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エフェクチュエーションは哲学か理論か?

「私は誰だ」
「誰を知っているんだ」
「何を知っているんだ」

3つの問いが、エフェクチュエーションの根幹である。

サラスバシーは著書で巧妙に言明を避けているが、エフェクチュエーションは理論というより哲学に近い。哲学としてしまうと、学会で認められない。

経営理論が哲学に偏ってきたことには理由がある。

「真実と現実、どちらが上位概念か」

真実と現実の地位が逆転したためだ。

これはチャルディーニとドラッカーの違い、プラトンとアリストテレスの違いとも言えそうだ。

『影響力の武器』のチャルディーニは、「人は一貫性(consistency)を求める」、すなわち「人には変わりたくない傾向がある」と語った。

ドラッカーは「真摯さ(integulity)こそ、リーダーに最も重要な素養」とする。

一見同じように見える両者は、まったく異なる。

インテグリティ(integrity)を、ロングマン英英辞典で引いてみよう。

1 . 自らが正しいと信じていることに誠実なこと。
2. 一つのものとして統合されている状態。

ロングマン英英辞典より私訳

注意を要するのは、ドラッカーの「真摯さ」とは他者に対する誠実さではなく、自らが信じるものへの誠実さであるところだ。

チャルディーニは理論にこだわり、ドラッカーは哲学を描いた。

「以前と同じように行動しても上手くいかない」

昨今、そんな場面が増えている。理論や計画が機能しないのだ。

近代は現実を支配するために理論や法則を探究し、科学として結実させた。真実は現実より上だとされた。

しかし、エフェクチュエーションを支える哲学「プラグマティズム」では、「現実が真実の上位概念」とされる。

真実は現実から得られる。
逆ではない。

現実だけが完璧な教師。
現実こそが神である。

ジェームズ『プラグマティズム』より私訳

図示させて頂く。左がチャルディーニ、右がドラッカー。

真実は常に変わってゆくけれど、常に変化するためには変わらない哲学が求められる。現実と対話するとき求められる哲学が、真摯さや誠実さなのだ。

チャルディーニは真実にこだわり、ドラッカーは哲学にこだわった。

すなわち、真実と現実の地位が逆転したがために、理論でなく哲学が重視されるようになったのである。

ラファエロの名画『アテネの学堂』で、プラトンは天を指差し、アリストテレスは地に掌をかざした。

wikipediaより(クリエイティブ・コモンズ)

現実を支配する真実(プラトン)から、現実と対話する哲学(アリストテレス)へ世界が変わりつつある。

プラトンの真実は時代遅れとなった。

wikipediaより(クリエイティブ・コモンズ)

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めっちゃ嬉しいです😃

起業家研究所・学習塾omiiko 代表 松井勇人(まつい はやと)

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