【創作BL】シスコン貴公子の真実の愛③

　ローゼス邸は、どこもかしこも手入れが行き届いている。それは主人たちが生活する表の部屋だけでなく、ルゥのような住み込みの使用人に割り当てられた奥の部屋に至るまで、同様だった。

　だが、この部屋ほど美しい場所は、屋敷の中にもそうそうないだろう。

　足が沈み込むほど毛足の長い絨毯は、転んでも怪我をしないためのものだ。柔らかな匂いを放つ、特別な薔薇が活けられた花瓶。机や棚の木目は美しく、最上級の木材でできているのが、素人目にもわかる。テーブルセンターは、編むのに相当な技術が必要なレースが使用されていて、見る者の目を楽しませた。

　可愛らしい調度品たち、淡い色彩の水彩画が飾られたこの部屋の主は、物語の中から出てきたのかと思うほど、可愛らしいお姫様だ。