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関東住みの関西人の東西考

何かの番組で、関西人と関東人は他者との距離の取り方が違う、というのをやっていたことがある。パントマイマーにじっと動かないパフォーマンスをさせて、それぞれ東京は銀座三越の前に、大阪は難波橋の中央に立たせ、周りの人の反応を見るという実験だった。東京では人々は遠巻きに、ある人は気持ち悪そうに、ある人はクスクス笑いながら、直接パントマイマーに働きかける事はせず、見ているだけ。一方大阪は、一緒に写真を撮ってみたり、同じ格好をして横に立ってみたり、目の前で手を振ってみたり、肩を組んでみたり、集合写真に入れてみたりと、皆物凄く至近距離で接していた。東西の違いが鮮明で、とても面白かったので印象に残っている。一番近くに来た人とパントマイマーの間の距離は、東京ではメートル単位だったが、大阪では0センチに近かった。

ホントかしらん?と思いつつみていたが、関東に来て実感した。あの実験の結果通りである。程よい距離感が他人との間にあるように感じる。関西はとても近いと思う。「飴ちゃんあげよ」の大阪のおばちゃんはフレンドリーで面倒見がよく、心温まる一方、ある程度他人のテリトリー内に入り込んでいる。それを笑って済ませられ、好意のみ上手に受け取れるのが関西人、あり得ない距離感にびっくりするも、好意には誠実さを感じて戸惑うのが関東人なのかな、と思う。

実験の時は、それぞれの距離感の違いは地域の成り立ちの歴史に起因している、と解説されていた。関東は他所から来た人の集まりだったので、自然と距離を取るようになった、という事だったと思う。

あと、関東の人はゆったりしているように思う。レジもゆっくりだし、駅の人々の歩く速さもゆっくりだと感じる。道を譲ったりした時に「ありがとう」と言われるのだが、とても丁寧でゆっくりな人が多い。関西ではこういう時に、あまり丁寧に礼を言われることがなかったように思う。なので免疫がなく、ちょっと狼狽える。でも悪い気は全くしない。のんびりしていると言おうか、関西で感じる「せかせかした感じ」があまりない。

フレンドリーだけど距離近過ぎに注意して、自分でテリトリーを守らねばならない関西。程よい距離感だけどどっちを向いても他人面の人ばかりと感じる事もある関東。どっちも住めば都。どっちも良い所だと思っている。