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第55話「潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く」

「美鈴?どうしたの!?」


「あっ、海ちゃん」と僕の方に向かって笑顔で言ってきた。


ポニーテールを揺らして、白い長袖のシャツにジーンズという格好をしている。バイトに来るとき、美鈴が好んで着る私服だった。確か、今日は早番でバイトは終わったと思っていたが?


「一旦家に帰ったんだけど、マスターから連絡があって、朋美さんが体調不良で、急に来れなくなったから急遽頼まれたの」とシャツのボタンに手を掛けながら言う。


「そうなんだ。それよりも、また更衣室の鍵をかけてないよ。気を付けないと。僕だから良かったけど、マスターが入って来たらどうするんだよ」


「あっ、ホントだ。私ってすぐに忘れるんだよね。海ちゃんで良かったわ」と言いながらも、美鈴はボタンを一つ一つと外し始めた。


「マスターの姿が見えなかったけど?」


「マスターなら買い出しに出かけたよ。一時間ぐらい帰って来ないって言ってた」


「そっか」と僕は呟いた。そんな僕の前で、美鈴は普通に着替えようと動作をやめない。僕の前だから平気なんだろう。シャツのボタンを外すと、今度はジーンズを脱ぎ始めた。何度か、美鈴の着替えは見ているけど、僕は妙にその着替えを見て胸がドキドキしていた。

そして、無意識に後ろの扉の鍵を閉めた。乾いた音が小さく聞こえたとき、シャツの胸元が開いた美鈴に、僕は欲情していると気がついた。


男の欲情なんて単純なんだ。シャツの隙間から見えたブラジャーなんかでスイッチが入る。僕は美鈴に近づくと、本能のままに抱きしめた。


「美鈴、好きだよ……」と自然に言っていた。


「ちょっと海ちゃん!!ダメよ、こんなところで……」


そんな言葉を無視するように、僕は美鈴の首すじに唇を添えた。声がなくなり、美鈴は抵抗することなく僕の背中へ手を回した。欲情は高まり無意識にブラジャーの上から胸を弄った。

自然な流れで唇も重ねて、僕らは熱い抱擁と激しいキスを交わした。舌を絡ませたとき、僕の下半身は硬くなり始めていた。


シャツを肩から滑らせて、ブラジャーのフックを外すのに数秒だった。露わになった胸に欲情は止まらない。

更衣室に置かれたソファーへ美鈴を押し倒して、僕は胸にオーラルした。美鈴の口から吐息と遠慮がちの声が漏れる。

「堪らない」と僕は目に映る小さな胸に興奮していた。指先で乳首を触り夢中で美鈴の胸に溺れていった。


「あっ、そこはダメ!!」と美鈴が色気のある声を出した。


美鈴の秘部を求めるように、パンツの中に僕の指先が入った。湿っぽいアンダーヘアーを手のひらに感じたあと、僕の指先はさらに湿っぽくなった秘部を触った。

美鈴の声がさらに漏れると、さらにその先へと欲情した気持ちが暴走した。「舐めたい」と正直に言って、美鈴の秘部を包み隠した白いパンツを脱がそうと両足を揃えた。

明るい更衣室で、茂みのある草原は露わになった。器用に脱ぎ下ろしたパンツをソファーへ置く。力の抜けた、魅力ある柔らかい太ももが解放された瞬間、僕は願望と欲望のままに秘部を舐めた。


美鈴は身を任せるように、オーラルを受け入れてくれた。あまりの美味しさに、僕は興奮しながら舌で美味を味わった。硬くなった僕の下半身は、美鈴の中へ吸い込まれるように繋がった。


僕らは熱い情事を交わしたーーーーしっとりと濡れた肩を抱きしめた。僕の上に跨がり、美鈴は余韻のままに唇を重ねてきた。


一瞬、もう一回しようかと思った。僕の目に映る美鈴の裸体が素晴らしく魅力的だったからだ。だけど、現実は甘くない。しばらくしたらマスターも戻ってくるだろう。名残惜しかったが、美鈴が制服の袖に腕を通したとき、僕は我に返って気持ちを抑えたーーーー


「海ちゃん、二度とこんなところでしないでよ。ここは帰る場所じゃないんだから!!私たちの部屋はここじゃないのよ」と決して怒った口調で言ってはいなかった。


そんな美鈴を見てると、僕の頭の中にふと、ある考えが浮かんだ。美鈴の言葉がヒントになった。僕らの宛てのない道が、もしかしたら開かれた瞬間かもしれない。


潮彩の僕たちは宛てのない道を歩く。この言葉の意味を、くつがえすことになるかもしれなかった。


第56話につづく

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