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キラキラカレシ マキオ3|期待する人、期待に応えない人

そもそも道に落ちていたブリトーなのだから多少汚れていようが当たり前だし、それを食べようと思った方の頭がおかしいのだ。

普通の人間ならまず拾わない。
わたしは拾った。

だから汚れが目についても何も言うまいと頭の片隅で思っていた。

不自然な要素

マキオには不自然なことが多い。
電話してもつながらない。

依然誰にも「彼女」として紹介されない。
車や部屋の中に女性の持ち物がある。

「あっそれ?バーに来た常連のお客さんの忘れ物」

という。

平日の夜に会い土日はほとんど会わなかった。
ときどき週末ひょこっと現れたりもする。

不自然なことが多いけれど、この頃のわたしは仕事も充実していたのでマキオばかり構ってもいられなかった。

たぶん今だけ。
そのうち飽きたら消滅する、そう思っていた。


けが

そんな中でのこと。
わたしはスノーボード中に負傷した。左足全治2か月。

ケガがほぼ治るまでの間。
マキオは全くと言っていいほど姿をみせなかった。

一度だけ電話で見舞がないことに猛抗議した。

「だって足ケガしてるんでしょ?会ってもどこも遊び行けないよね?治ったら教えてよ。」

さすがに予想していない答えだった。

えーと、わたしはなにを期待してたんだろう。「ごめんごめん!じゃお見舞い行くから何買っていったらいい?くだもの?ケーキ?」くらいは言ってもらえると思ってた?

だけど。
なに期待してたんだ?

そーか。
ケガでどこにも行けないのに何言ってんだろ。
自分のことしか考えてなかったね。ごめんごめん。

そーか
そーだよねー
・・・そーか?


不自然な生き方

もともと会う時間は少なかった。
ケガのこともあってさらにそうなった。

ケガのためどこへも出られないので誰かに来てもらうしかないのだが、そうなると土日に予定を入れずにマキオが来るのを待つくらいしかすることがない。

でもいつ会えるかは聞かない。
だってわたし、足ケガしてるし。
来るか来ないかわからない人を待つ。

気がつかないうちに。
自分自身が不自然な生き方になっていた。

はじめは汚れとして目についていた部分が、いつのまにか、それが当たり前のことのようになっている。

そうなるのに意外に時間はかからないものだ。



*モラハラ・ポイント*

  1. 共感力がない


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