西洋美術雑感 21:フランシスコ・ゴヤ「黒い絵/棍棒で戦う」
マドリッドのプラド美術館で見たゴヤの話をいくつか書いたが、その最後にあたるのがこの黒い絵と呼ばれる連作である。
プラドで初めて彼の絵を次々と見てショックを受けたわけだが、それは、ロココ調で描かれた風俗画の不気味さから始まって、その後の戦争の描写や、悪魔的な魔女の集会や、独特な色彩で描かれた肖像画、そして、ベラスケスの女官たちとも並ぶ大作のカルロス4世とその家族の集合肖像画など、全体に、その油彩の表現力のほとんど奇跡的ともいえるテクニックと、その主題の奇妙さのコントラストに