見出し画像

伸びるNFTプロジェクトを作るための思考法 前編

最近、NFTプロジェクトの企画にあたり、エンジニア面だけでなく、ビジネス面での相談が増えています。現状、NFTのエンジニアに関してはある程度の知見が溜まってきたと思いますが、事業者の一番の悩みは「NFTを販売し、その先成功に導くこと」であるとヒシヒシ感じています。

いわゆるジェネレーティブNFTに関して、一昔前と違い、ただ発行するだけで売れるような簡単な環境ではなくなっていますが、現在でも大きく成功しているプロジェクトが複数出てきており、ほかの業種に比べるとまだまだフロンティアであると考えています。

この度、今まで関わらせていただいたNFTプロジェクトの知見をもとにして、NFTプロジェクト企画時に考えるべき思考法について解説します。ボリュームがとても多くなりそうなので、前編・後編にわけて書いていきたいと思っています。

前編 - NFTプロジェクト企画時の考え方
後編 - 企画時に具体的におさえておきたい5つのポイント

プロフィールおよび実績紹介

まず、初めての人もいるかと思いますので、簡単に自己紹介させていただきます。Twitterで「はやっち(@HayattiQ)」という名前で主にNFTに関するエンジニアリングおよびマーケティング活動に関わらせていただいており、最近はコンサルティング活動も行っています。

2022年2月に、「Love Addicted Girls」というNFTコレクションの発行においてFounderとして関わらせていただいたのが始まりです。このLove Addicted Girls は、2022年11月現在、656ETH の流通高の老舗コレクションの地位を確立しております。

https://opensea.io/ja/collection/love-addicted-girls

また、そのあと、三菱地所が協賛についたNFTコレクション「Kawaii Meta Collage」の立ち上げにも企画からエンジニアリングまでかかわり、こちらも流通高は189ETHとなっております。

https://opensea.io/ja/collection/kawaiimetacollage

他にも、AstarCats や Kabuki Tokyo にも企画から関わっており、またエンジニアという立場で色々なプロジェクトに関わらせていただいております。

NFTコレクション立ち上げに関わるマーケティング思考

まず、NFTというのは全く新しいビジネスモデルだと考えられております。確かにWeb3と呼ばれ、既存のビジネスと大きく発想法が違うところも多いですが、マーケティングにおいては、既存のマーケティング手法が参考になること多いです。というのも、基本的に「顧客にとって良いものを作る」という思考は変わらないからです。

顧客・自己の強み・競合の理解は基本

自分の強みは何か

これが一番大事ですが、自分たちの強みは何なのか。そして周りとどう差別化できるのかについて考えるのが大事です。「リアル商品を持っている」「アニメ・漫画などが得意」など、自分たちにしかできない強みはNFTプロジェクト発行において大きな意味を持ってきます。

例えば、自分たちの強みを掘っていった例としては、「sine by camelot」があります。もともと、このプロジェクトはメタバースにおけるクラブハウス設立というロードマップを持って運営していましたが、Camelot というクラブを利用できることが大きな強みであるというお話をさせていただきました。

こちら、全力マンさんがマーケティングアドバイザーとしてINしていただき、リアルでCAMELOTを運営しているからこそできるユーティリティ「CLUB CAMELOT の永久パスなど」を深堀してつけていきました。
また、そのユーティリティを活かすべく、NFTレンタルプラットフォームなどの提携も行った結果認知度が向上していき、無事にプレセール完売となりました。

このように、トレンドを見るだけでなく、自分たちにしかできない強みを掘っていくことがとても重要となってきます。

周りのプロジェクトが行っている施策は何か

昨今のNFTシーンにおいては、とても競争が激しく、様々な革新が行われていっています。そのため、競合のプロジェクトの施策を追いかけ、良いものを取り入れていく姿勢が重要になっています。

その事例として、「Love Addicted Girls」とホワイトリスト施策についてあげさせていただきます。Love Addicted Girls を発行するにあたり、今まで日本のNFT発行においてほとんど行われていなかったホワイトリストという仕組みを導入しました。昨今では当たり前のように行われているホワイトリストですが、Love Addicted Girls の前は日本のNFTは大体が早押しセールのみであり、ホワイトリスト施策を行っていなかったのです!

 ホワイトリスト施策を行うことで、よりロイヤリティの高いユーザーにプレセール価格で販売することが出来るようになりました。そのあと、他のプロジェクトも次々とホワイトリストを導入するようになり、ホワイトリスト配布の仕組みも洗練されていきました。

1, 最初はホワイトリスト半分、パブリック半分が主流でしたが、パブリックにおいてBotter に大半をミントされる事例が多くなったため、ほぼプレセールで売り切る設計が主流に
2, ほかのプロジェクトとコラボしてホワイトリストをGiveaway し、相乗効果を高める事例が増えた

他にも様々な改善がされていきました。これらのマーケ施策を学習し、最新の手法を取り入れていくことが大事になっていきます。

NFTユーザーは何を考えているか

つぎは「顧客」です。実際にNFTユーザーが何を考えているかを知ることも重要ですが、NFTには他の商品と違う大きな特徴があります。それは、「値上がりを期待して買う人がとても多い」ということです。

前にTwitterで行ったアンケートでは、「値段が上がりそうなNFT」を買うユーザーが全体の50%以上という結果が出ました。アンケートの取り方によってはもっと上がると思います。

 そのため、いわゆる株式市場における「美人投票」という選好がNFTには働きやすいです。これは何かというと、自分の欲しいNFTではなく、「周りの人が欲しいと思うNFT」を予想して買う人が多くなるということです。

 そのため、NFTにおいてはトレンドが強く出やすいです。そのため、トレンドをおさえたNFTを発行することが大事になってきますが、ここで大事なのは長期トレンドと短期トレンドがあります。
 例えば、長期トレンドとは、「メタバース」「GameFi」「リアルIRL」といった、数か月から年単位にわたって続くトレンドです。短期トレンドとは、例えば「ゴブリンタウンが流行ったから、ゴブリンのNFTを出せば売れる」とか、特定の銘柄の関連銘柄は伸びるとかいう類のものです。

 今後、NFTを出す皆さんにとって、初めてであればあるほど、長期的に見て有益な施策及び設計を行っていただきたいと考えています。ただ、NFTの世界は日進月歩であり、私が述べる「長期トレンド」においても、数か月単位で変わることがありますので、NFTの最新事情のウォッチは欠かせません。それは、まさしく不思議の国のアリスにおける「赤の女王」のようなものです。

その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない

今まではNFTというのはNFT単体もしくはNFTアートとして売るものという認識が多かったですが、今後様々な事業者が参入するにつれ、NFTトークンではなく、NFTを活用した製品製作が活発になってくると考えています。逆に考えると、ただのNFTトークンは更に価値を失っていくと考えています。先ほどの赤の女王の話のように、我々はさらに前進していかないといけません。

NFTのトレンド予想(2022年11月時点の予想)

では、今後はどのようなNFTが人気が出てくるのでしょうか。NFTの世界は日進月歩なので、数か月も立てば今まで予想していなかった大きなトレンドが出てくるかもしれません。ですが、私の中で2022年11月段階で予想する次のトレンドを発表します。

リアルのブランド・製品と結びついたNFT

NFTというのは、一種のブランドであると考えることもできます。たとえば、CloneXを持っている人はクール・かっこいいという一種憧れのステータスが、実際に日本においても見受けられるようになっています。

有名NFTを買ったというツイートに対して多数のリプライがつき、ホルダー同士の交流イベントも活発になっています。そして、CloneXやAzukiといった海外のNFTブランドは、現在リアルのブランドとコラボした製品を発売していっています。

実際に、AzukiはPBTという、現実世界のアイテムとリンクしたNFTを発行できる規格を作りました。このAzukiが金のスケートボードをオークションしたところ、なんと1個200ETH以上で落札されました!このように、現実の高級なブランドとリンクすることにより、更にホルダーに対するステータスを高めることが可能なため、ファッションブランド発のNFTや、NFTプロジェクトが立ち上げるリアルブランドは大きな可能性があると私は考えています。

日本においても、「BONSAI」プロジェクトという、10個買ったら1個リアルの盆栽が届くプロジェクトが話題になったことがあります。また、CloneXはRIMOWAとコラボしたスーツケースが大きな話題を呼びました。
今後、リアル世界のブランドとコラボした製品開発はますます活発になっていくと考えています。

芸能人・有名IP発のNFT

NFTというのは、ファンクラブの会員証のような役割も果たすことが可能であり、日本でも海外でも芸能人がNFTに参入することが活発になっています。

例えば、アンソニー・ホプキンスが自身のNFTプロジェクトを発行したところ、720ETH以上の取引高を冬相場時代にも叩き出しました。このアンソニーNFTの特徴としては、NFT保有者に対して、アンソニー本人に会えたり話したりする権利などを付与し、VIP会員証のような扱いにしていることです。今後、日本においても有名人や有名IPなどがNFTを発行する事例が増え、実際に成功を収めていくであろうと考えています。

NFTを活用したゲーム(BCG)

昨今、日本においてもNFTを活用したゲームに参入する企業が増えております。BCGゲームに関しては、去年Axie Infinity を筆頭としたPlay to Earn(遊んで稼ぐ)という概念が大きな人気を呼びましたが、トークン価格・NFT価格の乱高下が問題になり、一時期下火になりました。ですが、今年に入って国内・海外問わず継続的に開発が進められており、大いに期待できる分野です。

有名IPも多数参入しており、ゲーム性やトークノミクスに関しても日々改善の議論が繰り広げられています。今後、今までNFTに興味がなかった層も取り込み、さらなる市場の発展につながるであろうと私は予想しています。

最後に

いかがでしたか?今回、書きたいことが多数あるのですが一旦の区切りとさせていただき、別の機会に後編を書きたいと考えています。後編では、実際にNFTプロジェクトを企画する際に絶対におさえていないといけないポイントなどを解説していきます。

また、NFTプロジェクトの企画を考えている企業様に対して、随時相談を受け付けております。 Twitter のDMにてご連絡ください。 (@HayattiQ)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?