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産みたいくらいに愛してる! 東京初期衝動性獣集合ツアーファイナル

2022年がとうとう始まった気がした。もう既に2月に入ったのに、何を言ってるんだ、と思われるのも仕方ないが、自分の中では今年1本目のライブに行けた今日、まさに2022年がスタートラインを越えたのである。ここまでの1ヶ月半、行ってもいいなーと思うライブはいくつもあったが、やはり最初は大好きなバンドでなきゃいけないと思っていた。結論から言うと、これ以上ない始まりはこれまでもなかったし、これから超えていく自信もない。

それでは、この日のライブを自分なりの押し付け形式でお送り致します。もう、安定ですね。

まずは「再生ボタン」で幕を開ける。2021年最後のライブ、12/24の東京初期衝動のライブから止まってた気がした時間が再生された。僕だけが止まった気がしただけだった。彼女らはこの期間にセカンドフルアルバムをリリースし、ひと回りもふた回りも大きくて偉大に見えるステージだった。東京初期衝動、宜しくお願いします。の掛け声と共に爆音が鳴り続ける。

「腐革命前夜」。フルアルバムのレコ発ツアーということもあり、まさに出来たて、リリースしたての音楽たちを聴くのが楽しみで仕方がなかった。イヤホンを通したサブスクだったり、1枚のディスクから流れ聴こえる音源をこれでもかって程聴いてきたが、それとは全然違うのが生の音である。だからこそ、本当に楽しみであった。この曲は、このバンドの"かっこいい"が詰まった1曲だったし、力強さと芯のある言葉に体の奥まで訴え掛けられた気分だった。このライブが終わっても、この夜を追いかけ続けたいと思える瞬間だった。

続いて、キャッチーなメロディーで始まるのは「マァルイツキ」である。新曲を続けるセトリに胸は弾みまくっていた。フロアはもちろん、ノリノリでサビの振りを踊っていた。それを目にしたメンバーも自然と笑顔に。1番目を見張るのは、いつもポーカーフェイスでギターをかき鳴らしている希ちが笑顔だったことだ。この曲に限った話ではないが、新曲をやっている時は特にいい表情をしていたなあ、と終わってから感じた。もちろんほかのメンバーも然り。この大人気曲こそが、東京初期衝動の得意分野なのかもしれないし、これだけ耳に残るフレーズ、しかもありきたりな訳でもない独自の音楽性に惹かれ続けている。

新曲はまだまだ続く。しーなちゃんがギターとスタンドマイクを手放し、拡声器を手に「トラブルメイカーガール」へ。アッパーチューンが続きボルテージも高まるばかりであった。この曲の「産みたいくらいに愛してる!」でフロアは思う存分拳を突き上げ、メンバーは声を張る。今がコロナ禍なんかじゃなければ、間違いなくここはステージもフロアも関係なく全員が声を張るところになっていただろう。コロナ禍後の楽しみのひとつがこれだということに間違いはない。

勢いそのままに「BAKAちんぽ」へ。元々この曲は、ウチの彼ピに手を出すな!というタイトルであったが、そんな甘いタイトルじゃダメだという意思からか、コンプラ全無視でこのタイトルに。これが彼女らのスタイルだと感心するばかりである。「大嫌い 大嫌い 大嫌い」。これも叫びたいフレーズであったが、この状況下ではそうもいかない。しかし、これでもかと言わんばかりにメンバー全員が叫んでくれることで、拳を上げる行為で共鳴出来たような気分であった。個人的にはまれちが「BAKAちんぽ!」と叫ぶところに意外性というか、目新しさというか、なんだか見入ってしまった。

一変して「空気少女」がはじまる。この曲も早く生で聴きたいと思っていた1曲だった。リリースされたアルバムには、様々な顔を持つ曲たちがガーッて詰め込まれてて、その中でも、より一層真っ直ぐで、ロック感が強くて、バンドサウンドもずっしり響くこの曲を早くライブハウスで耳にしたくてうずうずしていた。爆音を響かせながらも、随所でガチッとそれぞれの音がハマる感じ、堪らない。バンドサウンドがこのアルバムを通してもっともっと強くて芯があって、自信に満ち溢れてきたように感じてならなかった。

新曲続きのセトリから、続いては既出曲、安定の「流星」に。この曲聴いてるとき、すごく胸がジーンてくる。イヤホンで聴いてる時はそんな事ないんだけど、ライブで聴くと、少し胸が締め付けられるような、キュって感じの苦しさ。歌詞とか含め、この世界観に入り込めた自分の特権だと思って、思う存分毎回味わってるんだけど、今回ももちろん苦しくて少し痛くて、誇らしげになってしまった。

メンバー4人がステージ中央に集まり大好きなイントロがはじまる。「春」だ。この光景、今回のライブでも特に印象に残っているシーンであった。去年からこの曲を沢山聴いてきたが、このアルバムにもちゃんと入ってて、このライブでもやってくれて、この曲が段々と春に向かっていくのを、一緒に向かっている気分なのです。

しーなちゃんの歌声ワンコーラスで始まったのは「中央線」。自分含め、フロアにいたみんなが息を飲むように聴き入ってた。間奏に入って、一気に音が入って来るところは圧巻としかいいようがない。流星と同じように、少し切なくて、寂しい気持ちにしてくれるのがこの曲なんだと改めて思った。

テンポがジェットコースターの様な緩急で襲ってくるセトリ。次はアッパーチューン「STAND BY ME」。この曲も何度もライブで見てきて、その度に勇気づけられるというか、後ろから押してくれるような曲であるが、今回は少しだけ聴こえ方が違った。「ここで躓くなよ!」というフレーズが何処か、歌っている自分たちへのメッセージにも聴こえて、その覚悟とか意志とかを垣間見た気がした。これが最高の応援だし、鼓舞なのだから、さすがである。

モッズコートでお送りしてきたライブはここでいつものTシャツに変わり、「山田、恐ろしい男!」へ。拡声器を手にこの曲をやってくれたのは、本当にかっこいいシーンだったなあと今でも思います。手拍子もなんか一体となったライブを体感出来て、ステージとフロアの境界線がなくなった感じがして、ひたすらに嬉しかった。ライブだとやっぱこういうハードロックが基盤にあるような曲が盛り上がるのです。

大好きなベースのイントロから始まる、自分の中の1番大好きな曲、「愛のむきだし」。割と昔からある曲なのに、日に日に好きが増していく曲です。ベースにあさかっちが入ってくれて本当によかったなあと、この曲を聴いても思います。あしゃかのベースは居心地がいいのです。センチメンタルな歌詞も沁みるし、メロディラインも突き刺さるから、自分の中の大切な1曲。もっと知られたいけど、独り占めもしていたい、そんな1曲がこの愛むきなのです。

ここからの記憶は本当にぶっ飛んでしまう程のものでした。平穏な日常には刺激的過ぎたし、ここからの勢いを経験してしまうと、普段に物足りなさを感じでしまう程の熱を帯びたライブ後半戦。まずは「下北沢性獣襲来」から。東京初期衝動を好きでここに足を運んだ人なら間違いなく上がる。それ以外の何ものでもないのが、この曲だった。メンバーも、特にしーなちゃんは本当に楽しそうにこの曲から歌い続けるのである。もちろんここまでも東京初期衝動の顔として、引っ張ってきた彼女がここからの勢いを先陣切るように突っ走る。

次は「パンチザウルス」。女の子のために作られた曲かもしれないけど、何処か親近感の沸く曲で近くで温度のある曲だった。アルバムを聴いてる時よりももっともっと。この曲は可愛い!を東京初期衝動の形に変えた魔法みたいな曲だなあって思った。温かい曲だから、これに共感出来る女の子はこの曲を抱きしめていて欲しい。

「黒髪少女の〜」と続け様に「ベイビー・ドント・クライ」がはじまる。なんと言っても希ちゃんの曲だし、希ちゃんがエピフォンからギブソンにギターが変わったからと、再録されて再登場した。今までのバージョンを幾度となく聴いてきたからこそ、この曲が進化してきてる事も存分に感じることが出来た。音の繋がりとか、バンド全体の勢いとかが増してて、サビ以外は何処か可愛いとか大人しいような曲だったが、全体的に強さというか、東京初期衝動としての気迫を見た気がした。

次に始まる曲のイントロも痺れる。「世界の終わりと夜明け前」。世界の終わりを歌ってて、でもどこかでその先の未来を予感させてくれる曲で、これを聴いた時に今日のこのライブがもうすぐ終わってしまうんだなという寂しさとかやるせなさがフワッと軽くなった気がした。そしてとにかくかっこいいんだよね、この曲。あとなおちゃんのドラムが魅入る程に華麗だった。ただただかっこいいんじゃなくて、なんかもう神聖な感じの雰囲気を纏ってた。強すぎるよな、このバンドは。

ライブ最後の定番「ロックン・ロール」のメロディーが響く。この曲に何度救われて、何度力をもらったか分からない。この曲の「ぼくのきみの世界」のきみの部分を東京初期衝動に当てはめた時に、心臓をグワッと搾り取られるような感覚がある。このバンドがこの曲を鳴らし続ける限り、ロックンロールは鳴り止まないのです。

ここでメンバーが捌ける、のかと思いきや、そのまま「アンコールありがとうございます」としーなちゃん。強制アンコール、強要アンコールと言っても過言ではない。パワハラしかし、こっちとしても大歓迎。フロアにはドMが集ってるのだから。その勢いのまま「Becauseあいらぶゆー」へ。これほど熱を持つ曲が東京初期衝動にはまだあったのだと、アンコールまで取っておくなんて贅沢だとすら思える。セトリの1曲目にある時とはまた違った見え方もするし、とにかくこの曲はセトリのどこに居ても輝くのだなと実感した。

勢いはそのままどころか増し続け、「黒ギャルのケツは煮卵に似てる」をベースからはじめて行く。声を出したくて仕方がなかった。また来る日の今までのライブの日の為に我慢したが、本当に声を出したかった。そう思えるのは会場に居た自分以外だって同じように思っていただろうし、何よりメンバーが楽しそうに音を鳴らしていて、彼女たちもそう思ってるのだろうなというのが伝わった。

時は満ちて、とうとうこの曲が始まる。「爆速高円寺ブス集合」。本当にこの辺は記憶が曖昧である。とりあえず最前に陣取っていた自分の目の前にしーなちゃんがやって来て、タイマンのような形でAメロが流れ去って行った気がする。そして何故こんなにも普通にメンバーは演奏出来てしまうのだ。全く持ってイカれている(最大の褒め言葉)。体感は15秒程度に今日最大の感情の爆発が詰まっていたようだった。それだけ密度の濃い、熱い、気合いの1曲だった。

しーなちゃんはここでダブルアンコールが来てると、捌けもせずにダブルアンコールで次曲へ。むしろ、フロアが彼女たちに追いついていなかった。今日2回目の「トラブルメイカーガール」で産みたいくらいに愛してしまったし、ライブでのこの曲の可能性を感じた。早く声を出せるライブでこの曲を見てみたいし、体感してみたい。

そのまま「再生ボタン」のスイッチが押されて、爆音が響き渡る。ここもマジで記憶ないけど、ちゃんと歌ってたっけ…なんか煽ってたような…位の感覚だった。ステージ上を駆け巡り、爆音を鳴らし廻り、熱量を上げ続けたライブの幕をこれで閉じるのである。


本当に後半は記憶が飛ぶほどに勢いに押されて熱量に巻き込まれて、食らいつくのが必死であった。そのくらい魂でぶつかる様なライブだった。このご時世、このガイドラインでここまでフロアから熱くなれるライブは東京初期衝動だからこそだし、東京初期衝動でしかここまで熱くなれないと思う。今までのライブに戻った時は、死を覚悟するも同然。そして何より、22曲ぶっ通しでこれだけボルテージを上げ続ける彼女らの凄さはこの文面だけでは伝えきれない事がものすごく惜しい。この文章で少しでも気になったら絶対に東京初期衝動のライブに行くべきである。ライブに行って、何倍にも彼女らの凄さを体感出来ると思う。全国ツアー、大気汚染ツアーでも、その凄さを身体中で感じていたい。

このバンドを好きになって、このバンドに出会えた自分を褒めたい。長々とありがとうございました。

ばいびーどんとくらい!!

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