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コンテンツ作りと拡散で大事にしていること

はじめに

初めまして!真っ白なキャンバスなどのアイドルグループを運営しております、青木です。
いつも応援して頂いてる皆さん、本当にありがとうございます。

最近、各グループの未来を考える上で過去の様々な反省や今後意識したいことなどが山のようにあり、整理をしていく段階でせっかくだからメモ代わりに備忘録して残そうと思い、この記事を書くことにしました。
これから意識していきたいことがメインなので現状できてる部分は非常に少ないですが、見ていただけたら嬉しいです。

コンテンツ作りの時に意識していること


1.ニーズドリブンな思考

無題の図形描画

※⑦音楽は⓪の場合もあり

この図は私なりにアイドル市場におけるマーケットニーズを簡単に分解したものです。
アイドルは、楽曲、ライブ、衣装、グッズ、アイドル本人など様々な変数があり、一概にアイドルを推しているのは〇〇だからだ!と一括りにすることは非常に難しいです。
自分自身もアイドルが好きなため、自身の記憶を掘り返しながら周りの方にもヒアリングを進めると面白い事が分かってきました。
それは、アイドルファンのニーズは年齢の増加と共に変化しているという事です。「?そんなの当たり前じゃん」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、年齢や性別、居住地などの人工統計的変数で切り分けてコンテンツ展開することはあってもニーズドリブンで展開することは今思い返すとあまりないなーと思いました。
全く考えていないという話ではなく、優先順位として人工統計的変数>ニーズで考えている事が圧倒的に多かったです。
これの何が良くないかと言うと、ニーズドリブンではないのでコンテンツ毎の目的が不明瞭なものとなってしまい、コンテンツ自体が中途半端なものになりがちです。
いわゆる当たり障りのないコンテンツになってしまいます。
そうなると口コミで広がるわけもなく、オーガニック流入が全く見込めない状態になってしまいます。

2.徹底的なインサイトの深掘り

インサイトとは、消費者の行動や思惑、それらの背景にある意識構造を見ぬいたことによって得られる「購買意欲の核心やツボ」のことを指す。
引用:Synergy Marketing マーケティング用語集 インサイト

分かりやすく例えると、「お洒落がしたい」というニーズはさらに分解すると、「モテたいから」という恋愛的な欲求や「かっこいいと思われたい」という自己承認欲求的なものが潜在的なニースである事が多いです。

私がこれを一番考えるのは『楽曲制作』の時です。

例えばこの曲は私がプロデュースしている『真っ白なキャンバス』の代表曲『SHOUT』です。(ライブで披露すると盛り上がる曲で、この曲を出してから4年近くたった今でも沢山の方に盛り上げていただき、さらにはカバーまでしてくれるアイドルさんも沢山いらっしゃって本当に嬉しい限りです)

この曲の直感的なニーズは「ライブでやると盛り上がって楽しい」となりますが、もう少し分解していくと「日常のストレスを解消すること」と捉えることもできます。
要は、曲の用途をシーンで考え、インサイトを深掘りしています。
SHOUTの場合は上記の目的から曲のbpmや歌詞を考え、組み合わせて制作していったという感じです。(作曲家の古屋葵さんと作詞家のリオンのおかげです)


インサイトの深掘りとはちょっとずれてしまうかもしれませんが、もう一つの例として『セルフエスティーム』という曲も紹介させてください。セルフエスティームは日本語に訳すと"自尊心"という意味で、自分自身を大切に思う感情を意味します。

このセルフエスティームは、「深夜2時にベッドの中でうずくまり、全く眠れない状況」というシーンを想定し、

「なぜ寝れないのか?」

→「漠然とした不安が襲ってくるから」

「なぜ不安が襲ってくるのか」

→「自分に対する自信が持てず、全ての物事を否定的に考えているから」

と分解し、解決策として「自己肯定感を上げる」ことを掲げ、タイトルや歌詞にそれに寄り添うように落とし込んでいったという感じです。

もちろん、楽曲だけでなくその他のコンテンツや企画作りをする上でも「なぜ?」をひたすら繰り返して潜在的なものに辿り着くように意識をしています。

3.コンテンツの再現性を保つ(トンマナを意識する)

ぱっと見「再現性がない方が真似されにくく、ブランドポジション保てていいじゃん」と思うかもしれません。もちろん圧倒的ハイレベルなパフォーマー、コンテンツをコンスタントに供給できるアセットがあればそれでもいいのですが、僕らはまだまだそういうわけにもいきません。

(ここでいう再現性はデザインが非常に複雑なものであったり、踊り・振り付けが非常に複雑なものであったり、楽曲の内容が非常に難解であることなどを指します)

私的にはコンテンツの再現性が高い方がメリットがある理由は以下二つだと思っております。

①コアコンテンツからのサブコンテンツへの展開のしやすさ

②バイラルな広がり方が起こりやすい

それぞれ説明していきます。

①コアコンテンツからのサブコンテンツへの展開のしやすさ

例えば、一つのMVを出すとします。

そのMVを中心として考えると、「Music Video」としての価値提供の他に

「MV内で踊っているダンス」や「各メンバー視点のMV」「MV メイキング」など一つのMVを起点に様々なコンテンツ展開ができます。

その際に非常に複雑な構造にしてしまうと、サブコンテンツの制作にも工数がかかり、スピーディーに施策の実施ができないだけでなく、金銭的な負担ももちろんかかってきます。

逆に、ここで再現性やトンマナをと揃えることを意識して初めからMV制作するとサブコンテンツの展開がしやすくなるというわけです。

これはMVだけでなく、一つのキャンペーンを実施する際やライブを作る際にも同様の考え方ができると思っています。

バイラルな広がり方が起こりやすい

バイラルマーケティングとは、商品やサービスを利用したユーザーが友人や同僚に紹介するように仕向けるインターネットを使ったプロモーション手法である。
引用:富士通総研 バイラルマーケティングとは

目に触れる情報量が膨大にある現代で、ネットユーザーの情報の取捨選択レベルが非常に上がっているなと実感しています。

例えば、数年前だったら本物だと思うような記事やデマ、クリックしていたような広告も、ユーザーが学習し、「不要な情報」「害を及ぼすもの」だという自己判断をし切り捨てるなど、情報判断のレベルが上がっているように感じます。

このような状況で、web広告などでアイドルコンテンツを広げることの難易度はかなりハードルが高く、非常に難しいです。

そこで重要なのがバイラルな広がり方だと思っています。

ユーザーを置いてけぼりにするような複雑な作りや分かりにくさを極限までなくし、真似しやすく伝えやすくすることで、バイラルな口コミを狙うことができます。

こうした二つの理由からコアコンテンツの生成時には、サブコンテンツを意識したトンマナ作りが大事だと思っています。

4.エボークトセット

普段、皆さんはハンドソープや歯磨き粉を買うときに何を意識していますか?

例えばハンドソープだったら、真っ先に思い浮かぶブランドは『キレイキレイ』とか『ビオレ』ですよね。このブランドの集合体を『エボークトセット』と呼びます。

何かを買おうと思った時に、人はこのエボークトセットの中から選ぶ事が殆どだと言われています。

つまりユーザーの選択肢に入ることを意識しなければならないということです。

例えば、グループ名でエゴサしてみると「グループA、グループB、白キャンの現場に早く行きたい」といったような投稿を見かける事がありますが、これはこの投稿だけ見るとこのユーザーのエボークトセットの中に白キャンが入っているということになります。

これはいわゆるグループのポジショニングや認知度と非常に相関関係があると思いますが、コンテンツを作る際にこれを意識しないとどこの選択肢にも入らないといった状況が生まれてしまうかもしれません。

パッと思いつく試作は『コラボ』ですね。YouTuberではもう主流なものだと思いますが、一番効率よくユーザーのエボークトセットに入りやすい施策だと思います。しかし、ただコラボするだけだと逆にマイナスな影響を生む可能性もありコラボ内容はよく設計しないといけません。

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私が実際に実施したのは、今年の2月にリリースした真っ白なキャンバスのアルバム『共創』で様々なクリエイター、アーティストの方とコラボする施策を実施しました。オフラインでの展開も色々と考えていましたが、このご時世もあり色々と実施できない施策があったのでいつかリベンジします。

共創特設サイト

5.プロセスエコノミー

今まで上げてきたこと全てを意識して完璧に作ったとしても、評判が良くなるとは限りません。

そこで大事になってくるのが、一つのコンテンツができるまでの過程をきちんと設計して届けること。プロセスエコノミーです。

プロセスエコノミーについてはけんすうさんという方がめちゃくちゃ詳しく解説してくれています。https://kensuu.com/n/nf4270e069c20#M1wvn

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例えば、真っ白なキャンバスが行ったドキュメンタリー『真っ白な日記帳』

まさにこのプロセスを伝えるための施策でした。一つのライブでも、ただライブを見るのとライブまでに至る過程を知った状態だと捉え方が180度変わることもあります。

曲制作もそうだし、映像制作もコンテンツに関わる全てプロセスがとても大事。特にアイドルは。より想いがこもった、その過程をきちんと伝えたコンテンツ作りをしていきたいなと思っております。

コンテンツ拡散の時に意識していること


1.認知の中身を考える

アイドルにおいて、グループを認知している状態は大きく3つあります。
1つは能動的にコンテンツに触れたことがある人→完全認知の状態
2つ目は名前は知ってるけど、受動的なコンテンツの触れ方をしている人→部分認知の状態
3つ目は存在すら知らない人→非認知の状態 です。

この認知の状態を意識して、どのようにコンテンツを広げていくかを意識することがあります。

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例えば、2021年7月に行った企画で『#きみが白キャンの宣伝大使だ』というものがあります。
#きみが白キャンの宣伝大使だ をつけてTwitterに真っ白なキャンバス楽曲の想いを投稿すると選ばれた10人方には宣伝大使の称号が与えられ、メンバーが直接お礼を言いにいくと言った企画です。
この企画立案のきっかけは、7月末に実施した5日間連続ライブ『Be the IDOL』の集客目的としてです。
最初は白キャンの楽曲をまだあまり知らない人(メインは部分認知の人)に届けたいという想いから始まりました。
初めは"メンバー自身が楽曲の魅力を動画で発信していく"というものにしようと思ったのですが、このやり方では能動的にコンテンツに触れる必要が出てきてしまい、上手く届かないと思ったので人が人に伝えるように"口コミ"を利用して、バイラルな広げ方を狙いました。
結果的には大成功と呼べるのかは分かりませんが、確実に動画で楽曲の魅力を一方的に伝えるよりは盛り上がりがあっただろうなと思います。

2.コアコンテンツからの多重展開


"コンテンツの再現性を保つ(トンマナを意識する)"の箇所でも触れましたが、コアコンテンツからの数珠繋ぎ的なサブコンテンツの展開が重要だと考えています。
kpopのコンテンツを見てみるととても顕著なのですが、一つのMVリリースを軸としてそれに関連する動画が20~40本も出ていることがあります。
一つのコンテンツを盛り上げるために、サブコンテンツがその役割を果たし、公開時の熱量が一秒でも早く冷めないように様々な工夫をしているように感じました。
これに似た経験をしたのが、”リリースイベント”でした。
『CDリリース』というゴールに向かって、3ヶ月ほど前からリリースイベント始め、その間でCDリリース日に向かってイベントを実施する様は本当にお祭りのようで内側にいても盛り上がっているのを感じていました。(コロナになってリリイベができなくて本当に寂しいです。リリイベ大好きなので実施可能な状態になったら絶対やります)

最後に

今まで書いてきたことは、約4年間の経験で後悔したこと、失敗したこと、逆に上手くいったことのまとめとして書きました。
できていないことの方が圧倒的に多いので、この記事を備忘録として数年後には「あんなこと書いてたなー」と俯瞰的な状態になることを目指します。
ここまで書いてきたことは意識の話がメインですが、コンテンツを作る環境やそのフローも同じぐらい大事だと思っています。いくらコンテンツづくりのノウハウがあろうがその制作体制が整っていなければ上手く機能しないからです。ここについても思うことがあるのでどこかのタイミングでまた書きたいと思います。
最後に、私がこの先やりたいことを少しだけお話しさせてください。
海外のエンタメ企業を見ると、芸能事務所間のM&Aが行われていたり日本に比べて上場するエンタメ企業が圧倒的に多く、資金やリソースの流れがとても流動的に感じます。
私自身、19歳の時に真っ白なキャンバスを立ち上げ右も左も分からない状態で沢山の方にお世話になったし、また逆に沢山の方にご迷惑もおかけしてきました。
挑戦する人が今よりも打席に立ってチャンスに巡り会えるように、リソースの流れが流動的になる仕組みを作りたいなーと漠然と思ってます。まだ世間知らずのアマちゃんなので、この先いろんな経験を経て考えも変わるかもしれませんが、まだまだこの熱量が冷めることはなさそうなので冷めるまでは一直線に突っ走ろうかなと思います。
長々と書いてしまいましたが、ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。

@hayato__aoki https://twitter.com/hayato__aoki


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