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ゲーム「贄の町いろむすび」感想

※この感想は18禁BLゲームの感想です。ご注意ください。

 「贄の町」の続編である本作。どこか軽快でどこかおかしく、不気味で、でも重い。そんなちぐはぐで面白い印象の前作。楽しくプレイした前作の続編を楽しめるのか?はい、楽しめましたという感想です。

元々クラウンドファンディングで出した作品らしいです。CF参加してお金出してた出資者、ありがとう!そのおかげで私がプレイできています。

ジャンル:非日常の悦楽に浸るADV
プレイ時間:約25時間
媒体:PC


■ 4種類の話

 ファンディスクと侮るなかれ、結構ボリュームがあります。基本的には後日談。たまに過去話もありって感じです。合計4種類。

開幕

 自ら望んでみんなのいるこの異世界に残留するお祭りハッピー時空エンドの後日談。

後日談

 各攻略対象キャラの現世帰還エンドと町滞在エンドの後日談。

外伝

 合計6種類の過去話。

いふ

 バッドエンドの後日談。こちらも合計6種類。


■ グロ要素健在

 今作でも健在です。前作をプレイした方なら問題ないと思う。大体同じレベルのグロかな。


■ ゲームシステム

 前作とほぼ一緒なゲームシステム。異なるところだけをピックアップします。

UI

 ノスタルジックで可愛いUIは今作でも健在です。かわい~~。しかしなんで電車なんだ?パッケージも電車だったし。

√ZOMBILiCA
√ZOMBILiCA
√ZOMBILiCA

既読文字

 前作ではついてなかった既読文字、今作ではつくようになりました!やったーわかりやすい!

文章と音声の差異が多い

 文章と音声の差異があります。恐らく音声の方が正しいと思われます。例えば「苗字さん」と呼ぶキャラクターが「名前さん」になってたり、結構な頻度で出てくるので違和感があります。


■ 32bit版対応推奨

 私の場合、最初は普通にプレイできていましたがエンディング途中にエンディング見続けるのが面倒でゲーム画面を終了したところ、起動できなくなってしまいました。しかし公式の手順通りゲームを32bit版にしてみたら無事起動。
公式いわく、Windows11に対応したからメモリ不足になってるかもとのことでしたが、正直メモリ不足云々よりゲームがwin11に対応しきれてないんじゃないかなと思っています。なので最初から最後まで不備なくプレイしたいなら32bit版でプレイすることを推奨します。






~~~~~ネタバレするよ~~~~~






開幕

 前作「終焉 柒」(自ら望んでみんなのいるこの異世界に残留するお祭りハッピー時空エンド)の後日談。一応簡易あらすじも付けておきます。

 日々宿のみんなと日常を過ごしていたところ、謎の青年が現れ、日天に近づいてくる。敵意がないと判断した日天は彼に「35」というあだ名をつけ、一緒に遊ぶようになる。

夜になったら目玉舐り爺がやってきては異形に襲われ、強姦魔がやってきては異形に襲われてるのでこのルートが一番治安的に安全な気がしています。

35エンド

 35は実は異形だったのだ!な、なにーーー!? はい、知っていました。不審者掃除してくれてたもんね、ありがとう。
日天の言うことをよく聞き、ただ日天と一緒にいたいと願う異形、良かったな~。まあ異形なので一緒にいればいるほど生気が吸い取られるんだけど。
日天が35と一緒にいることを選び、35が催淫効果がある体液で日天をメロメロにし、日天は性交が終わると同時に死に、繭となり、その後町の住人に転生?して35と付き合うエンドになりました。なんで?
日天が頬を染めながら「こいつと付き合うことにしたんだ」と言う場面に爆笑。シリアスとギャグの落差が激しいの大好き!

ノーマルエンド

 35と決別し、異形姿のシロに食べてもらい、35の正体がわかるエンディング。シロの「日天と一緒にいたい」という思いと兄の弟への愛と、兄の死の恐怖が混ざってできあがった異形だったのか~。兄も一緒にいたいと思っていそうなので、シロの想いとリンクしたってのもありそう。
シロという異形も、35という異形も好きな話だったな。やっぱ異形って良いよね!!

後日談

 各攻略対象キャラの現世帰還エンドと町滞在エンドの後日談。基本的に帰還エンドは記憶なしの状態です。前作で幸せそうに終わったのに基本的に波乱があるので結構面白かったです。くっついてもラブラブなわけじゃない、さすが贄の町。

笑男帰還エンド後日談

 日天が頑張って笑男と距離を縮めてようやく結ばれる話。
笑男は無事記憶を取り戻せましたが、出会った後に音信不通状態が6年。関係を修復して一緒に暮らすようになるまで2年。計8年で記憶が取り戻せたことになります。時間かなりかかってるぅー!まあでも、時間かかっても大団円になれて良かったね。

笑男滞在エンド後日談

 笑男と日天というか都々之江(笑男のストーカー)との話。
前作で弟妹たちの「生きて幸せになってほしい」という願いをガン無視したエンドだったので不満に思ってたのですが、日天が元の世界に帰れないから弟妹達の願いを置いてでも一緒にいるって選択みたいです。なるほどね~。それはそれとして都々之江が面白くなっててギャグとして笑えました。
助けてくれた毛玉異形にも兄の因子入ってたらどうしよう……日天に好意的だし襲ってこないし、入ってる可能性大だな。

あすく帰還エンド後日談

 唯一記憶が残ってるし日天のことも探し出しちゃうし、日天が何もしなくてもすべて解決してくれたスパダリあすくくんの帰還エンドのその後は別に面倒くさい問題が山積みだった話。
あすくが蓋をあけてみたらダウナー系イケメンじゃなくて爽やか系イケメンに性格が変わってました。お、お前誰?
現世の性格と宿での性格が異なってるおかげ(?)で記憶保持できていたけど、それにしてもイメージが変わりすぎてて戸惑いました。

 そんな中、家の問題と世間の問題で日天はすぐに流され距離を置き、元婚約者に背中を押してもらったあすくが日天と復縁するのは少女漫画みたいなノリで面白かったです。だが強姦しそうになったのは許さねえよ?せっかくのスパダリ系なのにもったいねえ~!

あすく滞在エンド後日談

 日天のために苦手なものを克服しようと頑張ってるあすくのイライラに日天が八つ当たりされる話。どういうことだよ。本末転倒すぎるだろ。
あすくの場合だと滞在してても日天を現世に返そうとしてくれる、ここは素晴らしいですね!素晴らしいけど睡眠不足でイラついたらその大事にしてる日天にすら「イライラしてるのがわかってるのになんでほっといてくれないのか」って内心思ってしまうのはヤバイ。
現世と同じく日天がいれば暗闇も怖くないねっていうのがわかって良かったとは思うけど、やっぱりあすくって根底は話が通じない暴力男なのは変わらない気が……。性格は変わってないし可愛いところやかっこいいところもあるけど、同じようなことが何回も続くのかなって思ってしまった。ウーン!

ココ帰還エンド後日談

 日天がストーカーのような熱意で施設をつきとめボランティアで仲良くなりついには一緒に住むようになってココは自己肯定感を上げるためにモデルになる話。
基本的にココは尽くしたがりなので他人に世話になってる状況がいたたまれなく、日天は好きな人と一緒にいられてハッピー浮かれぽんちになってすれ違ってるのが面白かったです。
だがしかし!!ココがモデルになるのはいいよ?けれどSNSに事後の自分と一般人のツーショをアップするの無理すぎなんだが~~!?はあ~~~!?良かったね~の感情全部吹っ飛んだ。ご丁寧に「SNSは危ないから気をつけろ」と忠告し、炎上フラグを乱立させてたのに、特に何もなく「最近は受け入れられてるみたいだからなんとかなったね!」じゃねーんだわ。受け入れられないです。

ココ滞在エンド後日談

 ココの元セフレたちを清算するのに巻き込まれる話。とりあえずココと小町さんの仲が元に戻って良かったです。
でも元セフレが嫉妬に狂って見てる中で見せつけキッスは笑いました。煽りよる。日天が罠に自ら飛び込んだ時は意味がわからなかったけど、それをするならもうちょっとココの怖いところを見せてほしかったな~と思いました。残念。

成臣帰還エンド後日談

 成臣のご家族が良い人すぎて一緒にいてもいいのか悩む話。
成臣が大学を合格するまでは手を出さないという選択は大人の私からすれば好印象だったのですが、成臣がそれを自身への復讐だと思うのは驚きました。前作では日天に記憶がなかったから復讐だと思わなかったってことですね。つまり成臣にとって日天は絶対に手に入れたいけど自身の心を脅かすものなんだな。おもしろ~!

成臣滞在エンド後日談

 成臣の過去の男がやってきて両親の状況を伝え、日天が揺れる話。
過去の男が「成臣の両親、成臣が意識戻らなさ過ぎて鬱状態になってるぞ」と教えるためだけの存在だったのが、微妙~!都合の良い男だなぁ!帰還エンドでも出てきたけど、かなり疎遠な相手っぽかったのにいきなり両親とも顔合わせ済で両親の状況すら把握してるのは、本当に都合が良すぎる。
それにしても日天が「けじめをつけるために俺と死んでくれ」と後ろ向きプロポーズするとは思いませんでした。成臣もうっとりしてたけど、たぶん一番喜んでるのはシロ。

外伝

 合計6種類の過去話。1本大体30分~1時間くらい。

クロの開闢

 シロクロの過去がわかる話。
タイトル「贄の町」の意味が回収されて気持ちいい~!この話自体は好きな話でしたが、白介と一緒に復讐してやろうぜって思ってしまった。村のやつらは無事なのか?なんで?自らの手で復讐したいだろ?しないの?ちぇ……。

シロの鬼哭

 シロが正気を取り戻していく話。
生の匂いを感じるから日天に興味を持って、生前の弟(クロ)を重ねたから一緒に遊んでみて、そして日天を好ましく思うの好きでした。シロなりに日天を大事に思ってるのがとても良いですね。

藤小町の後悔

 小町が語るココの過去。
ココから語られるより第三者から”その後”が語られた方がきつかった。小町さんは叔父として頑張ったよ。父としても頑張ったよ。途中で逃げたけど向き合おうとしたし……。

宝財極燈の憂鬱

 燈の過去のクズ話から宿に来るまでの話。
最初から最後までクズ!全部クズ!アンニュイな雰囲気でも内容はクズ!!

空五倍子都々乃江の残夢

 都々乃江が神様を見つけるまでの話。
神様って絶対に自分を助けてくれる存在ってことなんかーい!今は、精神的な成長をしたことで、自分を見るってことに重きを置きだしたのかな?うーん、これを更生?させた特定ルートの日天がすごすぎる。

清澄沙汰の幸福

 沙汰が兄として自覚するまでの話。
幼い子にありがちな思考が可愛くて良かったです。しかし、うーん、機能不全家族~~!それはそれとして日天がかわいすぎないか?これはブラコンになる。しかしこの外伝ですら死に際の生き汚さを隠しているのはさすが兄。本当に心の奥底に押し込めていたんだろうな。

いふ

 バッドエンドの後日談。

笑男終焉壱(ストーカーに攫われバッドエンド)その後

 笑男の興味を引きたいがために日天を攫った都々乃江と過ごすうちに都々乃江に同情?した話。
それストックホルム症候群ーー!!!!
日天は本当に流されやすいし、都々乃江は神より日天優先するようになってるし、日天は「こうなったのは笑男のせい」っていう思考になっちゃったし……。たしかに日天が攫われたのは笑男のせいだんだけどこの展開にはうげー!ってなってしまいました。笑男は1年も探してたのにね。まさか自分から笑男から逃げる道を取るとはね。日天、やっかい男に対して特効薬すぎる。

あすく終焉参(手術バッドエンド)その後

 目玉を取られてあすくが緊急手術した後にあすくが色々世話をしてるっていう話。
しかしなんというか、眼窩責めか……。日天はあすくのことを好きって気持ちがあるみたいだし、そこは良かったね!とは思えましたが、望まれたとしても眼窩責めはやめたほうがいいんじゃないかな。

成臣終焉参(シロクロエンド)その後

 シロクロに手を差し伸べられ、日天自身も超筋力?と不老不死性を獲得して暇つぶしに宿の住人を引っかけまくってる話。
贄の町がSFっぽい世界になってるのは面白かったけど暇つぶしにビッチになってるのなんで?娯楽少ないんですか?

成臣終焉参(横恋慕ストーカーバッドエンド)その後

 ストーカーに良いようにやられてる話。
……え!?本当に良いようにやられて終わり!?いずれ成臣がどうにかするだろとか思ってたけど、日天に嫌われてると思い込んでるネガティブ成臣ならこのままなのかな……ご愁傷様です。

ココ終焉弐(足切断バッドエンド)その後

 日天の足を切断してココが世話をしてる話。
カレーに精液乗っけて咀嚼して口移しで食べさせるのは見てて嘔吐感強くてキツい。描写がひどかった。ていうか自分で管理しておきながら自分の管理不足で少し反抗されるとお仕置きって面倒くさ!!……いや、この作品に出てくるキャラは全部面倒だった。

終焉禄(兄エンド)その後 薬漬けエンド

 すべてなかったことになった平和時空の話。箱庭平和時空。
日天が兄の事故現場を何度もフラッシュバックで思い出すことになり、これは悪い夢だと言い聞かせ、さらには麻薬依存気味の母親までやってきたので日天は兄への依存まっしぐら。それを恋心だと錯覚し、しかし根底は宿の攻略対象への恋心があり、それを見透かした兄は日天の手を離そうと海外出張に行き、寂しさに耐え切れなかった日天が薬物に手を出した話。急展開だなあオイ!まあ兄も嫉妬があったからこそ雑な手放し方だったんだろうな。
このルートだとセーフティネット(シロクロの依怙贔屓)が働かないのが不思議でした。日天が自分で選んだからか?

終焉禄(兄エンド)その後 兄エンド

 攻略対象に少しでも好印象を残す選択肢をしたらたどり着けないルート。兄と恋人になる話。
3年待ったら恋人になるよって言うのは、とりあえず時間を置いて日天に考えさせたかったってことなのか……? まあ自分から日天への想いは最後まで一切明かさなかったもんな。兄の方は最初から素質があったのかもしれない。
そしてこの世界は箱庭だとクロから明かされ、ここにいる人たちは独自に動くらしいけど、ここにいる人たちの精神体?もしくは魂はどこから持ってきたんだろう。

終焉禄(兄エンド)その後 攻略対象利用エンド

 兄がいない寂しさに耐え切れず、好意を抱いてくれた攻略対象を利用する話。
女の子からの好意は「利用できない」って思えたのに攻略対象からの好意は利用できるの!?なんで!?と戸惑いまくったエンド。でもココだけセフレ関係なのは笑いました。どうしてだよ。
途中の日天からの相談も、笑男はアドバイスした後に押し倒すし、あすくは良さげなアドバイスのあとに若干自分に有利な提案をするし、成臣とココは完全に自分に有利に運ぼうとしてるし、こいつら欲を隠せてねえ~~~!


■ クリア後

現代描写に違和感

 世間体のこと、昔ながらの格式高い家のこと、SNS等の妙に現代的な描写を持ち出そうとすること、このあたりの現代描写が違和感。前作ではもうちょっと古い時代の話と思っていたのですが、スマホやSNSが普及してるっぽいし、それなのにテンプレートな昔の恋愛ジャンル価値観(世間体で反対されたり、身分が合ってないと反対されたり)で、違和感がありました。特にSNS描写が受け入れられなかった。
滞在エンドだと問題なかったので、本作のライターさんの現代描写が合わなかったんだと思います。

ハッピーエンドのその後はハッピーじゃない

 贄の町をやってて気づきました。ハッピーエンドのその後はハッピーじゃない。意志を持った二人の人間がいるんだから諍いも当然ある。つまり贄の町時空では「くっついたとしてもいつか別れるかもしれないルート」がいつでも存在するということでしょう。私はしかと受け取りました。"リアル"を感じさせてくれてありがとう、贄の町。







■ まとめ(ネタバレなし)

 プレイ時間は約25時間くらい?正確な時間はわかりませんが前作のプレイ時間より長かったと思います。
前作を楽しめたプレイヤーなら今作もばっちり楽しめでしょう。ただし前作でのハッピーエンドのその後はひと悶着あるから注意してくれよな!ラブラブハッピー時空じゃないんでな!

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