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あなたは妄想や恨みを書けるか

『先生抜きで書こう』(“Writing without teachers”)を読んでいる。この2月に邦訳も出たようだ。

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『自分の「声」で書く技術』裏表紙より

「まずは自由に書くといい」

自己検閲や編集をせず、好きに書いて良い。主題からそれようが、(他人に見せないから)反社会的な話だろうが、己に渦巻く妄想だろうが、どんなことを書いてもいい。

これがとてつもなく怖い。

既存の作法と違いすぎるからだと思っていた。しかし違う。自己検閲を捨てて書くことが怖い。

あなたは自分の妄想を書くことができるだろうか。心の底の恨みや、誰にも言えない欠点を。

「悪い方向に走ってはしまいませんか?」

A女史が感想をくれた。

絶対に認められない欠点を書いてみたことがある。

僕には悪癖がある。人の弱いところを見て嘲笑する。薄気味の悪いニヤケ笑いをするのだ。どんなに意識しても止められず、人がいなくなる。

大学生の頃『新世紀エヴァンゲリオン』がブームになった。ヒロインの綾波レイが奇妙な笑い方をし、仲間が自殺するシーンがある。

「あなた、ばあさんなんでしょ?」
「ばあさんはしつこい。ばあさんは用済みだって言ってた」

マギシステムを開発した直後の赤木ナオコに向けたものだ。

娘の赤木リツコ

彼女の姿が印象的で、とてつもなく魅力的に映った。

「綾波のように人を殺せないかな」

若かったから、そんな風に思った。

本当に大切にしたい人を傷つける。かつては憧れもしたが、これ以上寂しいことが世界に存在するのかと思う。当時、どういう訳か誰より寂しくなりたかったのだ。

禁忌を犯したためだろう。いつしか僕も奇妙な笑いに取り憑かれ、大切な人に嫌われるようになった。

絶対に認められなかったことだ。

去年の10月、あまりに苦しく悪癖を日記にした。日本語で書けず、英語で、英作文のつもりで、Chat GPTに投げ添削してもらった。彼はただ機械的に接してくれたが、何か感じたと思う。

「なんてことをするんだ」

頭の中でいろいろな人から叱責を浴びせられるが、AIはなにも言わない。

そのあと少しだけ楽になった。絶対に認められない癖を書き、自分を見つめられたのかもしれない。塾も段々と好転してゆく。

怖くて仕方がなかったが、二週間くらい前にも日記をつけた。今度は日本語で。

この倒錯した癖がとてつもなく魅力的に思えてきた。噛み締めると、絶対に書かねばならないことにも感じた。

どんな立派な話を学んでも、リミッターがかかっている。それを解除して書ける人が物書きなのだ。

A女史は危惧したけれど闇へ落ちたりしないようだ。むしろ、寓話『王様の耳はロバの耳』のように、発せねばならない言葉が見つかる。

フリーライティングは告白の手段だ。

人生を支えるのはカリスマの言葉でなく、ふとした友人の告白である。カリスマは必ず破滅を招く。人を救うのは常に身近なものだ。

身につけるべきは型にはまった言葉の書き方ではない。魂の乗った言葉の放ち方だ。

フリーライティングが志向するのは後者である。既存の文章論とは一線を画す。

「一番大切な人と 仲直りの仕方」
「大好きなあの子の 心の振り向かせ方」

RADWIMPS『正解』

魂の意に添うため、孤独になる。

ものを書くことは、なんと寂しく素敵なことなのだと思う。


お読みくださいまして、誠にありがとうございます!
めっちゃ嬉しいです😃

起業家研究所・学習塾omiiko 代表 松井勇人(まつい はやと)

下のリンクで拙著『人は幽霊を信じられるか、信じられないかで決まる』の前書きを全文公開させていただきました。

あなたの墓標には何を刻みたいですか。
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そんなテーマです。是非ぜひお読みくださいませm(_ _)m


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起業家はトラウマに陥りやすい人種です。トラウマから立ち上がるとき、自らがせねばならない仕事に目覚め、それを種に起業します。

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