうですね、当然東京の関東近郊のクラブに比べると受験者数というのは多くないんですけれど、近年は非常に小さい年代からスポーツのパフォーマンスを高めるための様々な習い事をしている子供が多いので、一緒にレベルが上がっているかなとは思います。

Q.コンサドーレのアカデミーの理念は?

北)一番の目標はトップチームに選手を輩出するということになります。なのでトップチームで掲げている「北海道とともに世界へ」という世界で活躍できる選手というのが我々アカデミーが共有している目標になるので、我々としては札幌ドームで活躍し、そして日本代表になって世界の強豪と戦える選手をまず育成したいなと。いう風に考えています。

Q.トップチームで活躍している選手も多く、コンサドーレのアカデミーは成功しているようにみえるがどう評価していますか?

北)現時点ではワールドカップに出場した選手、あるいはオリンピックに出場した選手が我々のアカデミー出身でまだ出てきていないので、まずは一番大きな目標としてそこを達成できればいいと思っています。ただしトップチームに昇格する選手、あるいは今年で言えば試合で出ている選手も多くいるので、今までコンサドーレのアカデミー、それ以外の指導者の方々も含めて多くの方々が育ててくださったことが成果として出てきていることは非常に喜ばしいことだと思っています。

Q.ルヴァンカップ決勝のスタメンにアカデミー出身者が4人名を連ねたことをどう感じましたか?

北)そうですね、あの場にコンサドーレのクラブがいて、北海道出身の選手、アカデミー出身の選手が試合に出ていて、そして活躍している姿というのは非常に感動しましたし、我々としても大きな一歩を踏み出せたなと思っています。当然最後のPKを進藤選手が外したということは少し残念でしたし、我々も責任を感じましたけれど、深井選手が同点ゴールを決めたシーンは我々としても感動的なシーンだったと思っています。

Q.PKのシーンは責任を感じるんですね…

北)はい…(…悩みながら…)様々な考え方があると思うんですけれど、あのような舞台でしっかりと自分のやりたいプレーを成功させてほしかったなとは思います。

Q.最近クラブの成長が評価されてきているが、その成長の中でアカデミーの役割に変化はありましたか?

北)役割に変化というものはないのですけれど、まず我々がこのようにクラブとして大きくなり、強くなった背景には多くの方々が支えてくださって、サポーター、地域の方々、ここまで歩んできた歴史、皆さんの努力というものが大きな要因かなと思っています。その中で言いますとホームタウンを札幌から北海道全域に広げた中で、北海道全体のサッカー少年、サッカー少女が夢に向かって挑戦する姿を応援する環境というのを作らなければいけないという意味で言うとより大きな使命を担わなければいけなくて、より我々が活動していくエリアをより大きくしなければいけないと感じています。

Q.4拠点はまだ足りない?

北)やはり拠点の数もそうなんですけれど、現時点で北海道の様々な地域で本当はもっともっと努力したい、もっともっと自分の夢を追いかけたい、けれど環境がそうさせてくれないというサッカー少年、サッカー少女が非常に多くいると思っています。なので拠点数を増やすということもそうなんですけれど、少しでもそういう子どもたちがどのように努力したらよいのか、そして努力した時先にしっかりと夢を見る力を育てることができるのかというところが重要なところで、そのための我々としては環境整備したいと思っています。

Q.近年代表に選ばれる選手も増えてきていて、子どもたちに与える影響や変化はありますか?

北)まずは北海道の選手、北海道民の気質として北海道から出ていった全国大会でなかなか力を発揮できない、あるいは大きな舞台で力を発揮できないと感じていました、そうした中で今年(2019年)Jリーグで活躍してくれた選手たちは皆自分の力を発揮できる、そういうメンタリティも含めた成長が見られたと思っていまして、それ自体は北海道の多くの選手たちに非常に勇気を与えたんじゃないかと思っています。

Q.北海道の子供たちは大舞台に弱いという印象はある?

北)そうですね、メンタリティという意味でも非常にやさしい、北海道民としてのメンタリティはあると思っています。なのでやはり大きな舞台で普段以上の力を発揮するというよりは普段よりはちょっと力を発揮できないなぁ、ということは非常に大きな課題として我々も取り組んでいるところで、現実的にはまだまだそういうメンタリティの選手が増えていないんですけど、少しでも自信をもって、自分のプレーを大きな舞台でも、強い相手でもチャレンジできるようなそういうマインドになってほしいと思っています。

Q.リーダーシップ、言葉にできないという課題は四方田コーチも語っていましたが…

北)やはり自信、自分への自信をまだまだ持てていないのかなという風に思っています。やはり自信を得るためには多くの成功体験が必要で、我々が普段日常的に生活している北海道の中ではなくて北海道の外の環境の中で成功体験が得られれば一番いいんですけれど、なかなか地理的なハンデもあってそのような環境、そのような舞台が多くないものですから、選手たちが自信をもって、自分に自信をもって自分の武器を発揮するということは多くの北海道の選手にとっては難しい課題になっているのかなという風には思います。

Q.そういう対策としてかアカデミーでは海外に多くいっている印象を受けますが…

北)まずは頭の柔らかく、吸収力の高い年代から異文化に触れて、当然日本という国の自分たちが恵まれているという面に気づくという面もありますし、単純に価値観というものを広げた中で自分がサッカーにおいても、サッカー以外においてもグローバルな視点を持った人間になって欲しいなと思っているのが一つと、当然サッカーの面でも様々なサッカー文化の背景にある国々のチームと試合をすることによって自信を得ることもありますし、多くの学びがあると思っています。

Q.アカデミーは私生活の部分も力を入れている?

北)当然青少年の育成ですので、我々は競技力の向上と同時に人間力の向上というのは重要な課題としてあげてまして、ご家庭、学校と連携した中で、プロのサッカー選手になれなかったとしても社会で活躍できる人間になってほしいという思いでやっております。これはおそらくサッカーと切り離した部分というよりはサッカーとつながっている部分だと思いますので、小学生、中学生から高校生と上がる段階でまずは自立して、ご家庭からも、あるいは学校、自分たちを守ってくれる大人から自立して自分自身で考えて行動できるということを重要視して、小さい年代から自分自身の思考のもと、自分の人生において自分と向き合って、自分自身を成長させられるという部分を重要視して取り組んでいるということは言えると思います。

Q.私生活や人間性が足りなくて次のステップに進めない子もいるのでしょうか?

北)実際我々としては人間力の向上ということを掲げて指導はしています。ただ不完全な育成世代の選手たちですので、そのことを唯一の原因として我々が評価を下して選手の可能性をつぶすということはしないと思っています。ただし先ほども申しました通り、人間力の向上というのはオンザピッチにもつながっていますので、我々としては自分自身を成長させられるということで言うと、自分としっかり向き合って、しっかり自己分析をして、自分に何が足りないのかと目標設定をして、それに向かって正しい努力をするということをしっかりプログラムして選手たちに教育していった中で、自分自身の頭で考えて、自分で自分を高められると、そういうことは重要視しています。それによってパフォーマンスの差は大きく出てくるのではないかと。それはプロに上がってからより大きく出てくるものだと思っているので、我々はプロに上がることが目的でなくて、そこから世界で戦うことが目的なので、そのあたりの自立した思考力を持つことを重要視して活動しています。

Q.プロに上がれない子も多いと思いますが、そういった子たちにアカデミーとして考えていることは…

北)まずはプロになったか、なっていないかというのは結果ですので、まずはその過程において全選手が本当に100%努力してかけがえのない時間を過ごせたなと自分自身で納得してもらえるということ、これはすごく大事だと思っています。その結果としてそれぞれのフィールドが変わって活躍する場所は変わると思うんですけど、必ず自分自身で100%努力して、目標のために仲間と協力するということはどのフィールドでもすごく大切なことですので、そういう意味ではそれぞれにおいてリーダーシップをとって、情熱的に今自分が楽しんでいること、取り組んでいることを100%努力して追求する姿は必ず全選手が身につけられるように我々としてはサポートしたいと思っています。

Q.サッカーを通してコンサドーレのアカデミーは人も育てている…

北)そうですね、学校教育と我々とでやらなければいけないことは大きく差はないかなという風に思っています。ただ必ず我々が意識しなければいけないのは、世界で活躍する選手を育てるという意味では、我々の掲げている目標は小さくないので、それに向かって指導者も、選手も全員が本気で努力しないとそこにたどり着かないと思うので、そういった環境をしっかりと作り、そういう日常を過ごしていきたいと思っています。

Q.最後にコンサドーレのアカデミーの究極の姿、心の中にあれば教えてください…

北)…(長く悩まれて)…一番の大きな夢は選手で活躍する選手を育てるということなので、いつか本当にヨーロッパの大きなクラブで我々のアカデミー出身の選手が大きな活躍をしたときに、世界中の選手たちが「あの選手はどこで育ったんだ?」というときに「コンサドーレだ」と胸を張って言えるそういう風な選手が出てきてほしいなという風に思いますし、我々が日本代表の選手が複数生まれたときに札幌のみならず、多くの地方の拠点からも日本を代表するような選手が生まれて、自分たちもいつか頑張っていれば日本の代表に入れるんだと、北海道の子どもたち、少年少女が本気で自信をもって努力できるというような、子どもたちに夢を見る力を我々が育んでいけるような、そういう選手たちが多く生まれてきて、そういう環境を準備すると、それが我々が今持っている大きな目標だと思っています。


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