空腹時には、香りのある紅茶を

袋を開けた時、風も吹いてないのにアールグレイの香りがした。まるで、誰かが開けてくれるのを待っていたかのように、一気に香りが外に溢れ出した。

夜遅い時間、私はついつい食事をしてしまいそうになる。もうさほど若いとは言えない歳だし、と気にしている私はうまくこの誘惑に打ち勝つ方法を模索している。

食べる代わりに水分を取るなら、せめて香りだけでも楽しみたいな

そんなふうに思って私は、おもむろにお湯を沸かす。笛吹ケトルは、しばらくするとひゅーひゅー言って、沸騰を知らせる。

もう少しだけ、もう少しだけ

と心に言い聞かせる。沸騰したてのお湯を使うよりも、少しだけ温度を下げた方が紅茶は美味しくなるって聞いたからだ。コーヒーもそうらしい。好みはあるが、90~97度くらいの幅でよく聞く。

しばらく待って、ようやくお湯をマグカップに注ぐ。
開けた時とは違う匂いがした。穏やかだけど、存在感のある爽やかな香り。

25個入り、250円のアールグレイ。

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