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温室効果ガス削減へ「三つ星」の行方


11月7日付の日本農業新聞に掲載されていた。

農林水産省は2050年までに農林水産業の温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目標にかかげている。
この温室効果ガス排出量実質ゼロを含む、環境負担の低減に向けた「みどりの食料システム戦略」の一環である。

温室効果ガス削減に取り組んだ農産物があることを消費者に認知してもらい、積極的に購入されることで、生産者に温室効果ガス削減の栽培方法を促すのが狙いだと思う。とてもシンプル。

農業=自然=環境に良い
みたいなイメージを持っている人って意外と多い気がする。
農作物は自然のものだから、ビルを建てたり、道路を造設したり、プラスチック製品をつくったりするのとは対極にある作業ではないかと。

確かに農作物自体は自然由来のものであり(遺伝子組み換えなどの人為的な作物が自然由来かどうかはここでは触れない)、土に帰り分解される。
しかし、農作物を作るところから販売までの過程で、多くの化石燃料を用いざるを得ないのが事実だ。
トラクターや草刈り機など農機具を動かすための燃料やマルチ、ハウスのビニールや冬場の暖房、ちいさなものだとポットや商品として店頭に並べるためにビニールも使う。

農家の中には、はじめは環境負担を考慮した栽培を志していたが、作業の手間が多く、なおかつ収量も上がらないため妥協してマルチや防草シートを使うようになった人もいる。
「実際は使いたくないけど、使わなければ生業としてやっていけない。考えれば考えるほど正解が分からなくなるけど、農的暮らしをやっているのではなくビジネスとしてやっているから」と、ある農家さんは言っていた。

温室効果ガス削減の取り組みに対する「三つ星」の目印はまだ実証実験の段階だから、なんとも言えない。
ただ、うまくいくかどうかのポイントとしては以下の点が挙げられるのではないか。
①消費者自身がどれだけ温室効果ガス削減などの環境問題を重視するのか
②従来の栽培方法で作られた作物との店頭価格の違い
③農家の負担。栽培の経費や収穫量、手間の増減
④「三つ星」の成長。結果的にではあるが、この目印がブランドのような役割を果たすかどうか
⑤農林水産省の本気度

まずは、この取り組みをどれだけ世間に流布できるかどうかが大事だと思う。知らないことには何も始まらないから。

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