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さよならは終わりでは無い #1

「俺、引っ越すんだ。」
『どこに...?』
「イギリスらしい」

そう告げると彼女の鈴花の目には涙が溢れていた。
鈴『いつ...引っ越すの...?』
○「2週間後」
鈴『なんでそんな急なの...?』
○「元は親父の単身赴任の予定だったんだけどさ、急に着いてくって母さんが言い出したんだよ...」
鈴『...』
○「なぁ、鈴?」
鈴『...ん』
○「残りの2週間のどこかでさ、鈴と行きたい所あるんだ。鈴の空いてる日でいいから」
鈴『明日から2週間ずっとひま』
○「学校は?」
鈴『休む』
○「......」
鈴『最後の2週間くらい、私のワガママ聞いてよ...』
○「わかった、いいよ」

そうして、僕と鈴花の最後の2週間が始まった。


僕と鈴花の出会いは家の近くの公園だった。親同士が同部屋で仲良かった為、よく公園に連れてってもらい遊んでいるところに鈴花も来るようになって仲良くなった。

そこからは早かった。幼稚園小中高と同じ所に通い、中学一年生になる時に僕から告白した。
その時の言葉は覚えてはいるが恥ずかしくて言えない。

そして高校1年生の夏の今日、僕は彼女に引っ越す事を伝えた。
引っ越すことは昨日、母親から伝えられた。前々から父親が海外赴任することは聞いていたが、母親も海外について行きたいらしい。子供の気持ちも考えてほしい。
まぁそんなこんなで海外への引っ越しが決まった僕は、鈴花と別れなければならない。別れるのもお互いの同意では無い。離れ離れになるなら別れた方が鈴のためだと思った。だからこそ、最後に鈴花とデートがしたかった。

#2へ続く。

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