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オーディオパワーアンプのアーキテクチャ

まず、オーディオパワーアンプの基本仕様として、入力にアナログの音声信号(20-20kHz, +-1.4V)、ユニバーサル電源の入力としてAC(100-240V, 50/60Hz)、出力として100W(スピーカー8Ω)を仮定します。

AC入力をEMC付きのインレットで受けて、PFC、LLCコンバータ、CMCフィルターを電源部とします。PFCで力率補正することで商用電源からみた効率が上がるため、力率の低いトランスとコンデンサインプットによる電源よりも文字通りパワフルになります。また、PFCでDC385Vに昇圧してから、LLCコンバーターでDC+-48Vの正負電源を構成することで、より正弦波に近い共振波形からDCへ変換することになります。さらに、CMCフィルターを追加することで、電源レールのコモンモードノイズを抑制できます。

アンプ部は平衡入力のD級(出力にCMCフィルター付き)またはAB級を想定します。D級アンプはCMRRが本質的に0dBなので、電源の品質がそのまま出力される形になります。また、D級アンプ自身がスイッチング動作(降圧コンバータ)なので、スピーカー出力にもCMCフィルター(バランとして動作する)を追加することで、スピーカー側でのモード変換によるノイズを抑制できます。

全体に一貫しているアーキテクチャのポイントは、エンドツーエンド(入力、電源、出力)のCMCと差動増幅によるコモンモードノイズの対策にあります。また、スイッチング回路は基本的にZVSを選択します。具体的には、PFCは臨界モードを選択します。また、D級アンプはデッドタイムを調整することで、アイドル時にZVS動作するようにします。

このような基本的な対策を徹底することで、高効率でローノイズのオーディオパワーアンプが設計できます。

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