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冷蔵庫なしで暮らす方法|ハイジのミニマリスト術

アニメ「アルプスの少女ハイジ」に登場するハイジの家には「冷蔵庫」がありません。果たしてどうやって暮らしているのか?今回はミニマリストなおじいさんの山小屋暮らしを考察します。

①冷蔵する必要がない食材


ハイジの食事といえば、スライスしたパンに火で炙ったチーズ。それと搾りたてのヤギのミルク。食材だけでみると「パン」「チーズ」「ミルク」だけで、すべて「常温」で戸棚に保存しています。

ハイジの物語の舞台はスイス。日本のように高温多湿な気候ではないので、常温保存でもパンやチーズにカビが生えづらい環境なのです。とはいえ、まったくカビが生えないわけではないので、パンは常温でも長期保存しやすい「黒パン」を食べています。

黒パンとは斧で割らないと切れないくらい固く「乾パン」のようなもので、当時の保存食でした。実際にはミルクやスープでふやかして食べていたようです。

ハイジがフランクフルトのクララの家で食べる「白パン」は食感が柔らかいパンのことで、お金持ちしか買えない高級品でした。

ハイジは、歯が悪くて固い黒パンが食べられないペーターのおばあさんのために、白パンをクローゼットに隠して持ち帰る計画を立てます。ですが、白パンは水分が多いので日が経つとカビが生えてしまい、ロッテマイヤーさんに見つかり捨てられてしまいます。

長期保存に向いている食材は水分が少ないこと。もうひとつは発酵食品で、チーズは偶然から生まれたといわれています。

砂漠を旅していた商人が、羊の胃袋でつくった水筒に入れていたミルクが固まっているのに気付き、食べたらとても美味しかった。これがチーズの起源で世界最古の発酵食品です。

おじいさんはヤギを2頭買っていて、ヤギのミルクでチーズを手作りしています。できたチーズは涼しい地下の食料棚で熟成し、少しづつ食べていきます。食べる以外にも「通貨」の役割があり、村のパン屋でパンを買うときチーズと物々交換をしています。

常温で保存ができる食材で自炊できれば、冷蔵庫は絶対に必要なものではないのです。


②超シンプルな献立


山小屋暮らしでは、食材が豊富にある環境ではないので毎食「パン」「チーズ」「ミルク」のようにシンプルなメニューになります。それでもハイジは笑顔で美味しそうに食事しています。

ハイジがフランクフルトからアルムの山へ帰ってきた直後の食事では、「こんなに美味しいミルクやチーズはフランクフルトにはなかった」と話しています。

おじいさんから「フランクフルトには山にはないご馳走がいっぱいあっただろ?」と聞かれても、「スープ・お肉・サラダ・デザート色んなものがあったけど、美味しく感じないの…」と答えていました。

料理研究家の土井善晴先生によれば「家庭料理とは生きるための食事で、お店のような豪華さは必要ない」と話しています。ミルクやチーズが美味しいのは新鮮さと、食べると安心できる素朴さがあったからではないでしょうか?

フランクフルトでは少食だったクララも、ハイジが住むアルムの山を訪れたときには、ミルクやチーズをおかわりして「今まで食べたどんなご馳走より美味しい」と話しています。

温かい食事というのも大切なポイントで、冷えたものばかりの食事は体温が下がり「免疫力」が落ちる。その結果、イライラしたりストレスが増えてしまうといわれています。

おじいさんはチーズを火で炙ったり、ホットミルクにしたりして献立に取り入れています。おじいさんの山小屋暮らしには、シンプルながらも豊かな食事のヒントがまとまっています。


③暮らしに応用する方法


ハイジがいつの時代の物語なのかハッキリしていませんが、ハイジがフランクフルトへ連れて行かれるとき、マイエンフェルトという街から汽車に乗っていて、その街に鉄道が通ったのは1858年。ハイジの原作が出版されたのは1880年出版なので、19世紀後半であることは間違いなさそうです。

その頃はまだ冷蔵庫が普及していない時代です。あっても電気式ではなく、氷で保冷する現代のクーラーボックスのような冷蔵庫だけでした。当時の人たちは知恵を絞り、冷蔵せずに食材を長期保存する方法を編み出していました。

日本の気候ではパンやチーズの常温保存は難しいですが、日本でも冷蔵庫がなかった時代の保存方法を取り入れれば、おじいさんの山小屋のように「冷蔵庫」なしでも暮らすことができます。それはつまり、「米」と「味噌」です。

米は冷蔵保存がベストなことは間違いありませんが、たとえば「新之助」のように常温でも酸化しづらく美味しさが長持ちするお米もあります。味噌は「天然醸成」されたものであれば、常温で長期保存できます。

この2つの食材でできる献立は「ごはん」と「味噌汁」ですね。栄養バランス的にも最強コンビといわれる組み合わせで、お米に不足している栄養素(タンパク質・脂質・ミネラル)を味噌が見事に補っています。

味噌汁はなるべく具沢山にするとさらに最強な献立になります。このとき「乾燥野菜」のように水分が少なく長期保存できるものを具材にすれば、冷蔵庫なしで「ごはん」と「具沢山の味噌汁」がつくれます。

自炊でつくる献立はこれだけにすれば、「献立を考える時間」や「買い物にかかる時間」をミニマリスト化することもできます。

この献立は毎日食べても飽きないし、海外旅行から帰ってきたら食べたくなるメニューなので日本人に安心をもたらす食事といえるでしょう。



まとめ

アニメとはいえ、ハイジの暮らしは詳細に描かれておりリアリティーがあります。これは、のちにスタジオジブリを設立する高畑勲・宮崎駿らの制作スタッフたちが実際にスイスまでロケハンし、現地の暮らしを調査したからといわれています。

なんでも手に入る現代人にとって、「ハイジの山小屋暮らし」はシンプルな暮らしの「教科書」と呼べる作品でしょう。



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