見出し画像

I’m your hope. 誰かの「希望」であることを「天職」と呼ぶ男、J-HOPE

先日読んだ『世界は贈与でできている』(近内悠太著)に、こんなステキな記述を見つけて、私は思わず3回も読み返した。
それは、「天職」について述べているくだり。

>>
「天職」とは、自分にとって効率的に稼ぐことのできる職業、職能ではありません。天職は英語では「calling」です。

誰かから呼ばれること。誰かの声を聴くこと。これが天職の原義です。

もちろん、西洋の考えでは、その声の主は神です。ですが、その声には神ならぬ普通の誰かからの「助けて」という声も含まれているのではないでしょうか。

そして、たまたま自分には、その声に応じるだけの能力と機会があった。それに気づいたとき、そこには責任(responsibility、応答可能性)が立ち現れます。

「自分にできること」と「自分のやりたいこと」が一致しただけでは天職とは言えません。第三の「自分がやらなければならない、と気づくこと」という要素、つまり使命の直覚が発生しなければならない。

天職の3分の1は、使命でできている。callingという言葉はそれを教えてくれます。

>>

劇場公開中の『BTS:Yet To Come in Cinemas』の中で、JINくんが、ARMYの前でパフォーマンスしたら、直前までの喉の痛みがなくなったことから、「これが天職なのかな」と話していたけれど、ホビもまた、以前にインタビューへの回答で「天職」という言葉を用いて話をしていた。

「正直なところ、今は天職を果たすために生きているような気がします。人生においての私のモットーは、どんなことがあっても常に感謝し、その瞬間を楽しむことです。だから、私はさまざまなことを受け入れて生きようとしています」

先ほどの著書の言葉を前提とするならば、ホビはアイドルという職業を、J-HOPEというBTSのメンバーの一員であることを、
「自分にできること」であり、
「自分のやりたいこと」であり、
「自分がやらなければならない、と気づくこと」と認識していると言えるだろう。

使命感をもって、「J-HOPEをやっている」のだと。

以前出演したバラエティ番組で、彼はこんなことを言っていた。

「常に明るく振る舞っているけれど、家にいるときは全然違う。家では無口だから、親が心配している(笑)」

朗らかで、何に対してもリアクションが良くて、大きな笑顔と高いテンションでみんなをハッピーにしてくれる、その名の通りHOPEな側面は、使命感に基づいて遂行されているものなのだと、このエピソードからよくわかる。

とは言え、別に彼は嫌々そうしているわけではない。自己犠牲を払っているわけでもない。誰かをハッピーにすることを、誰かの希望となることを、メンバーの助けになることを、「天職」と感じているからこそ、そうしたいというパワーが自然と沸いてくるのだ。

彼が天職をまっとうすることで応じようとしてくれている、「神ならぬ普通の誰かからの『助けて』という声」とはまさに、私のようなファンが日常でさまざまな困難にぶつかったときに、思わず出てしまう悲鳴のこと。心に傷を負ったり、つまづいて転んでしまったりした状態から、彼はその明るさや、一生懸命な姿、真摯な振る舞いや言動、魅力的なパフォーマンスによって、私たちを救い出してくれる。

同著のタイトルにある「贈与」とは、ここでは「お金では買えないもの」のことを指す。そして、著者は「僕らは、他者から贈与されることでしか、本当に大切なものを手にすることができない」としている。

私たちはいつも、彼から「お金では買えないもの」を受け取っていて、それは自分では作り出すことができない価値あるものなのだ。

さらには、贈与はそれを届けるべき「宛先」が先にあって、だからこそ差出人は「これを必ず届ける」という使命感をもつことができ、その使命感とは、「生命力そのもの」だと書いている。

>>
贈与の受取人は、その存在自体が贈与の差出人に生命力を与える。
>>

少し乱暴かもしれないが、これをアイドルとファンに置き換えると、

「ファンは、その存在自体がアイドルに生命力を与える」ということになる。

>>
メッセンジャーにとって、受取人という宛先の存在は救いとなるのです。

この人に届けるためだったのか……という意味を与えるのです。人生の意味、生まれてきた意味を。
>>

昨年、BTSソロ活動の先陣を切り、満を持してリリースした、アルバム『Jack In The Box』のタイトル曲『MORE』には、こんな歌詞がある。

>>
また誰かのfavorite song
それが僕の人生の半分、生きる理由、生きる楽しみ
原動力でcarry on

>>

>>
my works makes me breathe,so I want MORE.
(仕事が僕に息をさせてくれる。もっと欲しい)
>>

誰かに「希望」を贈り、それを誰かが受け取ってくれることで、彼は人生の意味、生まれてきた意味を感じることができるのだ。

そう思うと、こちらはただ受け取っているだけなのに、とっても誇らしい気持ちになる。私たちは、互いに大切な贈り物を贈り合える尊い関係性なのだと、感じられる。

彼がこの先もずっと、天職と感じられる仕事をし続け、人生に意義を感じながら生きていくことを、心から願う。

愛しの我が推し、J-HOPE。誕生日おめでとう!!!ソンムル(贈り物)の代わりに、このコラムを捧げます。

2023年2月18日

※2021年、2022年の今日も、ホビに捧げるコラムを書いています。
よろしければ、こちらもどうぞ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?