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最愛なる父の死を無駄にしない

8月20日「お父さん最後までリハビリしたいって。携帯を操作したいって言われていましたよ」と意識が昏迷な父の担当看護師さんが言っていた。おそらく私が父に面会に来るたびにリハビリをしてもらいなと言っていたことや、私が作業療法を学んでいることから父の言葉を生んだのだろう。翌日21日9時25分、父は天国に行ってしまった。昨年父はステージ4という最悪な状態で胆のうがんが見つかった。私はその話を聞いた時から、父が助からない事なんてわかっていた。でもこんなにもがんが父の体をむしばむなんて思ってもいなかった。現代の医療では治せなかった父のがん。私は父が亡くなった時に本当に悔しかった。がんという悪魔に対して何もできない自分が。作業療法は本人の大事な作業を、リハビリを通して獲得する職業である。父はきっと最後リハビリをして携帯を操作して病室から私たちと繋がっていたのだろう。

 この悔しさを晴らしたい。そしてがんという悪魔にいつか復讐したい。そう度重なる抗がん剤で亡くなった顔が黄色になっている父を、眺めながら感じた。たとえリハビリで病を治せないかもしれない。でも最後まで本人のやりたいことをできるように、私たちが支えることで、その方は自分らしさを持ちながらがんと戦う事ができる。
 私には夢がある。がんリハビリの研究をしたい。そしていつか天国から見ている父に、お父さんのおかげで多くの人を救う事ができたよと大きな声で自慢してやりたい。
そしてがん患者の家族の皆様がリハビリをしてもらってよかったと感じてもらえるまで頑張りたい。


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