『ビジョナリー・カンパニー』のジム・コリンズが、ドラッカーに初めて会った日
“The Effective Executive” 50周年記念バージョンより。私訳。
私が36歳の時、インダストリー・ウィーク誌の編集者トム・ブラウンが、ドラッカーと会えるよう調整してくれた。カリフォルニアにあるクレアモントの自宅である。
スタンフォードでの講義を終え留守番電話のボタンを押すと、オーストリア訛りの英語が響いた。
「初めまして、ピーター・ドラッカーです」
日程を調整するために掛け直す。アシスタントとやり取りした方がいいかを尋ねた。
「自分で自分の秘書をしているんだよ」
質素な生活で、秘書も助手もいない。仕事場のオフィスすらなかった。
もう一つの寝室を書斎にしている。古いカタカタ音のするタイプライター。振り向いた90度の所に小さな机を置いていた。
この家のリビングで偉大なCEOらと会うのだ。机に座らず、枝編み細工の椅子に腰掛ける。
簡素な生き方である。20世紀で最も影響力がある経営思想家を支えたものは。
彼に初めて会った日は、人生で10本の指に入る大切な日となった。
ピーターは大きな課題に挑んでいる。
「世界を生産的かつ人間的であらしめるためには、どうしたらよいか」
玄関を開け私の手を両手で握る。暖かい手だった。
「コリンズさん、お会いできてとても嬉しいです」
「中へ入ってください」
優しさが滲む。
恐るべきほど生産的な人。
「26冊の著書がありますが、一番自信がある本は何ですか」
「勿論次の本です!」
86歳のドラッカーはそう答えた。それからのち10冊を上梓している。
帰る直前に、ピーターが痛いところをつく。
私はスタンフォードを離れ会社を起こすことを決めていたが、正直言えば怖かった。
「本当に生き残れるか、憂慮を重ねたようだね」
「君は、生き残ると思う」
「ただ、、」
『どうやったら成功するか』
「そんなことばかり考えてきただろう」
しばし止まってから、禅師のように竹の棒でテーブルを打った。
「違う」
「どう役立つかだ」
本当に偉大な師は人生を30秒で変える。
人の命は儚い。
一回限りだ。
誰もが週に168時間しか与えられていない。
有限な時間がどう繋がるか。
他者の人生はどう変わるか。
どんな違いを生み出すか。
組織に属さない人。
簡素な家に住み、枝編みの椅子に座る人。
彼は権力や巨大な組織に頼らずとも、社会にどれほど貢献できるかを示してくれていた。
教師の鏡である。
自分の話した通りに実践し、自らの人生に永続的な輝きをもたらした。彼の書が正しいことを証明する生き証人であった。
Jim Collins
Boulder, Colorado
May 17, 2016
お読みくださいまして、誠にありがとうございます!
めっちゃ嬉しいです😃
起業家研究所・学習塾omiiko 代表 松井勇人(まつい はやと)
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そんな主題。是非ぜひお読みくださいませm(_ _)m
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テーマは、、、
起業家はトラウマに陥りやすい人種です。
トラウマから立ち上がるとき、自らがせねばならない仕事に目覚め、それを種に起業します。
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書籍紹介動画ですm(_ _)m
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