死んでから泣けばいい

6月7日、父の故郷の奄美大島に帰った。
父は歩けるうちに故郷に帰り、家族に挨拶がしたかったのだろう。
いわゆる終活だ。
羽田までバスで向かい飛行機に乗る。奄美大島まで2時間くらいであろう。
父は奄美大島に着陸寸前に涙を浮かべていた。父は最近涙もろい
到着後父の兄弟が迎えに来てホテルに行く。
ホテルはすごくきれいで海が見えるいわゆるオーシャンビュー。
夕食は奄美に居る親戚で集まり、父は1年ぶりに酒を飲む。
父は乾杯の音頭の時に、泣いていた。自分でも驚くくらい泣いていた。
酒が進み気づいたら僕が泣いていた。泣きまくった。父への想いがあふれ死に対して第三者の僕が怖くなっていた。
周りを見渡すと親戚は誰も泣いていなかった。みんな笑って過ごしていた。
親戚の赤ちゃんを母が抱き父が赤ちゃんに笑みをこぼす。僕はフィルムカメラからその光景を覗き、勝手に赤ちゃんを昔の自分に置き代えてタイムスリップしていた。また勝手に涙が出た。
話しは変わるがみんな父に対して真面目という風に言っていた。父はとにかく真面目で真面目過ぎて自分が苦労するタイプの人間である。でもそんな父が大好きである。父は家では寡黙で短期でいわゆる昔の人間。亭主関白とはこのことである。しかし、今父は簡単に涙を流す。
父と今回一緒に釣りをして初めて酒を交わした。この思い出は僕を一回りも強くさせた気がする。それは父に対して何もできていないという自分への罪悪感から少し解放されたたからである。
話しを戻そう。僕が涙を流すときに親戚にこんなこと言われた
絶対に泣くな。泣くのは死んでからでいい。
この言葉は簡単な誰でも分かってることかもしれないけどすごく今の自分に刺さった。そして言葉以上にそれをする難しさを知った。
でも決意した。もう父の前で泣かない事を。強い自分でいることを。


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