キラキラカレシ マキオ7|外界を見ようとしない者はどちらか?
追っかけ
千と千尋の神隠しに登場する坊は言う。
「行ったら泣いちゃうぞ」
「坊が泣いたらお前なんか ばあばが殺しちゃうぞ」
構ってちゃんも度を超せばカワイイを通り越してコワイ。
マキオがわたしを追って引っ越してきた。
約束したのに
一緒に過ごす約束をした日にマキオが現れなかった。
電話に出ない。
翌日も連絡なし。
さすがにおかしい。
・・・事故にでも?
あんな人でも事故にでも遭っていたらと思うと心配になる。
何度か電話する。
結局それからずいぶんたって、電話が鳴った。
彼には悪びれた様子はない。
「あっ、違う違う。友達と遊んでて夜遅くなっちゃって。車の中で寝ちゃってさ。電話しようと思ってたんだけど~今つながってよかったわ。でも全然大丈夫だし、なんともないから気にしないで~」
という。
マキオの行動パターンからすると「車の中で寝る」はめずらしいことではなかった。それにしてもだ。
音信不通で放置、心配させられたあげく「何でもないのにどうしたんだ?」とやられる謎件はこのあとも何度かあった。
マキオはこれをくりかえす。
彼の行動の意味がさっぱりわからず、わたしはずいぶんすり減らされた。
バランス
こっちの頭がおかしくなりそうだった。
バランスを保つため、わたしは別の人間関係を求めはじめた。
マキオとは接点のない友達の誘いに積極的に乗ろうと決めた。
それである時、男友達2人とわたしの3人でショッピングに行く約束をした。
気をつけていたのに、友人と電話でその日の計画について話している時、たまたまマキオが家に来てしまった。電話中チラリとこちらを見られた。
約束してないのに
友人との約束の日。
予定通りウインドウショッピングへ出かけた。
心が軽かった。
今日は楽しもう!
そう思っていた矢先、携帯電話が鳴る。マキオだった。
日中に電話してくるなんて普段は100%ないのに。
何事か?と思って出ると。
「今どこ?」
「あ?誰と?」
「わかった。いま近いから。すぐ行くわ」
え?????
電話が切れた3秒後には店の自動ドアからマキオが入ってきた。
混乱して何を言えばいいのか本当にわからなかった。
頭をかき乱されながらも、その時わたしは友人と来ていたので、友人たちにマキオを軽く紹介した。
マキオは、
「うん。そう。」
だけ。
それだけ?わたしの友人たちに失礼じゃない?
だが彼はわたしの様子にはお構いなしで続けた。
「この後、送ってもらうの?この彼たちに?」
・・・うん。そだね。送ってもらうと思う。(そりゃそうだろう、来るときも乗せてもらって来たのだ)
「そうなんだ。もう送ってもらって帰るんだ。じゃ、オレ、ついでだから送ってくわ。オレももう行くし。も、いい?」
えええええ??????
友人たちはマキオのイキった様子にドン引き、顏は引きつっていた。
わたしも混乱していた。
なかなか思うように会えないマキオが、今、わたしのためだけにここへ来た。でも嫌だ。嫌悪感で吐きそうだった。
でも嫌だと思うのは間違っている?
いいや。
とにかく今、ここで友人たちに迷惑をかけるのだけはマズイ。
友人たちは「ここはスタッフ全員が顔なじみのショップで」と話していた。彼らは常連として丁重に扱われ、わたしは今日彼らに連れてきてもらっただけの一見さんだった。
マキオは気に入らないと大声を出す人だった。店員さんのような人にはタメ口で不遜な態度を取るのが常だ。
ここはひとまずマキオの言うとおり、わたしは店を出よう。
出てから考えよう。そう思った。
友人達に視線を送り、目で「ゴメン!」と謝ってから黙ってマキオの後に続いた。
誰のため?
わたしのために来てくれたと思うべき?
いや疑ってはいけない。
わたしのために来たのだ。
自分の理性にそう言い聞かせようとした。
でもなぜ?
どう理解すればいいかわからない状況だった。
車に乗るとわたしは途端にすごくがっかりした。
最近よく感じる、がっかりだ。
マキオがなにか話しかけてきたが、わたしは一言も何も答えなかった。
その日はそのまま家に送り返された。
帰宅後マキオが消えてから友人に謝罪の電話をした。
それから、もう誰とも話したくない気分だった。
泣き出したい気分だ。
この頃は、このがっかりの度にもう何もかもがイヤになっていた。
*モラハラ・ポイント*
自分以外を尊重しない
束縛が激しい
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