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「寂しさ」から逃れられない時、いったいどうする?

寂しさって、なんだっけ?
「寂しさ」そういうのを考えたのはいつだったろう。

小学校に入学したとき、自分だけ知っている子がいないことに気づいたときだろうか?あるいは学生のころ、友人たちから「恋人ができたぞー」という気配を日増しに感じ取ってしまったあの感じだろうか?

ふとやってきて強烈な存在感をだすくせに、どこかへ行ってしまうと、そのことすら忘れさせてしまう。そういう存在。
思えば、寂しさなんて意識しないと思い出せないくらい身近にあって、そして遠くにあるものなのかもしれない。

そんなことを考えてしまった発端は「すぐ寂しくなってしまう」と相談されたからだ。

ぜんぜん、まったく、しっくりこなかった。
つい「え。寂しさってなんですか?」と、人間の心を知りたいロボットみたいなことを口にしてしまった。

相談してきた相手も「え?寂しさ…なんて言えばいいんだろう…」と説明の仕方に困ってしまったようで、お互いにあれこれ例え話をしてはついにその話はどこかへ行ってしまった。

でもその疑問に何かひとつ、答えのようなものを与えてみたくなり、気づけば降りる駅を間違えてしまうほどには思案してみた。
よければもうちょっとお付き合いください。

「寂しい」
簡単に口にできるけれど、その中にはいろいろなものが含まれているんだと思う。

「恋人や子ども、昨日までそこにあったものが今日なくなってしまった喪失感」「よーい、どん、で一斉に走り出したみんなの背中がどんどん遠くなっていく言いようのないあの感じ」

そんな「手を伸ばしても届かないもの」へのいろんな感情をまとめて、「寂しい」という袋につめているのかもしれない。

でもだからこそ、そのたくさんある感情を「寂しい」の一言でまとめてしまい、いっぺんに全部片付けてしまうというのは、ちょっと違うんじゃないかなと思う。きっとそう簡単なことじゃないと思うんだ。

何でもかんでも寂しい、というわけでもないはずなんだよ。失ったものと捨てたもの。ブックオフにだしていいものと、そうじゃないもの。

どっちをどう感じるのか。その違いは本人にしかわからないはずなんだよな。ぼくが簡単に「あーそれな!」なんてわかったつもりになるのは、なんていうか。その人が大切にしてた何かへのリスペクトを欠いてしまうようで。

そう考えた時、ふと、「ああ、だからこの世には寂しさに向き合うためのイベント的なものがあるのか」と。

卒業式、お葬式、お別れ会、別れた彼氏かもらった指輪を「バカやろー!」と叫んで海に投げる、とか。何かと別れるために大々的なイベントを行う。それはその寂しさを共有できる人たちで行われてて、ちょっと嫌だけど、某声優みたいな有名人の不貞を元カノが暴露ツイートするのも、そういうことなのかもしれない。

でもそれは「寂しい」という気持ちが僕らのDNAか何かに刻まれていて、その気持ちに思い悩むことは生きている限りどうしようもなくって。

それでどうにか折り合いをつけようとして、みんなで「気持ちのいい別れ方」みたいなものを考えて、やっている。

そしておそらくそういった儀式じゃ気持ちよく別れられない人もいて。
そういう人は困ったことに「自分だけが寂しさに別れを告げられなかった寂しさ」がさらに乗っかってきて。そうやって複雑さを増して雪だるまのように大きくなっていく苦しさ、みたいなものがあるのかもしれない。

だからそういう時は、もしかしたら自分だけの「気持ちのいい別れ方」みたいなものを考えてみるのもアリよりのアリかもしれない。

「寂しい」という袋の中に詰まったいろんなものを取り出して、それらをひとつひとつ眺めながら「これはなんていうものだろう?」って考える。そして、ひとことで分かるような名前をつけてやる。説明文でもいい。

そうすると、自分でやり方を見つけられるかもしれないし、そうでなかったとしても、それを読んだ誰かがヒントをくれるかもしれない。そうやって、自分だけのお別れの仕方をみつけていく。

長くなったけれど、もう終わるよ。
ぼくは寂しさの正体って、自分や他人が持つ「大切な何か」に向けられた感情だと思う。それはぼくにとって美しいものだと思うし、だからこそ、その感情を否定したり、ちょっとググって出てきたような言葉で処理してしまうのは、とてももったいないなぁ、とも思う。

だから自分でちゃんとその気持ちに価値をつけてあげて、いつの日か気持ちよくお別れできるときがくるまで、宝物のトロフィーみたいに心の棚に飾っておくと良いのかもしれない。

おしまい。またね。


追記。
もしも寂しくて誰かと一緒にいてしまうことがあるのなら、そこは「縁を結べる」というすごく大きなメリットがあることに気づいた。

「なんでも一人で大丈夫」でやれてしまうと今はよくても、歳をとったり、メンタルが病んだり、無職になったりした時にたぶん困るので、「寂しいから誰かと繋がろう」というエネルギーは常に持っていてもいいかもしれない。



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