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不協和音

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エンジニアとライターが始めた共同執筆プロジェクトです。エッセイを軸に、自分の感じたこと、考えたことを発信したり、同じテーマで互いに呼応したりする作品を作っています。
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2022年10月の記事一覧

「素直」は曖昧

「素直さ」と聞いて、何をイメージするだろうか。 この前、友人とそんな話をした。ある人は、「物事を受け入れる素直さ」であると考えていたし、「物事をすぐに実行する素直さ」であると考えている人もいた。「否定しないこと、正直であること」と考える人もいるようだった。 コトバンクで「素直」を調べてみると、実は意味がたくさんあることに気づく。実はどれもそんなに間違っていない。 そう考えてみると、「素直な人がいい」と言った時、結構曖昧なことを言っているとわかる。受け取り手が想定する意味

グラスを変えただけなのに

最近、新しいグラスを買った。どこにでもありそうな、ありふれたデザインの縦長透明なグラス。1つ 980円で、私は2つ買った。 やたらとモノにこだわる癖のある私だが、実はグラスはさほどこだわって選んでいない。けれど、保温性の高いモノやビールグラスやワイングラスのような用途特化のグラス、ちょっとした時にお茶を淹れれる小さなマグカップなど、いくつか私の家にはグラスがある。 新しいそのグラスは、ビールグラスやワイングラスについで背が高い。ビールグラスやワイングラスと比べると、ずっと

苛立ってしまう気持ちを、マイルドに表現するのは難しい

家の近所の成城石井でお会計をしていると、私より10歳くらい年上そうな女性が、レジの女性に対して文句を言っている。どうやら、レジに並ぶ場所が違ったようで、「こちら(正しい場所)にお並びいただけますか?」と指摘されたことに苛立ったみたいだ。 私は、その女性のアグレッシブさに少しびっくりしてしまって、その人の方を不意に振り返ってしまった。案の定、少し睨まれてしまう。怒っているようではないのだが、不満げな表情で、やや冷徹な目をレジの店員さんに向けている。 その人がどうしてそんな文

今と未来のバランス感覚

と私は言った。私の目の前には、もう還暦を超えて仕事を引退したおじさんに。彼は、私と同じ出身地の大先輩。田町の地下にある、昔ながらといえば聞こえはいいが、少し古びた蕎麦屋で、日本酒を二人で飲みながら。 と彼は言った。私とは30近く離れているのに、同郷というのは不思議で距離感がない。初対面なのに、地元のお店の話や人の話をしているだけで、人生のバックグランドを共有できたような錯覚に陥ってしまう。 人生の刹那的な瞬間に違和感を感じるようになったのはいつからだろう、とふと考える。少

ゆっくり歩くと世界が広がる

昔から歩くのは早い方だった。身長が伸びるほどに、歩くペースは早くなっていき、携帯を買ってもらってからはイヤホンで好きな音楽を意気揚々と聞きながらスタスタ歩くのが癖になっていた。 最近、私は歩く速度を遅めている。別にだから何かが生まれるわけじゃないが、自分の中で歩くスピードに自分の思考や心のスピードが比例している感覚があり、スピードを遅めることで全体的にゆっくりな思考ができるようになると思うからだ。 プラセボもきっとあるが、実際問題、ゆっくり歩いている方が以前よりもずっと、

ことばにすると生み出されるもの、失われるもの

私は仕事柄、物事を言語化し表現し、誰かに伝えることをよく求められる。十分にできているかと言えばそんなことはないが、普段の仕事の影響で、日頃の些細な事項でもふと言語化して、自分の中で理解を促したり、客観的に物事を見つめられるようにしてしまう癖がある。 でもふと、立ち戻って、本当に言語化が必要なのか考えさせられるシーンが時々ある。 と自分の中で問いかけるのだ。この問いは面白いし深いと最近思って、よく考えている。 そもそも私たちはなぜ言語化していたのだろう? 言語化がもたら

低血糖気味になった朝

朝、吐き気がして、目が覚めると5時だった。最近、寝覚めはすこぶる良く、早寝も習慣になってきており、もうすっかり生活リズムが整い始めた。そんな矢先、久しぶりに迎えた最悪の朝。 なんでこんなことになってしまったんだろう、とふと考えてみる。すると、思い当たる節がいくつかあることに気づく。 まず一つ目は、過剰な食事制限をこの2週間行っていたことだ。具体的にいうと 1日の食事は、1回のみ(12PMのみ) 糖質は基本摂らない。(元々そんなにご飯が好きではないのもあるが) 摂取カ

「やりたいこと」の話

時々、「あなたのやりたいことを教えてよ」と言われることがある。そんな時、私はトンと困ってしまう。 「やりたいこと」ってなんだろう…? もちろん、私にいわゆる「やりたいこと」がないわけじゃないのだ。でも、経験的にその「やりたいこと」を相手に喋ったところで、「へぇー、すごいね」以外の反応を得たことはあまりない。私が普段から思う「やりたいこと」は、かなり仕事に紐づいていて、かなり時間スパンが長くて、イメージがしにくい抽象的なものが多いからだ。 そんなもの突然話をされても、びっ