西洋美術雑感 19:ドゥッチオ「十字架から下ろされるキリスト」
キリストの受難劇は、数限りなくある宗教画でもっともよく描かれたもので、その中でも、この、十字架から下ろされるキリストは、さんざんいろんな画家が描いている。
ここに上げたのは、ジョットと並ぶ、ルネサンス前期のイタリアのシエナの大画家ドゥッチオのもので、その受難劇は全部で26枚あって、これはその中の一枚である。実は、僕は、西洋に数ある受難劇の絵の中で、彼のものをもっとも愛しているのである。
母マリアをはじめとする女たちの純一な悲しみの表現と、はしごをかけてイエスを降ろした