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オーディオにオカルトはあるのか?

パワーアンプの電源ケーブルや信号ケーブルを変えたり、インシュレーターを敷いたりすると、音が変わると言われています。
一般の人には理解しづらいかもしれませんが、実際には音の変化を感じることができる場合が多いです。
だから、オカルトと言う前に、その現象を説明できる物理的なモデルはないのか?というのが基本的なアプローチになると思います。

例えば、MLCC(積層セラミックコンデンサ)の鳴きが挙げられます。
これは、セラミック層の振動によるものです。
また、ケーブルの場合も芯線と被覆間の効果で音の変化を説明できることがあります。
あるいは、電源トランスの鳴きはどうでしょうか?
これは、商用電源の交流による電圧の変動と、トランスの振動によって生じます。
では、抵抗はどうでしょうか?
抵抗に音声信号が流れると熱が発生し、導体が振動します。
つまり、電磁気学的なモデルだけでは不十分で、実際のアンプやケーブルを構成する物質の力学的なモデルも考慮する必要があります。
また、聞こえない周波数でもうなり(共振)によるビートダウンを考慮する必要があります。
複数の周波数の差が可聴帯域に入ると、音として感じることができます。
したがって、オーディオのオカルトも、よく考えれば説明できる場合が多いです。

最後に、コモンモードノイズやアースループに起因するノイズについても触れておきたいと思います。
オーディオパワーアンプは信号入力、電源入力、スピーカー出力の3つの系統で構成されています。
これらの系統の基準電位と信号の同相電圧を考慮する必要があります。
特に、日本の家庭用の商用電源の場合は、Live、Neutral、Earthが独立していないことに注意が必要です。
また、一般的なオーディオ製品はシングルエンドによる信号伝送を行っています。
ですので、ただ接続するだけでは入力、電源、出力の基準電位が異なってしまいます。
これらの点を正しく抑えることで、十分な音質を実現できるオーディオパワーアンプの設計と実装が可能になります。

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