西洋美術雑感 20:エル・グレコ「聖ヨハネの幻視」
さて、それではエル・グレコ、行ってみましょう。エル・グレコのはなはだしい特徴は、絵をひとめ見ただけでエル・グレコと分かるところであろう。間違いようのない個性がある。ということは逆に、軽く見られる根拠にもなるんだよねえ。
いま現代に生活している僕らの大多数は、芸術作品というのは芸術家が自らを表現したものだ、という考えを当然だと思っている。もっとも、日本語ではそういう芸術を特別に「アート」と横文字で呼ぶ傾向があるのもおもしろい。で、「芸術」って漢字で書くと、個性というよりなん