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第1章 序説(無主義ではいけない) 〜『大國民讀本』を読む〜(2)

1、大国民の要素(立派な国民になるために必要なこと)

イギリス(英国)という国がヨーロッパにあります。イギリスは日本よりも小さな島国でしたが、やがて地球上の4分の1を領土に持つ世界一の大国になりました。大国への成長は、偶然(ぐうぜん)起こったわけではなく、そうなる理由がありました。イギリスには、立派な国民になるための精神の本流があったのです。

イギリスでは「皆さん、鳥の目のように高いところから全体を見ましょう。虫のように低いところだけ見ていては、立派な国民にはなれなせんよ」と教えているそうです。そうやって、国民精神というものを育ててきたことが、イギリスの繁栄(はんえい)の根本の理由だったのです。

鳥のように高いところから眺(なが)めていると、何でも綺麗(きれい)に見えます。あちらこちらに汚れたところがあっても、上空から見れば美しく見えるものです。人間に対しても、短所ばかり見ていないで長所や美点(びてん)を見るようにしていけば、自分の心も相手の心も明るくなり、お互い伸び伸びと栄えていけるようになるでしょう。

反対に、虫が泥(どろ)や溝(どぶ)の中の汚れを見ているように、人々の醜(みにく)いところだけ見ていて、短所や欠点を探し回っているようではいけません。良いことは言わず、人の悪口ばかりいろいろな場所で言うような国民に、成長や発展(はってん)はないと思います。

私は、日本国民の目標として「日本の良いところを見つけ、立ち位置を日本に定めて生きよ。そうすれば立派な日本人になる」と叫びたい気持ちでいっぱいです。この「立ち位置を日本に定めて生きる」ことを「大日本主義」と言います。「大日本主義」は、大国民(立派な日本人のこと)になるためにどうしても必要な精神です。

【林英臣の補足】
「主義」とは、こうでなければいけないと考え、堅(かた)く守っていく方針(ほうしん)のことで、英語ではイズム(ism)と言います。イズムを持つと偏るからダメだと教える人もいますが、決してそのようなことはありません。

主義が無ければ考え方の基本が育たず、ある人から意見を聞くとその通りだと思い、また別の人から違う意見を聞くと、それもそうだと思うように、迷いが多くて気持ちの定まらない人になってしまいます。

ちゃんとした主義を持つようになれば、自分の信念(しんねん)を保った上で、人の意見を聞くことのできる余裕(よゆう)というものが育つはずです。

意訳者 林英臣

上記は、昭和2年(1927年)1月25日に出版された、文部省認定・林平馬著『大國民讀本』の内容を、林英臣が、こども向けに“翻訳”したものです。

「戦前は立派だった」いや「戦前はひどかった」、「戦後、日本は良くなった」いや「戦後、日本はダメになった」などと、大東亜戦争(第二次世界大戦)で歴史を前後に区切ることが一般的です。

ところが、『大國民讀本』を読むと、日本は明治から既におかしくなっていたことが分かります。90年以上前の本とは思えない内容が本書に記されているのです。これから取り戻すべき日本の原点が、余すところなく示されていることに読者は気付くはずです。

戦前の日本の実態をよく知り、これから祖国再生を進める上で、心得とすべきことが沢山出てまいります。

昭和に入ってから出版された本ですが、90年以上前の内容ですから古典の意訳に近い作業が必要でした。そこで、子供から大人まで世代を超えて読んでいただけるよう、できる限り分かりやすく書きました。

親子一緒に学んでいただいていただいても、楽しい本になったと自負しています。また、明治以降の日本史を正しく学べる本として、読者のご研究の参考になれば幸いです。

意訳者 林英臣

『大國民読本』を読む〜はじめに〜より(一部追記)

昭和2年に出版された著書ながら、今読んでも新しく、胸に突き刺さる指摘ばかりです。新しいがゆえに、我が国の抱える病巣や問題の根が深いことが良くわかります。

戦前の日本が良くわかる本『大國民讀本』

林英臣の元氣メール(メルマガ)」で、こども向けに優しく噛み砕いて連載していた内容を、〜『大國民讀本』を読む〜として刊行しています。

これからnoteで、逐次紹介して参りますが、下記からお求めいただき、共に「日本の原点」を取り戻すべく、ご家族ご友人と学んでくだされば幸いです。
https://hayashi-hideomi.com/books

戦前の日本がよく分かる本 林平馬著『大國民讀本』を読む


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