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好きについて

私は、小さな村から、親元を離れて寮で暮らしている女子高生だ。

私は映画が好きだ。
ひとつの世界の住人になれた気がするから。
私は映画の後の時間が好きだ。
あまり自分の思いを話さなくなってしまった弟が、自分の感想を、思いを、私に伝えてくれるから。

私は家族との時間が好きだ。
余計な気を使う必要も無いし、弱い部分を隠す必要も無い。

私は眠ることが好きだ。
眠っている間は何も嫌なことは無い。

私は弟が好きだ。
誰よりも趣味が合うし、一緒にいて苦痛を感じることは無い。
本音をぶつけることだってできる。

私は父が好きだ。
あれほどに真っ直ぐに、正しさを追い求められる人は少ない。

私は母が好きだ。
私を理解しようと歩み寄ってくれるし、常に成長する歩みをとめない。

私は抱擁が好きだ。
誰かの体温は何よりも安心するから。

私は母の手料理が好きだ。
私たちの好みを誰よりも知っているから。

私は散歩が好きだ。
美しい風景を見ると心が洗われるから。

私は山が好きだ。
絶対的な存在は気分を落ち着かせてくれるから。

私は海が好きだ。
波の音は心を穏やかにしてくれるから。

私は空が好きだ。
自分の悩みや存在がちっぽけなものだと自覚させてくれるから。

私は音楽が好きだ。
歌は心を自由にさせてくれるから。

私は歌を歌うのが好きだ。
心の中の曲を表現できるから

私は読書が好きだ。
本の中なら私は何にでもなれるから。

私は学ぶことが好きだ。
私が少しづつ私になっていく気がするから。

私は小説を書くことが好きだ。
頭の中の世界を形にすることができるから。

私は友人が好きだ。
私のことを認識してくれるから。

私は朝が好きだ。
朝日に照らされた生命は美しいから。

私は夜が好きだ。
月や星は夜にしか見られないから。

私は故郷が好きだ。
空気も空も美しく、この街より星が綺麗だから。

私は甘いものが好きだ。
ささくれだった心が落ち着くから。

私は辛いものが好きだ。
何故かはよく分からないが頼んでしまう。


私は好きな場所で、好きな人と語らい、好きなものを好きな時間に食べて、好きな映画を見る。
好きな本を読んで、好きな時間に寝て好きな時間に起きて、好きな服を着る。
好きな街に好きな車で出かけて、好きな喫茶店で好きな珈琲を飲みながら、好きな小説を書く。
好きな財布から好きなことにお金を使い、好きなことを学ぶ。
好きな人に出会い、好きな人生を歩む。
好きな動物と好きな装飾品に囲まれて、好きな家具を使って、好きな風に生きていく。
そして好きな風に死んでいく。





そんなことを妄想する。




この妄想の時間が、大好きだ

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