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「風通しを良くして、体を暖めてください」


「風通しを良くして、体を暖めてください」

「それが看護の基本であって、根本でもあります。こちらを怠られましたら、他のどんな努力も無に帰すのです。そんな風に断言できる本当に大切なこと。決してお忘れになりませぬよう」

看護学校に進学したとある麗しの女生徒に、ナイチンゲールの主著を紹介してもらった。現代社という出版社から出ている『看護覚え書き』。訳者も指定してあり、必ずこの訳者の書籍でなければ駄目なのだという。看護や介護のプロが100年経った今でも繰り返し読み、基本に立ち返る原点でもある。

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ということで、猛威を振るうコロナウィルスその対策に、うちの塾でも換気だけは絶対に気をつけることにしたのだった。同時にこの看護の原点、起業家心理や生徒のメンタルヘルスにも応用できるものではないかと、珍しくも研究者らしく仮説を立て観察することにしたのだった。

実のところメンタルヘルスにおける換気とは何ぞやという疑問を暫くの間解くことが出来ずにいた訳だが、おそらくそれは他者と話しをすることなのだろうとの結論に達した。6年間引きこもりだった私もそうだが、人と話が出来ないと症状は改善しにくい。というか改善しようがない気さえするのだ。

とはいえこの辺はしっかりと検証している訳ではないから、どこが研究者らしいのだというお叱りは甘んじて受ける必要があろう。

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そちらはまた科学的批判に耐えるよう頑張るとして、自分の部屋に置き換えてみてもいいかもしれない。

他者を呼ばない独り暮らしの部屋というものは、これはもう見るも無残な汚い部屋となるものである。2ちゃんねるではこれをお部屋にかけて汚部屋(おへや)と呼んでいるが、なんとも上手い言葉の使い手がいたものだと思う。

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ある不登校さんに授業の後、こんな話を切り出してみた。

「なぁ、今度zoomで読書会開くだけん、Aさん参加してみんか?」

「あぁ、いいかも」

意外にもあっさり快諾されたのである。

思えば電話が怖い生徒が多いのだという話をどこかの支援者に聞かせてもらったこともあった。電話は怖いが、LINEはOKなのであると。考えてみるとウチの生徒で健康な奴らでさえも

「俺、かかってきた電話には絶対出ないポリシー持ってるから」

と言うやつらがチラホラといたのだった。

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正直なところ、

「バカなことを言いやがって、電話くらい出ろこのボケナスが!!」

と、この事については割合とガチでキレようかと思案していたのだったが、怖いんならしゃぁないな、と怒りを収める事が出来たのだった。もう連絡も取れなくなってしまったあの支援者の方。。。浅羽のお寺で出会ったとおぼろげながら記憶しているが本当に感謝している。

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6年ほどの間、私はガチで引きこもっていたのだが、その間、友人からmixiというSNSを教えてもらっていた。今はもう誰も使わなくなってしまったSNSだとは言っても、当時は日本最大のSNSで圧倒的に盛り上がっていた。

何とも不思議な話ではあるが、私もまたmixiなら人と話をすることが出来た。目のクリっとした、とても可愛らしかった小学校時代の同級生だとか、中学の部活の女の子、大学時代の親友連中とか、、、見ず知らずの無頼派のような男性とも仲良くなった。

読み返してみるとまるでリア充のようだが、もちろん正真正銘のガチガチの引きこもり。キーボードは打てるが、口頭での会話など男子とでさえ出来ないヤツだったことは付け加えねばなるまい。

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ただそこでは僕が引きこもりであることを隠そうと思えば隠せたし、知って欲しい人には敢えて伝えることだって出来た。

そう、思えば選択肢が沢山だったのだ。逃げようと思えば逃げることもできる。リアルと違って逃げ場が沢山ある。

そんな訳で、zoomとかも場合によってはリアルのシミュレーションに出来るような気がするのだ。風通しを良くするため、あっためるため。そのためにどうすればいいのか試行錯誤するために。

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こっからリアルにどう繋げるのかは、恐らく夜間中学だとか生徒Bの祖父母が経営されているコミュニティの「まるかわの蔵」さんとか、中溝さんの飲み会にあるのだ。

メディアリテラシーって、どうやって自分とか他人とかの風通しを良くして、あっためる方法を学ぶかってことだろう。ZOOMなら窓を半分空けることとか、仮面をかぶって覗き込むとか、マジックミラーにして外の様子を窺うことだってできる。

「風通しを良くして、体を暖めてください」

ナイチンゲールのこれはやはり恐らく、ケアの本質。体のケアは心のケアと繋がっていたのである。

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お読みくださいまして本当にありがとうございます!
めっちゃ嬉しいです(^▽^)/

起業家研究所omiiko 代表 松井勇人(まつい はやと)

新刊出させていただきました。
ご感想いただけましたら、この上ない幸いですm(__)m

【参考文献】
Nightingale, F. (1992). Notes on nursing: What it is, and what it is not. Lippincott Williams & Wilkins.

サポートありがとうございます!とっても嬉しいです(^▽^)/