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一料理人、イタリアでサルミつくり①

こんにちは、ハヤシヨウヘイです。
カステッリーナ・イン・キャンティでの暮らしは一年にわたりましたが、イタリアならではの長期休暇がありました。
晩秋から冬にはお客さんが全く来ないので、11月末から2月まで驚きの、併せて3か月の超長期。
その間にも、年越し時期やバレンタインデーなどに何度か戻って営業していたのですが、日本人の私からすればそれでも驚き。
今の職場は夏冬2週間ずつしかないので、3か月はイタリアでも珍しいのですが、田舎では季節によって人が全く来なくなるので、開けてもしょうがないみたいですね。

その長期休暇の間に日本にも帰省していたのですが、フランチェスコに紹介してもらって生ハム・サラミ工房に研修に行ってきました。


イタリアのブタは加工用

日本でも生ハムやサラミは有名ですが、イタリアでは伝統的にブタを加工してたべることが多いです。
年末、家族総出で一頭ないし二頭ブタをつぶして加工します(冷蔵庫のない時代から行われているので寒い時期でないと肉が傷む)。

モモ、肩 → 生ハム
ほほ肉 → グアンチャーレ
首 → コッパ
ロース → ロンツァ
背脂 → ラルド
腹、バラ肉 → パンチェッタ
それ以外 → サラミ
それ以外の脂 → ストゥルット(豚脂)+チッチョリ

このリストのように、捨てることなくすべての部位がつかわれます。
そして、当日はあばら肉を焼きながら、ワイン片手に打ち上げです。
1週間程度で細いサラミが食べられるようになり、それから順々に出来上がっていきます。
それぞれが熟成期間が違い、一年を通して動物性たんぱく質をとることができるようになっていて、日々の生活に根差した理由もあったんですね。

フランスではブーダンノワールとして有名ですが、イタリアでも血のサラミ、サングイナッチョがあります。
これは好き嫌いが分かれるし、今では数も少なくなってしまいました。


この冷蔵庫の中に8種類ほどのサルミ類があります

現在のイタリアサルミ

イタリア語では、ひき肉を長詰めした日本人がイメージするものをSALAMEサラーメ、それも含めて豚肉を加工したものすべてを指してSALUMEサルーメと言います。
それが複数形になってサラーミとなります。
イタリア全土、北から南までどこでも作られています。
それぞれの土地に特色があって、一度この面白さに取りつかれると沼と言えるでしょう。
現代では、ここで紹介したような伝統的な家庭での処理はほとんど見られなくなってしまいましたが、より大量に作られています。
工業的な大量生産もあれば、伝統的な手作業にこだわっている工房もあります。

私が研修させてもらったのは二軒、トスカーナの同シエナ県にあるTENUTA DI SPANNOCCHIAスパンノッキア農園とエミリアロマーニャ・パルマ県のANTICA CORTE PALAVICINAアンティカ・コルテ・パッラビチーナです。

続く

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