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よせぎれ表装_息子の書き初め

25歳になりました息子の中学生時代の書き初めがあります。中一の時の「輝く生命」、中二の時の「平和の鐘」。決して上手とは言えない文字なのですが、10年以上寝かせておきました。捨てることは簡単ですが、何かアップサイクルデザインした作品にできないか・・・いろいろ考えた結果、母方の祖母の着ていた着物の裂で表装して掛け軸にすることにしました。
祖母は息子が生まれるずっと前に亡くなりましたので、もちろん二人は面識がありませんが、祖母がいなければ、母もいなく、私もいなく、そして息子もいないわけで、祖母と息子は確実につながっています。そこで、人と人とのつながりを着物の裂と書でつなぐ、そのつなぐ技術として表装を使うというプランです。裂はいろいろ考えた結果、「輝く生命」は黒地の紬、「平和の鐘」は白地の紬にしました。
表装をお願いしましたお店の店員さんは、決して上手とは言えない書き初め2点を何故わざわざ掛け軸にするのか、しかも、決して上等とは言えない持ち込みの裂で、と不思議に思ったことでしょう。あえて私も説明しませんでしたが、まあ色々なお客さんがいるなぁ〜程度だったかもしれません。
数日後にお店で仕上がった掛け軸を見て、ああこうして確かに祖母と息子はつながっている!と実感しました。祖母もきっと喜んでいるのではないかと思います。

祖母の着物と孫である息子の書を、時空を超えて表装がつなぐ室内装飾織物がたりです。

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